映画ナタリー Power Push - 「掃苔のすすめ ～お墓を巡る物語～」
掃苔人・夏帆が教える偉人たちの知られざる一面
生涯を女優として全うするのはすごいこと
──今回の番組で扱われる田中さん、森光子さんはともに生涯を女優として生きられた方だと思うのですが、そのような人生に触れてどのように感じましたか？
歳を重ねていくごとに自分自身や、周りとの関係も変わってくるので、生涯を女優として全うするのは本当にすごいことだなと改めて思いました。
──それは憧れるということ？
そうですね。続けるってすごく大変なことだと思うので。憧れますね、やっぱり。
──田中さんのお墓はすでにお参りされたそうですが、いかがでしたか？
「ここに眠っていらっしゃるんだな」と思うと、不思議な感覚になりました。実際にお話できるわけではないですけど、挨拶をしにきたというか、大先輩に会いにきたという感じで、背筋が伸びました。本当に偉大な方なので、先輩とか憧れとか語るのもおこがましいぐらいなんですが（笑）。
──夏帆さんも同じように生涯を女優として全うしたい思いますか？
そうですね……だんだんと将来のことも具体的に考えるようになってきて、今はまずはこの仕事を続けることを目標にしています。辞めることは簡単なので。どこまで続けられるかはわからないですが、続けていきたいです。
──ほかの選択肢は考えられないと？
もちろん、今からでもほかの道は選べると思うんです。でもこの仕事は、「いつでも辞められるからいいや」とほかの選択肢を前提にした心構えで続けられるものではないと思うので。この番組に関わってみて、田中さんはもちろんほかの方々に対しても、ひととなりを知っていく中で、その核にある覚悟というものを強く感じましたし、私もより一層この仕事に対して真摯に向き合っていきたいと思いました。
お墓を通して知らなかった一面が見えてくる
──今回の番組で紹介するお墓は、変わったものが多いですね。
さきほど開高さんのお墓をお参りさせてもらったのですが、墓石を見るだけであったかくて、おおらかな人だったことがわかる素敵なものでした。
──自然石をそのまま使用した、温かみのある墓石ですよね。
奥さまが開高さんのために建てたというエピソードも含めて、素敵だなと。今まで開高さんの作品を読んだことがなかったのですが、お墓を訪れ、また関係者の方から生前のお話を聞けて、作品を読んでみたいと思いました。
──なるほど。では寺山修司さんのお墓はいかがでした？
すごくユニークなお墓で、寺山さんらしいなと思いました。
──白紙の本のオブジェが墓石に載っていて、独創的ですよね。
お母さまが寺山さんのために建てたものだそうです。お墓を見るだけでお母さまの寺山さんへの思いが伝わってくるのが興味深かったです。寺山さんの作品には、お母さまをモチーフにしたものがたくさん出てくるので、無意識にそのイメージがよみがえったのかもしれませんね。
──お母さまが建てたと聞くと、見え方が変わってきますね。
そうですね。今回のロケで巡ったお墓は、どの方も家族とのつながりが見えてきて、家みたいだなと思いました。誰がなんのために建てたのかとか、建てた人とその人との関係とか、それぞれ個性があって。お墓を見るだけで、その人が生前どのように思われていたかもわかって面白かったです。お墓を通してその人と向き合うことで、今まで知らなかった一面が見えてきて興味深かったです。
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- WOWOWプライム「掃苔のすすめ ～お墓を巡る物語～」
- 「掃苔のすすめ ～お墓を巡る物語～」
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WOWOWプライム
2015年10月17日（土）スタート
毎週土曜 13:00～ほか ※全3回
出演者：夏帆
ラインナップ
- 10月17日（土）三船敏郎 / 黒澤明
- 10月24日（土）森光子 / 田中絹代
- 10月31日（土）開高健 / 寺山修司
女優の夏帆が案内人を務め、俳優、映画監督、文筆家など各界第一人者の墓を3回にわたって紹介。墓碑銘や墓石の形状、墓地の由来を通して故人やその家族の秘められたエピソードを見つめていく。第1回の放送では俳優・三船敏郎と映画監督・黒澤明の墓を訪問。三船の墓石に刻まれた納骨されていない人物の名前の由来、自身とは縁のない鎌倉の地に墓を建てた黒澤の真意を照らしだす。
夏帆（カホ）
1991年6月30日、東京都生まれ。2003年、スカウトをきっかけにデビュー。2004年、CM「三井のリハウス」11代目リハウスガールに抜擢される。2007年公開の初主演映画「天然コケッコー」で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか多数の映画賞に輝く。以後、ドラマ「ヒトリシズカ」「みんな！エスパーだよ！」「夢を与える」、映画「箱入り息子の恋」「パズル」「海街diary」などに出演し、キャリアを重ねる。出演作「ピンクとグレー」の公開を2016年に控える。
