GARNiDELiAインタビュー|それぞれのソロワークを経て再始動、ニューアルバム「Duality Code」で示す2人の進化

GARNiDELiAが11月17日にニューアルバム「Duality Code」をリリースした。

今年3月にポニーキャニオンへの移籍を発表したGARNiDELiA。移籍後はMARiA(Vo)が5月に「うたものがたり」、toku(Compose, Key)が6月に「bouquet」と題したアルバムを個人名義でリリースするなど、それぞれソロワークに力を注いできた。それらの経験から得たものをお互いに持ち寄り完成した「Duality Code」には、アニメ「大正オトメ御伽話」の主題歌「オトメの心得」や、ドラマ「どうせもう逃げられない」の主題歌「春がきたよ」を含む全12曲が収録されている。

音楽ナタリーではMARiAとtokuに、アルバムの制作秘話や各楽曲に込めた思い、12月に2年ぶりのツアー「GARNiDELiA stellacage tour 2021→2022 "Duality Code"」を控える今の心境を聞いた。

取材・文 / 須藤輝撮影 / 竹中圭樹(ARTIST PHOTO STUDIO)

私たち、めっちゃしんどかったんだな

──お二人は今年の前半はそれぞれソロワークに集中していたと思いますが、ニューアルバム「Duality Code」の制作で合流して、お互いに「こいつ、変わったな」みたいなところはありました?

toku(Compose, Key) MARiAは歌詞が大人っぽく、リアルな感じになったんじゃないかな。今までは、特にアニメの主題歌の場合はわりとファンタジー志向が強かったと思うんですけど、今回のアルバムではすごく等身大の歌詞を書いてくるようになりましたね。

MARiA(Vo) tokuはね、音数が減りました。引き算の音作りがより洗練されてきたというか。もともとガルニデの楽曲は音がぎゅうぎゅうに詰まってたからね。

toku いかに隙間を埋めていくか、みたいな。

MARiA その中に私の歌も楽器として鳴っているみたいな感じがあったんだけど、今回は歌がバンッ!と真ん中にあって、そこにサウンドが寄り添ってくれているように思います。

GARNiDELiA

GARNiDELiA

──あとで触れることになると思いますが、歌モノらしい歌モノが増えましたよね。アルバムの構成としては、従来は1曲目にゴリゴリのダンスナンバーを持ってくるというパターンがありましたが、今回はそれを崩してきました。

MARiA 確かに。1曲目の「Live On!」も2曲目の「my code」もロックナンバーですね。アガるEDMをブリブリ書くようなテンションではなかったのかな。

toku たぶん、一番は「早くライブをやりたい」というのがあったんでしょうね。ライブ会場で映えるラウドなノリの楽曲を増やしていきたいなと。

──この2曲の歌詞はともにGARNiDELiAのステートメントでもありますね。

MARiA うんうん。やっぱり私が私らしく自分の気持ちを歌うことで、開幕からみんなにガツンと刺さる曲にしたくて。あと、この2、3年間で環境も変わって、私たち自身がもがいていた時間もあったので、それも反映されているというか「私たち、めっちゃしんどかったんだな」と、改めて歌詞を見て思いました(笑)。

──「Live On!」の歌詞に「どうしようもない世界も生き抜くよ」とあるように……。

MARiA 本当にお先真っ暗で「どうしたらいいの!?」みたいな。このアルバムではちょっと弱い自分も見せられるようになったと思っていて、だからずっと強気ではいられないんだけど「みんながいるから私はここで生きていけるよ」って。だから「今、マジでみんなに伝えたいことを書こう」というロックなマインドになっていて、今回はEDMに行かなかったのかも。

──一方、リード曲の「my code」では「なにを言われても信じる方へ」と歌われています。これはMARiAさんがずっと言い続けていることですよね。

MARiA それは本当にそう(笑)。もう、ガルニデ結成から12年間ずっと言い続けてる。「信念を貫け!」と。

toku ブレないよね。

MARiA たぶん一生言い続けるだろうし、自分らしく、自分に嘘がないように生きるのがMARiAでありGARNiDELiAだし、それを信じてみんなもついてきてくれていると思っているから。しかもこの強いサウンドに乗せて歌うからね。この曲を作るとき、tokuに「とにかく強い曲作って!」って言ったよね。

toku 「強い曲って何?」って聞いちゃったけど(笑)。

MARiA 「いいから強い曲だよ!」って(笑)。

素直に自分をさらけ出してみよう

──このロックゾーンから一転して、3曲目「Uncertainty」から4曲目「Seeker」、5曲目「aquarium」までのチルアウト気味なムードが個人的に非常に好みです。

MARiA うれしい。私もこのチルってるゾーン大好き。

──まず「Uncertainty」はピアノ、ギター、シンセのシンプルなリフとブレイクビーツで構成されたミニマルミュージック的なナンバーですね。そのリフも、楽器を弾くというよりはただ鳴らすだけみたいな。

toku 現代音楽的でありつつ、ベッドルームテクノ的なイメージで作りました。この楽曲に関しては、デモの段階でMARiAが「これはアルバムに絶対入れる!」と言い出して。

MARiA ちょうどお互いにソロアルバムを作っていたタイミングで、tokuが「なんか、カッコいいのできたかも」と言ってデモを聴かせてくれて。まだアルバムの構想も何も固まっていなかったけど「これ、絶対に人にあげないで! 私が歌うから!」とキープしました(笑)。

GARNiDELiA

GARNiDELiA

──そして歌詞がですね、この「Uncertainty」以降、tokuさん作詞の「stellacage」を除いてすべてラブソングなんですよね。

MARiA 今回のアルバムにはタイアップ曲が2曲収録されていて、1つは「大正オトメ御伽話」というラブコメアニメのオープニング「オトメの心得」で、もう1つが「どうせもう逃げられない」というけっこうドロドロした恋愛ドラマのオープニング「春がきたよ」で、先にできていたこの2曲がどちらもラブソングだったんですよ。今まで私たちが担当してきたアニメ主題歌は戦闘モノが多かったので歌詞も戦っていたんですけど、ここへきて恋愛モノのオファーを立て続けにいただいたので、乙女スイッチが入ったのかも。

toku MARiAはソロでも全曲ラブソングを歌っていたのに(参照:MARiA「うたものがたり」インタビュー)。

──まだ歌い足りない?

MARiA たぶん、私が書いたラブソングを歌いたかったんでしょうね。人様にいただいたラブソングじゃなくて。

toku 「私、そういうタイプじゃないし」って。

MARiA 違うよ!(笑) むしろソロで提供してもらった曲では弱い私、儚い私を歌うことが多かったので、自分の歌詞でもそういう一面を見せもてもいいのかもしれないと思ったんです。だから、さっきtokuが「等身大の歌詞」と言ってくれたけど、素直に自分をさらけ出してみようと。

──「Uncertainty」に関して言うと、曲名の通り愛の不確実性(=uncertainty)を歌っていますが、もう少し広げて「世の中に確実なことなんかない」という捉え方もできるのかなと。

MARiA そうなんですよ。今まで当たり前にそこにあると思って疑いもしなかったものが、突然なくなってしまったり。例えば私たちのツアーも全部潰れちゃったし、そうなってしまったからこそ生まれたお客さんに対する気持ちも反映されているし……だからまさに私たちの話にもできるんですよね。