音楽ナタリー PowerPush - 片平里菜
インタビュー&参加者コメントから初アルバム「amazing sky」の魅力に迫る
先輩たちが私に仲間として接してくれるのがうれしい
──OAUが演奏とアレンジで参加したアルバムタイトル曲「amazing sky」は、弾き語りバージョンから印象が変わりましたね。当たり前かもしれないけど完全にOAUサウンドで、歌がなかったらOAUの楽曲と言われても信じてしまうかもしれない。
そうですね(笑)。なんて言うか……王道J-POP風アレンジにはしたくなかったので。たぶんこの曲のメロディを聴いたらまず、ストリングスが後ろでパーッと鳴っていて、キラキラした音色の王道バラードアレンジが思い浮かぶでしょうけど、そういった世にあふれているようなものにしたくなかったんです。これもディレクターさんからの提案だったんですけど、ケルティック音楽風のアレンジにしたらどうだろうって。そこから、ちゃんと民族音楽の要素があって、しかも震災のことに対してもすごいシンパシーを持っているOAUさんにお願いしてみようという話になったんです。OAUさんなら音楽的な部分も精神的な部分もこの曲に合ってるんじゃないかなと。
──この曲を語る上で震災というのは欠かせないテーマの1つですしね(参照:片平里菜「夏の夜」インタビュー)。OAUやBRAHMANって片平さんもずっと聴いてきたアーティストなわけで……もちろんアジカンもそうですけど、そうやって自分がリスナーとして接してきたアーティストと一緒に音楽を作っていくっていうのは、どういう気持ちなんですか?
最初は言葉を交わすだけでも緊張したし……うん……すごいな、気付くとすごいところにいるなって思いました。最近よく感じるんですけど、ご一緒した先輩アーティストの方々が本当に私を仲間だと思ってくれて、別に田舎娘だろうが20ちょっとの小娘だろうが、同じミュージシャンとして、アーティストとして接してくれるのがめちゃめちゃ心強いんです。
──前回のインタビュー(参照:片平里菜「Oh JANE / あなた」特集)で亀田誠治さんやスカパラのお2人とお話したときも、やっぱりそういう感じでしたよね。そうなるのって片平さんの魅力が大きいと思うんです。それは音楽の持つ力なのか、それとも人柄なのか、いろいろあると思いますが。
うーん……どうだろう?(笑) でも本当に恐縮ですけど、私も先輩たちを見ていて共通するところ、共感できるところがいっぱいあるし、たぶんそういうところがなかったら一緒に音楽を作ろうってことにもならないと思うんです。どこか惹かれ合ってるところがあるのかなあ……と、信じています(笑)。
もう次の作品を作りたいっていう気持ちが強い
──ちなみに片平さんの中で1stアルバムっていうものに対してどういうイメージがありましたか?
イメージかあ……そうですね、やっぱりいろんなアーティストさんのアルバムを聴いてると、結局初期のアルバムのほうがいいなって思うことが多いんですよね。もしかしたら……超えられない壁なのかもしれない。1stアルバムとは全然色の違うアルバムをたくさん作れると思うんですけど、多くのアーティストにとって1stアルバムは音楽を始めてからその時点までの集大成みたいなものだし、たぶん一番濃い作品なんじゃないかな。でも、私はそこを超えていこうっていう気持ちがすごく強いんです。「amazing sky」というアルバムには、自分がギターを持ち始めた頃の初期曲や、今の私が10代の頃を思い返して作った曲がたくさん詰まっていて、曲の中で歌われているような若い子に届けたいアルバムというか……もちろんどんな世代の方にも響くと思うんですけど、私がいろんなことに迷っていた10代のときにこういうアルバムに出会っていたら、もしかしたら救われたかもしれないなって。そういう意味では、今の10代の子たちに強く響くものにしたいなと思ってましたね。
──大人の自分が聴いてもしっかり響く作品でしたし、しっかり10代の子たちにも響くアルバムになるといいですね。そしてこの1stアルバムが、片平さんの今後の活動における基盤になるわけです。
そうですね。今後いろいろ支えられていくのかなと思いますね、このアルバムには。実はもう次の作品ことを考えていて、早く作りたいっていう気持ちが強いですよ。1stアルバムよりもっと深いもの、深くてポップなものをって。
──記念すべき1stアルバムが完成したばかりなのに、もう新作について考えてるんですね。
だってこのアルバムには、本当に3、4年前の曲が多いので。もちろん今歌っても新鮮で色褪せてない楽曲ばかりですけど、どちらかと言うと「やっと出せた」みたいな感じが強いんです。
──じゃあ今自分から出てくる音楽をどんどん形にしていきたいと。
はい。早く出したいですね。そして新作を出すごとに「前作よりもいいね」って言われたいです。この「amazing sky」を超えていくのは並大抵なことじゃないけど、絶対にこれを超える作品を作るつもりです。
──片平さんのその立ち向かっていく姿勢、デビュー時からまったくブレてないですね。早くも次のアルバムが楽しみになりました。でもその前にこの「amazing sky」がリスナーにどのように受け入れられていくのかも楽しみで。個人的にはじっくり時間をかけてリスナーのもとに届けたい作品だなと感じています。
本当にその通りだと思います。そしてたくさん聴いて、大事に持っていてほしいですね。
──聴いた人に長きにわたって愛されるアルバムになると思うし。そのためにはいろんな人に届くように、それこそライブを通じてかもしれないし、ラジオを含むいろんな活動を通じてかもしれないし、それらがきっかけになって今まで片平さんの音楽が届いていなかった人たちにもこのアルバムが行き届くんじゃないかと思います。
そうですね。このアルバムをたくさんの人のもとに届けたい……夢が広がりますね。
次のページ » 「amazing sky」本人直筆セルフライナーノーツ
- 1stアルバム「amazing sky」 / 2014年8月6日発売 / ポニーキャニオン
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / PCCA-4064
- 通常盤 [CD] 3240円 / PCCA-4065
CD収録曲
- 夏の夜 [編曲:島田昌典]
- tiny room [編曲:arbeit boy]
- HIGH FIVE [編曲:山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)]
- 女の子は泣かない [編曲:島田昌典]
- あなた [編曲:久保田光太郎]
- teenage lovers [編曲:コトリンゴ(KIRINJI)]
- CROSS ROAD [編曲:山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)]
- Hey boy! [編曲:arbeit boy]
- Oh JANE [編曲:亀田誠治]
- 心は [編曲:安野勇太(HAWAIIAN6)]
- Come Back Home [編曲:arbeit boy]
- amazing sky [編曲:OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND]
- 始まりに [編曲:山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)]
全曲 作詞・作曲:片平里菜
初回限定盤DVD収録内容
- 「夏の夜」Music Video
- 「Come Back Home」Music Video
- 「女の子は泣かない」Music Video
- 「Oh JANE」Music Video
- Document Of First One-man Live@2014.01.31 SHIBUYA WWW
- First One-man Live@2014.01.31 SHIBUYA WWW
夏の夜 / 女の子は泣かない / 始まりに / Come Back Home
- 片平里菜 1st ALBUM「amazing sky」リリース記念 フリーライブ
- 2014年8月9日(土)
神奈川県 ラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場 グランドステージ - 2014年8月10日(日)
愛知県 アスナル金山 - 2014年8月10日(日)
兵庫県 阪急西宮ガーデンズ スカイガーデン 木の葉のステージ - 2014年8月17日(日)
福島県 街なか広場 - 2014年8月22日(金)
北海道 STV Sプラザ - 2014年8月24日(日)
福岡県 キャナルシティ博多 B1Fサンプラザステージ
- diffusy presents 片平里菜 2ndワンマンツアー2014 "amazing sky"
- 2014年11月16日(日)
愛知県 ell.FITS ALL - 2014年11月18日(火)
宮城県 enn 2nd - 2014年11月23日(日)
大阪府 umeda AKASO - 2014年11月24日(月・祝)
東京都 LIQUIDROOM ebisu - 2014年12月6日(土)
福岡県 Queblick - 2014年12月13日(土)
福島県 Live Space C-moon
片平里菜(カタヒラリナ)
1992年5月12日生まれ、福島出身のシンガーソングライター。2011年9月、「閃光ライオット2011」で1万組の中から審査員特別賞を受賞する。翌2012年にはソニーWALKMAN「Play You. Label」第1弾アーティストに抜擢され、山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)プロデュースのもと楽曲制作。7月にはメジャーデビュー前にもかかわらず「NANO-MUGEN FES.2012」に出演し、話題を集めた。2013年1月にアジカン山田プロデュースによる楽曲「始まりに」を配信リリース。同年5月にはギブソン社傘下のギターブランド・エピフォンが片平を日本人女性初のエピフォンアーティストとして公認したことも発表され、大きな反響を呼んだ。そして8月7日、ポニーキャニオンからシングル「夏の夜」でメジャーデビュー。翌2014年1月15日には2ndシングル「女の子は泣かない」を発表し、同月末からは初のワンマンツアー「片平里菜 1stワンマンツアー2014 “女の子は泣け、笑え、叫べ”」を東京、大阪、福島で行った。同年4月30日に3rdシングル「Oh JANE / あなた」をリリース。5月から7月にかけて自身2度目の弾き語りツアー「片平里菜 あの場所で偶然 弾き語りツアー2014」を全国22会場で敢行した。そして8月6日、1stアルバム「amazing sky」をリリースする。