音楽ナタリー PowerPush - GARNiDELiA

2年目に魅せる“攻め”の王道バラード

音質という選択肢の増える悦び

──ハイレゾ環境だとボーカリストさんも歌い方は変わります?

メイリア(Vo)

メイリア 歌い方自体は変わらないんですけど、気にするポイントはすごく増えましたね。ハイビジョン放送が本格的に始まった前後くらいによく女優さんとか女子アナさんとかが「毛穴まで見えちゃう」って言ってたじゃないですか。あれに近い感じというか。音の解像度が上がったことでボーカルブースでの私の姿が丸見えになっちゃう感じ。音を聴けば口の開き方、閉じ方までわかっちゃうんですよ。だから今まで以上に丁寧に、細心の注意を払って歌うことは心がけました。

toku 最終的にはCDの音質、16bit / 44.1kHzにダウンコンバートする話ではあるんだけど、それでもね。

──「MIRAI」って確実にいい音がしてますよね。

メイリア そうなんですよね。

toku 録音時の音質が完全に死ぬわけではないから、やっぱりなあなあでは済ませられないんですよ。

──そう考えるとハイレゾが普及するのもよし悪しというか……。

toku いや、やっぱりいいことだと思いますよ。「MIRAI」みたいなボーカルやストリングスを聴かせたいバラードであればハイレゾ感があったほうがいいんだろうし、ハードなロックやダンスミュージックみたいなあまりの音圧に音が潰れちゃうほうがカッコいいジャンルの曲はもっとローファイで録ったほうがいいんだろうし。全部ハイレゾで録れって言われると困っちゃうんですけど(笑)、曲やアレンジやコンセプトによって、ハイレゾも選べるし、今までのフォーマットも選べるっていうなら音楽家にとってはうれしいことですけどね。

メイリア 確かに。歌をしっかり聴いてもらえるバラードをよりよい音質で録れるっていうのは「チャンスが来た」って感じでしたし。

片桐鏡華であり、女性であり、母であり

──tokuさんのチョイスした楽器の編成同様、メイリアさんの詞もストレートですよね。「2人を繋ぐ 重ねた手と手 離れないように強く 握りしめて行こう」「愛という奇跡を この手に誓うよ」っていうふうに。

メイリア 「ガンスト」の制作チームからヒロイン(片桐鏡華)の気持ちを描いてほしいっていうテーマをいただいていたので、台本をめちゃめちゃ読み込んで、鏡華ちゃんのセリフだったりアニメのキーワードを散りばめつつ書いてみました。だから今後ストーリーが進んでいったら「あっ『MIRAI』のあの歌詞はこのシーンのことだったのか」って楽しんでもらえるんじゃないかって思ってます。

──そうやってアニメから言葉を借りてきつつもストレートなメッセージソングになったっていうのは面白いですね。さっきtokuさんが言っていた通り、並行世界を行ったり来たりしながら、並行世界にいるもう1人の自分に出会うっていうけっこう入り組んだお話なのに。

toku もう1つ「女性目線」「母性」っていうオーダーもいただいてたからかな?

メイリア そうかも。確かに鏡華ちゃんのことだけを歌うとなると、ここまで言葉はストレートにならなかったと思うんです。でも、鏡華ちゃんに寄り添いすぎない。個人的な話に終始しないで、女の子が好きな男の子に向ける愛情や、お母さん的存在が子供的な存在に向ける愛情っていう、もっと広い意味でのラブを歌うことができたから、ストレートになったんでしょうね。

女の子の人生に寄り添う定番ソングを目指して

──すでにアニメの中で流れてますけどファンやアニメ視聴者の反応って届いてます?

メイリア 「近々結婚するんですけど、結婚式のときに『MIRAI』を流したいと思います」って言ってくれた子がいて、それはやっぱりうれしかったですね。ちゃんと女の子の人生に寄り添える曲になったんだなって。歌詞をシンプルにしたのには、そういう結婚式のBGMみたいな定番ソングになってほしいっていう思いがあったからでもあるので。バラードってやっぱり歌詞がより伝わるからこそまっすぐで素直なリリックを書くことがすごく大切だと思っていますし、せっかくそういうリリックを書く以上、みんなに届いてほしい。いろんな場面で聴いてほしいし、歌ってほしいんですよね。

──あっ「カラオケで歌ってほしい」みたいな欲求もある?

メイリア 「MIRAI」に限らず、そういう気持ちはけっこうあります。私たちのファンの子たちくらいの世代ってやっぱりカラオケ好きだし、歌ってますっていう話もよく耳にしますから。でも本当に申し訳ないことに、これまでのGARNiDELiAのシングル曲ってすごく速いし、息継ぎの位置がないし……。

toku 歌えるもんなら歌ってみろ!って曲だよね。

──その曲を書いてるのはtokuさんなんですけどね(笑)。

メイリア あはははは(笑)。でもそんな息継ぎの難しい曲ですら歌いたいと思ってくれるのはなぜかって言ったら、より深く曲を聴いてくれてるからなんですよね。歌詞をちゃんと理解して、この言葉を声にしたいって思ってくれてるわけだから。それはやっぱりうれしいですね。しかもカラオケって基本的に友達とか会社のみんなと行くわけじゃないですか。そういう私たちの曲を知らない人たちの前で歌うことって「私はGARNiDELiAが好きなんだ」って宣言するようなものじゃないですか。その子たちに楽しく歌ってもらえる曲ができたっていうのもうれしいことなんですよね。

ニューシングル「MIRAI」 / 2015年5月13日発売 / DefSTAR Records
初回限定盤 [CD+DVD] / 1620円 / DFCL-2122~3
期間限定生産盤 [CD+DVD]] / 1620円 / DFCL-2125~6
通常盤 [CD] 1296円 / DFCL-2124
CD収録曲(全仕様)
  1. MIRAI
  2. PiNK CAT
  3. pledge
  4. MIRAI (instrumental)
CD収録曲(期間限定生産盤のみ)
  1. MIRAI (TV size ver.)
初回限定盤 DVD収録内容
  • MIRAI(Music Video)
  • PRIDE(Music Video)
期間限定生産盤 DVD収録内容
  • 「ガンスリンガー ストラトス」ノンクレジットED映像
GARNiDELiA(ガルニデリア)

GARNiDELiA

シンガーやモデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1本で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。さらに翌年には東京・JCBホール(現・TOKYO DOME CITY HALL)での「ニコニコ大会議Final」や、中国・上海での「舞動漫櫻楽祭~ANIME ROCK CONVENTION~」など国内外でのイベントに招聘される。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューすると7月には「魔法科高校の劣等生」後期オープニングテーマ「grilletto」、10月には「ガンダム Gのレコンギスタ」のオープニングテーマ「BLAZING」を立て続けに発表。そして2015年1月、メジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、5月にはアニメ「ガンスリンガー ストラトス」のエンディングテーマ「MIRAI」をリリースした。