片平里菜「fragment」 PR

片平里菜|5年間で集めた“欠片たち”を手に未来へ

片平里菜がデビュー5周年を記念したベストアルバム「fragment」を11月14日にリリースした。「darling」「honey」と銘打たれたCD2枚からなる今作は、彼女がこれまで発表してきた楽曲のうち、片平自身が選んだ計26曲で構成されている。さらにTHE BACK HORNがアレンジおよび演奏に参加した「最高の仕打ち」のリアレンジバージョンが新録の音源として収録された。

本作の発売を記念し、音楽ナタリーでは片平にインタビューを実施。収録曲の選曲理由やTHE BACK HORNとのレコーディングエピソードなどアルバムにまつわる話を聞いた。また自身の本来のキャラクターとは異なるパブリックイメージを壊すためにさまざまなことに挑戦してきたという5年間について、じっくりと語ってもらった。

取材・文 / 小林千絵 撮影 / 吉場正和

パブリックイメージを壊したかった

──8月に行われたワンマンライブ2DAYSを拝見したのですが、すがすがしい表情をされているのが印象的でした(参照:片平里菜「これからも歌うよ」新たな決意語ったワンマン2DAYS)。本作のジャケットでも片平さんは弾けるような笑顔を見せていて、何か吹っ切れたのではと思ったのですが、今、音楽活動に対してどのような気持ちでいますか?

片平里菜

すごく前向きです。

──と言うと、前向きでないときもあったんですか?

音楽は10代の頃からずっと好きで、これからも好きなんですけど、一時期向き合う気力を失くしてしまっていて。その時期はそれに引っ張られて音楽自体へのモチベーションが下がってしまったんです。でも今は音楽を聴くのも歌うのも楽しくなりました。

──楽しくなったきっかけはなんだったんですか?

1つひとつのことを自分で選ぶとか、行動が自発的になったことです。もともとはそうだったんですけど、一時は自発的になれないときもあって。それを取り戻せたのは大きいですね。

──5月末をもってソニー・ミュージックアーティスツとのマネジメント契約が終了しましたが……(参照:片平里菜がマネジメント事務所と契約終了「また歩き出します」)。

私は自分の心が向いた方向に自由に向かっていきたいと思っていて、デビュー前は自分でブッキングして、自分で車を運転して、全国で弾き語りツアーをやっていたんです。でも、1人でやるには限界があるからたくさんの人の手を借りて、デビュー以降はライブも歌う会場も周りのスタッフが用意してくださって、私はそこに行って歌う。終わったあとはおいしいものが食べられるお店に呼んでもらって……。チームが大きくなっていくことはありがたかったんですけど、関わる人が多くなっていくことで、人や各地のライブハウスとの関わりが薄くなっていくような感覚もあって。なんだか寂しいような瞬間もありましたね。

──じゃあマネジメント業務などをご自身でやるようになった今は、また楽しくなってきた?(参照:片平里菜が個人事務所を設立「またあたらしい音楽人生を歩き出します」

片平里菜

楽しいですね。面倒くさいことも多くて「誰かに任せたい」とか思ってますけど(笑)。私はライブハウスで育てられたと思っていて。そことの関わりが希薄になってしまうのがもったいない気がするんです。各地でライブハウスのスタッフさんやその土地のアーティストと関わることが、アーティストとしての栄養になっていると思っていますから。

──歌うこと以外の行程にも必要性があるし、そこに楽しさを感じていると。

はい。私が書いている歌は、自分のことだけじゃない。身の回りのことや、友達とか魅力的な人のことも曲にしているので、安定して守られた環境でいいものが作れるわけじゃないんですよね。失敗しても経験することで人間として成長もできるし。だけど特に女性アーティストは守られすぎちゃうから、寂しかったし、そこに自分も甘えていたなと反省しています。そういった意味でも言い訳ができない環境に身を置いて、自分の責任は自分で取れるようになりたい。

──パンクバンドみたいな発想ですね。

ギターを持ってて女の子というだけで、本質とは違うパブリックイメージが付いてしまって。実際の自分とのギャップにずっと違和感がありました。たぶん根っこのところがロック精神なんですよね(笑)。

──特に片平さんがデビューした時期はいわゆる“ギタ女”ブームで。

そうそう、悪夢でした(笑)。男とか女、大人とか子供関係なく、1人の人間としていられるその自由さに魅力を感じて音楽を始めたはずだったのに、デビューしたら “女の子”“アイドル”みたいな枠に分類されちゃって。「またここからはじめなきゃいけないんだ」と(笑)。

──その枠から抜け出せたと感じたのはいつ頃ですか?

パブリックイメージとしては今も抜け出せていないと思います。でもそのおかげと言うか……そのイメージを壊したくて、毎回いろんな楽曲に挑戦できた。毎回型を破っていくという精神はそこで生まれた感じがします。

  • 片平里菜
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前向きな気持ちであることをファンに伝えたい

──今回なぜベストアルバムをリリースすることになったんですか?

単純にデビュー5周年の節目だから、何かしたいなと思っていたのが1つ。あとベストアルバムって賛否両論あると思うんですけど私は賛成派で、ベストアルバムを出せるまで活動してたくさん曲を出せるということがまずありがたいと思いますし、ベストアルバムって私のことを知らなかったという方にも聴いてもらえるし、既に知って下さる方にも改めてよさを再確認してもらえるから。だからこそ、惰性で作ったものじゃなくて、きちんと思いのこもったものにしたいなと思って、今回は曲順とか選曲とかもきちんと自分で考えて作りました。

──選曲も曲順もすごく面白いですよね。発売順でもないし、シングルの表題曲とカップリング曲、アルバム曲がごちゃ混ぜになっています。

はい、見事にバラバラです(笑)。最初から2枚組にするということは決まっていたので、例えばバラードとポップな曲でわけるとか、発売日順に入れていくとか、いろいろなやり方があったと思うんですけど、今回は2枚共それぞれが1枚の作品として成立するようにしました。

──なるほど。ご自身の楽曲群で作品を再構築したと。

片平里菜

今年は環境が変わったこともあって、ファンの方も関係者の方もすごく心配してくださったし、ベストアルバムを出すということでいろんな憶測がなされる可能性もあるなと思って。「ネガティブな意味合いではない」という意味で、なるべく前向きな作品にしたいなと考えていました。だからポップで明るい曲、元気な曲を多く選んでいます。お客さんからしたら「なんであの曲入ってないんだろう」って思うこともあるかもしれないんですけど、今回は邁進していくような雰囲気にしたかったので、アコースティックの曲は減らしました。

──それでジャケットも元気いっぱいの笑顔なんですね。

そうです。スカッとしたかった(笑)。今までは恥ずかしくて笑ってる顔の写真ってあんまり使わなかったんですけど、今回は自ら「笑ってるやつがいいです」って言って撮ってもらいました。

──恥ずかしさは克服したんですか?

いや、この写真も照れてますけど、もういいかなって(笑)。