音楽ナタリー PowerPush - 片平里菜

インタビュー&参加者コメントから初アルバム「amazing sky」の魅力に迫る

1曲目とラストは私の原点となる曲がいいのかな

──いよいよ1stアルバム「amazing sky」がリリースされます。「シンガーソングライター片平里菜」の名刺代わりになる、ベストな1枚ができたなという印象が本作にはあって。実際ライブでは披露しているのにアルバムから漏れた楽曲も多いですが、今作ではどういう基準で選曲したんですか?

まずは自分が10代のときに作った曲とか、10代の頃を思って作った曲とかを詰め込みたいなと思いました。選曲はそこまで時間はかからなかったですけど、曲順は何回も考え直して決めましたね。

片平里菜

──その曲順ですが、「夏の夜」で始まって「始まりに」で終わるという構成が本当に素晴らしいなと思いまして。

本当ですか? よかった。最初は「アルバムタイトルだし、『amazing sky』を1曲目かラストに持ってきたほうがいいんじゃないか?」っていう、私の勝手な先入観があったんです。でも片平里菜の音楽を初めて聴く人が「amazing sky」みたいなケルティックなサウンドに触れて、「あ、これが片平里菜なのか。片平里菜ってこういう音楽性なんだ」と思ってしまうのもちょっと違うなという話にもなって。初めて聴く人にも今まで応援してくれた人にもわかりやすい曲ってなんだろうって思ったときに、やっぱり1曲目とラストは私の原点となる曲……「夏の夜」や「始まりに」がいいのかなって思ったんです。

──アルバムを通して聴いて思ったんですが、曲順が心地いい並びなんですよね。スローな「夏の夜」から始まって、曲を重ねるごとにテンポが上がっていく。で、アルバム中盤で一度クールダウンしてから、後半にかけて「Oh JANE」に向けてまたジワジワとテンポが上がるんだけど、終盤はミディアム~スローテンポの楽曲が続いて終了する。曲ごとにいろんな表情を見せつつも、テンポ的には無理やりアゲようとせず、常に自然体というか。

結果そうなっちゃいましたね(笑)。私もいろんなアルバムを聴いてきたけど、1枚のアルバムの中ですごく寂しい気持ちになったり、ドキドキしたりうれしくなったり、そういう感情が揺れ動く構成がすごく好きで。聴く手を気持ちよく乗せてあげられたらなっていうのがいつもあったので、ライブのセットリストを考えるような感じで曲順を決めたところもあります。

──そしてアルバムの中でも特に印象に残ったのが、アルバム後半に差し掛かる3曲……「CROSS ROAD」「Hey boy!」「Oh JANE」の流れなんです。3曲とも比較的テンポ感が似た印象があって。でも、どれもタイプの異なる楽曲なんですよね。

確かに。ちょっと似てますね。

──そのテンポ感の近さが聴きやすい流れを作っていて、自然な統一感があるからスルスル入ってきちゃうんだと思います。で、「心は」を挟んでから最後の3曲に突入して、心をグッとつかまれるという。

ふふふふ(笑)。めちゃめちゃ聴いてもらってますね。うれしい。

自分で曲を作る限りどんなアレンジでもブレない

──これまでも各シングルでさまざまなアレンジャーを起用してましたが、今作にはHAWAIIAN6の安野勇太さんやコトリンゴさん、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDといった、今まで以上にバラエティに富んだ面々が参加していますよね。この人選はどうやって決まったんですか?

これはディレクターさんが「この人どうかな?」って提案したものに対して、私が「あ、いいですね」って返してから正式にオファーしたんです。

──自分で「こういう人がいい」と選んだわけではなく、周りからのアドバイスなんですね。そこはけっこうフラットに受け入れられた?

はい。私はアレンジに関してはわからない部分が多いので、薦められた人がよさそうだと思ったら周りの声を信頼してお願いしてもらって、それで一緒にやる感じですね。本当はこだわりたい気持ちもあるんですけど、メジャーデビューしたばかりでわからないことも多いし。別に高校生の頃からずっとバンドを続けてきてアレンジのことがよくわかるってわけでもないので、お試しってわけではないですけど、今はいろんなことに挑戦しておいたほうがいいかなと思うんです。この先自分なりにこだわった作品を作るためにも、いろんな方とご一緒して今後に生かしたいなと思いますし。それに自分で作った曲、自分で作ったメロディである限り、どんなアレンジになったとしても軸はブレないと確信してたので。もちろんアレンジを進めていく中で、私が「こうしてください」「こうしないでください」って伝えることはあるけど、結果的にちゃんと“片平里菜の曲”として成立していると思います。本当にどの曲も素晴らしかったですよ。

片平里菜

──コトリンゴさんがアレンジした「teenage lovers」なんて、普段ギターの弾き語りの印象が強いだけに、序盤ピアノだけをバックに歌うのはとても新鮮でした。

ですね。こういうことはどんどんやっていきたいです、うん。私、ピアノの音色が大好きなんです。特に今回はコトリンゴさんのピアノに惚れ惚れしてしまって。レコーディングもドラムと私のアコギとコトリンゴさんのピアノを一緒に録ったんですけど、すごく気持ちいいグルーヴ、気持ちいい揺らぎが生まれて本当に楽しかったですね。

──アーティストさんごとに制作の進め方は違ったと思いますが、一番印象に残ってることは?

やっぱり皆さん、私の歌を一番に考えてアレンジしてくれたのはうれしかったです。特にこちらからお願いしたわけではないんですけど、どの曲でもアコギは絶対に入れて、アコギの音色が耳に残るようなアレンジをしてくださっていて。そこは皆さん一緒でしたね。中でもOAUさんは一番特殊で、初めから私がバンドの一員になったみたいにスタジオに入って、「どうしたい?」「こうしたい」「こうしたほうがいいよな」って言いながらみんなでアレンジを固めていったんです。あれはちょっと特別だったかな。

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片平里菜 インタビュー
「amazing sky」本人直筆セルフライナーノーツ
「amazing sky」参加アーティストからのメッセージ
1stアルバム「amazing sky」 / 2014年8月6日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / PCCA-4064
通常盤 [CD] 3240円 / PCCA-4065
CD収録曲
  1. 夏の夜 [編曲:島田昌典]
  2. tiny room [編曲:arbeit boy]
  3. HIGH FIVE [編曲:山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)]
  4. 女の子は泣かない [編曲:島田昌典]
  5. あなた [編曲:久保田光太郎]
  6. teenage lovers [編曲:コトリンゴ(KIRINJI)]
  7. CROSS ROAD [編曲:山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)]
  8. Hey boy! [編曲:arbeit boy]
  9. Oh JANE [編曲:亀田誠治]
  10. 心は [編曲:安野勇太(HAWAIIAN6)]
  11. Come Back Home [編曲:arbeit boy]
  12. amazing sky [編曲:OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND]
  13. 始まりに [編曲:山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)]

全曲 作詞・作曲:片平里菜

初回限定盤DVD収録内容
  • 「夏の夜」Music Video
  • 「Come Back Home」Music Video
  • 「女の子は泣かない」Music Video
  • 「Oh JANE」Music Video
  • Document Of First One-man Live@2014.01.31 SHIBUYA WWW
  • First One-man Live@2014.01.31 SHIBUYA WWW
    夏の夜 / 女の子は泣かない / 始まりに / Come Back Home
片平里菜 1st ALBUM「amazing sky」リリース記念 フリーライブ
2014年8月9日(土)
神奈川県 ラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場 グランドステージ
2014年8月10日(日)
愛知県 アスナル金山
2014年8月10日(日)
兵庫県 阪急西宮ガーデンズ スカイガーデン 木の葉のステージ
2014年8月17日(日)
福島県 街なか広場
2014年8月22日(金)
北海道 STV Sプラザ
2014年8月24日(日)
福岡県 キャナルシティ博多 B1Fサンプラザステージ
diffusy presents 片平里菜 2ndワンマンツアー2014 "amazing sky"
2014年11月16日(日)
愛知県 ell.FITS ALL
2014年11月18日(火)
宮城県 enn 2nd
2014年11月23日(日)
大阪府 umeda AKASO
2014年11月24日(月・祝)
東京都 LIQUIDROOM ebisu
2014年12月6日(土)
福岡県 Queblick
2014年12月13日(土)
福島県 Live Space C-moon
片平里菜(カタヒラリナ)

1992年5月12日生まれ、福島出身のシンガーソングライター。2011年9月、「閃光ライオット2011」で1万組の中から審査員特別賞を受賞する。翌2012年にはソニーWALKMAN「Play You. Label」第1弾アーティストに抜擢され、山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)プロデュースのもと楽曲制作。7月にはメジャーデビュー前にもかかわらず「NANO-MUGEN FES.2012」に出演し、話題を集めた。2013年1月にアジカン山田プロデュースによる楽曲「始まりに」を配信リリース。同年5月にはギブソン社傘下のギターブランド・エピフォンが片平を日本人女性初のエピフォンアーティストとして公認したことも発表され、大きな反響を呼んだ。そして8月7日、ポニーキャニオンからシングル「夏の夜」でメジャーデビュー。翌2014年1月15日には2ndシングル「女の子は泣かない」を発表し、同月末からは初のワンマンツアー「片平里菜 1stワンマンツアー2014 “女の子は泣け、笑え、叫べ”」を東京、大阪、福島で行った。同年4月30日に3rdシングル「Oh JANE / あなた」をリリース。5月から7月にかけて自身2度目の弾き語りツアー「片平里菜 あの場所で偶然 弾き語りツアー2014」を全国22会場で敢行した。そして8月6日、1stアルバム「amazing sky」をリリースする。