玉木宏が林遣都を主演に異色のSF短編を監督「アクターズ・ショート・フィルム3」特集 (2/2)

林遣都が語る玉木組の頼もしさ

──林さんは監督としての玉木さんとタッグを組まれてどうでしたか?

 玉木組があったら毎回参加して常連になりたいぐらい、充実した時間でした。ベテランのスタッフさんたちと信頼し合っている雰囲気があって。2日間と限られた撮影時間でしたが、想定以上のものが生まれていく。監督が中心に立って、みんなが何をすればいいかが見えていて、感じ合えていたからこそできたことだと思います。そんな中に飛び込めた僕は本当に居心地がよくて。玉木さんの人柄あってこその、めちゃくちゃ素敵な現場でした。

玉木 ありがたいですね。

「COUNT 100」メイキング写真

「COUNT 100」メイキング写真

──そもそも玉木さんが主人公を林遣都さんにお願いした理由を教えてください。

玉木 主演はボクシング経験者の方と決めていました。そこに嘘があったら嫌だった。遣都くんがボクシングをしている情報はつかんでいたので、脚本がよければ受けてくれるのではないかなという思いがあって。

──ある俳優の方が、ボクサーの役を引き受けるのは俳優としてとても迷うと言っていて。ボクシング経験のある林さんはいかがだったんでしょうか。

 基本的にはボクサーの役はボクシングをやっていないと難しいと思います。だからこそ、今回も覚悟を決めて限られた時間で精いっぱいのことをやらなければと思いました。この作品が決まって、撮影の数カ月前からまたボクシングをきちんとやり始めました。ボクシングをやっていると、俳優としていろんな面で生かされます。もちろん生活面でも単純に足腰が強くなって、歩き方も変わりますし、精神面でも強くいられる。すごく楽しいですよ。

林遣都

林遣都

──劇中にはボクシングの試合シーンもありますね。

玉木 今回、信頼のおける松浦慎一郎(※)さんにボクシング指導と監修、それにトレーナー役としても入ってもらっています。その松浦さんのもとで林くんが練習しているのを知っていたので、お二人に参加してもらえれば、いいものができるに違いないと思っていました。松浦さんのアイデアもあり、そこに遣都くんが真剣に臨んでくれて形になっていった。また撮影を「百円の恋」「アンダードッグ」などのボクシング映画を撮ってきた西村博光さんにお願いしたのでいい作品に仕上がったと思っています。

※松浦慎一郎:俳優、ボクシングトレーナー。「百円の恋」「あゝ、荒野」「アンダードッグ」「BLUE/ブルー」「ケイコ 目を澄ませて」など、近年のボクシングを題材とした日本映画の多くに出演し、トレーナーとしても関わる。

「COUNT 100」場面写真

「COUNT 100」場面写真

「COUNT 100」場面写真

「COUNT 100」場面写真

監督への再チャレンジは?

──映画の初監督を振り返ってみて、作品の手応えは?

玉木 結果的に、すべてがうまく運んだ気がします。当初、15分以上25分以内というルールの中で、どれくらいを目指すかと話していて。20分ぐらいですかねと言っていたんですが、上がったものがちょうど20分。いろいろなアドバイスもいただきながら、そこに落ち着いたんですが、間延びしていない感じもするし、狙った通りの形にできたと思います。これは遣都くん含めて、皆さんの力があってのことです。

「COUNT 100」メイキング写真

「COUNT 100」メイキング写真

──そんな玉木さんの監督ぶりを見て、林さんに自分も監督してみたいという思いはあるんでしょうか。

 僕は全然、考えたこともないです。でも玉木さんを見ていて、人が付いていきたくなる方って、こういう方なんだなと学ばせていただくことがたくさんありました。

──玉木さんは今回の経験を踏まえて、また監督をしてみたいですか?

玉木 楽しかったので、機会があればまたやってみたいです。ただ長編はどうかな? セリフを生み出す作業がとても大変だと気付きました。それぞれの人格からリアリティを感じられる言葉を作るのは、ものすごく難しい。登場人物が少なければ成立するんですけど、長編はなおさらだと思います。チャレンジしたい気持ちはありますけどね。

左から玉木宏、林遣都。

左から玉木宏、林遣都。

イチ押しボクシング映画

玉木 西村さんが撮った「アンダードッグ」はすごく好きです。外国映画で言うと「ミリオンダラー・ベイビー」です。振り返ってみると、好きな映画にボクシング映画が多いですね。

 最近ロバート・デ・ニーロ主演の「レイジング・ブル」を観る機会があって。仕事の関係で時代背景を知るために観たのですが、さすがのリアリティでした。

プロフィール

玉木宏(タマキヒロシ)

1980年1月14日生まれ、愛知県出身。1998年に俳優デビュー。2001年の映画「ウォーターボーイズ」で注目を集め、2006年のドラマ「のだめカンタービレ」で千秋真一役を務めて人気を博す。主な出演作に「真夏のオリオン」「MW-ムウ-」「幕末高校生」「悪と仮面のルール」「極主夫道 ザ・シネマ」など。

衣装協力
ヘアメイク:渡部幸也(riLLa)
スタイリスト:上野健太郎

林遣都(ハヤシケント)

1990年12月6日生まれ、滋賀県出身。2007年に「バッテリー」で俳優デビュー。第31回日本アカデミー賞をはじめ多くの新人俳優賞に輝いた。主な出演作には映画「DIVE!!」「風が強く吹いている」「私をくいとめて」「犬部!」「恋する寄生虫」、ドラマ「おっさんずラブ」「初恋の悪魔」など。

衣装協力
ヘアメイク:中西樹里
スタイリスト:菊池陽之介

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