音楽ナタリー PowerPush - GARNiDELiA

2年目に魅せる“攻め”の王道バラード

まず同じことを繰り返さないGARNiDELiA

メイリア でも、王道メロディとヒネくれたアレンジっていつものtokuさんじゃないですか(笑)。

toku 確かに(笑)。でも「ただの王道バラードにしちゃうと『ガンスト』っぽくないよなあ」ってことはかなり意識していて。だから毎回サビを転調させたんですけど、そうすると1コーラス目や2コーラス目を抜けたところのコードをどうやって解決するか考えなきゃいけないんですよね。「どうやって元のコードに帰ってこようかなあ」みたいなことを考えるのは楽しいんですけどね(笑)。

──あと驚いたのが、1コーラス目のサビ終わりからの間奏4小節なんですけど……。

メイリア 突然音が消えた!みたいな(笑)。

──そうですそうです(笑)。基本イントロと同じフレーズがリフレインされるんだけど、4小節目、つまり2コーラス目直前にフィルを入れたりブレイクを入れたりするんじゃなくて、ストリングス以外の音を全部ミュートさせるじゃないですか。あれには意表を突かれました(笑)。

toku ははははは(笑)。アレンジのだいご味ってコードワークと、あとイントロや間奏、アウトロを作ることだと思ってるんですよ。「全体のトーンは基本的に変えないんだけど、いかに同じことを繰り返さないか」って考えるのが一番面白いというか。その、まず同じことを繰り返さないっていうのもGARNiDELiAらしさの1つだと思ってますし。

──それも「ただの王道バラードにすまい」という意図があってのことなんですか?

toku そうですね。今回ストリングスのアレンジは、僕の先輩でリスペクトしている中西亮輔さんにお願いしていて。m-floの曲なんかでも美しい弦のアレンジをなさっている方だから、すごく王道な弦のスコアを書いてくださるだろうな、っていう予感があって。そうしたら案の定というか、さすがのクオリティのドラマチックなスコアを書いてくださったから、その弦を僕がいかに料理するか。ちょっとヒネくれた使い方をしてみたら面白くなるんじゃないかっていうことで、その弦以外をミュートさせてみました(笑)。

ハイレゾ環境が選ばせた楽器編成

──で、そのストリングスが象徴的なんですけど「MIRAI」ってすごくアコースティックな編成になってますよね。

toku バラードだからこそメイリアの声やメロディを今まで以上にフィーチャーしたかったというか。リスナーの耳をメイリアの声にフォーカスさせるにはどういう編成にしたらいいんだろう?って考えたのが1つと、あと今回は32bit / 96kHzっていうフォーマット、要は楽器もメイリアのボーカルもハイレゾで録ってみようと思って、実際そうしたんですけど、そのフォーマットで録ったら生楽器がすごく映えたんですよね。逆にシンセが少しショボく聞こえちゃったりもしましたし。最初のアレンジは、これまでのシングル曲のようにもっとデジタル感が強かったし、音数も多かったんですけど、途中で「あれ!?」ってなっちゃって。

──音質が選ばせたアレンジでもある?

toku 「でもある」というレベルではなく、ハイレゾがアレンジに与える影響は大きかったですね。ボーカルや楽器に向けたマイクの角度を変えながら録ってると、テイクごとにマイクの角度をどのくらい変えたかすらわかっちゃいますから。そうなるとOKテイク選びにシビアになるし、あと今回そうだったように音の選び方も確実に変わりますし。これまでの環境だったらドラムのキックをバンッ!って入れたらほかの楽器にコンプレッションがかかって潰れることは当たり前のようにあったし、そのコンプ感が気持ちいいからあえてキックを派手に入れるみたいなことって僕に限らずいろんなアレンジャーさん、エンジニアさんがやっていたと思うんです。でもハイレゾ環境でキックをバンッ!って鳴らすと「ええっ、これ大丈夫か!?」みたいなことになっちゃうんですよ。

──「大丈夫か!?」って?

toku コンプがかからずに、ただ単にキックがやたらとデカイみたいなことになっちゃって(笑)。だから自分たちは何を聴かせたいのかみたいなことをより考えなければならなくなる。で、今回はメイリアのボーカルやストリングスをストレートにキレイに聴かせたいから、コード感や音の抜き差しの仕方はヒネくれてるんだけど、楽器の編成はあくまでシンプルっていう形に落ち着いたんです。

ニューシングル「MIRAI」 / 2015年5月13日発売 / DefSTAR Records
初回限定盤 [CD+DVD] / 1620円 / DFCL-2122~3
期間限定生産盤 [CD+DVD]] / 1620円 / DFCL-2125~6
通常盤 [CD] 1296円 / DFCL-2124
CD収録曲(全仕様)
  1. MIRAI
  2. PiNK CAT
  3. pledge
  4. MIRAI (instrumental)
CD収録曲(期間限定生産盤のみ)
  1. MIRAI (TV size ver.)
初回限定盤 DVD収録内容
  • MIRAI(Music Video)
  • PRIDE(Music Video)
期間限定生産盤 DVD収録内容
  • 「ガンスリンガー ストラトス」ノンクレジットED映像
GARNiDELiA(ガルニデリア)

GARNiDELiA

シンガーやモデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1本で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。さらに翌年には東京・JCBホール(現・TOKYO DOME CITY HALL)での「ニコニコ大会議Final」や、中国・上海での「舞動漫櫻楽祭~ANIME ROCK CONVENTION~」など国内外でのイベントに招聘される。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューすると7月には「魔法科高校の劣等生」後期オープニングテーマ「grilletto」、10月には「ガンダム Gのレコンギスタ」のオープニングテーマ「BLAZING」を立て続けに発表。そして2015年1月、メジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、5月にはアニメ「ガンスリンガー ストラトス」のエンディングテーマ「MIRAI」をリリースした。