極上の音楽とダンスに酔いしれろ！4人が選ぶ「名シーン」

──本作はミュージカル調の演出も多く、劇中歌だけでも10曲ほどあります。皆さんが特に印象に残っている歌やダンスのシーンはどこですか？

あんり　私は序盤の、インド警察のディルとカビールが雑貨店でリュックを探すシーンですね。店主も歌に乗せられていって、結局リュックの場所を白状しちゃう流れがもう最高で。

田辺　あれ、私も大好き。

あんり　店主が階段を登っていくところとか、ノリノリで憎たらしいくらい面白い。「あ、もうこれインド映画じゃん！」って、開始早々あそこで心をつかまれましたね。

田辺　私はオタクなので、まず声優さんの豪華さに驚いたんですよ。ディル役が速水奨さんで、カビール役が山寺宏一さんですよ？ 冒頭でこのお二人のデュエットが聴けただけで「あ、もうチケット代のもとは取れたな」って確信しました（笑）。

あんり　早すぎない？

田辺　だって、まさか「クレヨンしんちゃん」でこんなぜいたくなハーモニーが聴けるなんて思ってもいなくて。

酒寄　私はウルフの歌（「ザ ウルフ」）が好きですね。見た目はイケメンなのに、「君さえいればどんな冬でもチョーあたたかい それは暖房」とか、絶妙にダサい韻ばっかり踏んでて（笑）。

あんり　ウルフはちょっと、いや、かなりおバカだよね。

きりや　そこがいいんだよね。ウルフが「Music Start!」ってキメて歌おうとするのに、ボーちゃんがスッと音楽を止めちゃうシーンも大好き。ボーちゃんのあの冷たい感じがたまらない（笑）。

酒寄　そうそう。ウルフはことあるごとにボーちゃんにグータッチを求めてるのに、ボーちゃんは一切リアクションしないとかね。

きりや　あと、ひとりぼっちになったしんちゃんが、現地の人を巻き込んで歌った「オラはにんきもの～インドバージョン～」も好きですね。インドバージョンのアレンジが新しくて、でも懐かしさもあって。しんみりしたシーンのあとだったので、余計に最高でした。

ぼる塾は断然ナンよりもチャパティ派!?

──インドが舞台の作品ですが、皆さんはインド料理はお好きですか？

田辺　私は10年前から「チャパティ普及活動」をしてます。

──普及活動？

田辺　インド料理屋さんに行くと、みんなナンばっかり頼むじゃないですか。でも私は断然チャパティ派なんです。ナンはすぐにおなかいっぱいになっちゃうけど、チャパティは薄くて軽いから、カレーのルーを無限に楽しめるんですよ！ もちろん家にも冷凍チャパティをストックしていますし、ずっとSNSで「チャパティ最高！」って発信し続けてきたんです。

あんり　映画館で隣に座ってた田辺さんが、劇中でチャパティが登場した瞬間に前のめりになったときは怖かったです（笑）。特にクライマックスでは、チャパティに感情移入しすぎて泣きそうになってましたから（笑）。

田辺　「ずっと日の目を見なかったお前が、こんなに立派になって……」って、完全にチャパティ側の気持ちになっちゃって（笑）。

酒寄　私もチャパティ派ですね。ナンとライスのいいところ取りって言うか、具材の邪魔を一切しないんですよね。

田辺　そうなの。特に御徒町の「アーンドラ・キッチン」っていうお店がお薦めで。

酒寄　あそこおいしいよね。

きりや　知ってるの？

酒寄　田辺さんとはよく、おいしいチャパティを求めて御徒町を練り歩いているから、このお店もよく……。

あんり　ちょっと待って、映画の話してくんない？（笑） グルメ誌の取材じゃないんだから（笑）。

きりや　実は私、昨日、人生で初めてチャパティを食べに行ったんですよ。思った以上においしくて。私もこれからはチャパティ派になるかも。

あんり　はるちゃん、話聞いてる？

田辺　やっと時代がチャパティに追い付いてきたみたいでうれしい。

──僕はまだ食べたことがなくて。ナンと違って発酵させないらしいですけど、トルティーヤとかともまた違うんですか？

あんり　え？ ナタリーさんってグルメ誌でした？（笑）

アリアーナに共感「本当の自分とは？」

──また今回の映画のテーマは「本当の自分とは？」でした。職業柄、皆さんも共感する部分が大きかったと思いますが、ここはいかがでしたか？

田辺　これは本当に共感できます。私もアリアーナちゃんのように「田辺さんってこうだよね」って、勝手にイメージを決め付けられることがよくあるんです。それがあまりに強くて、一時期は「本当の田辺って何？」って悩んだこともあって。だから最後の「完璧な人間なんていないんだ」って言うセリフは刺さりましたね。

きりや　私もアリアーナちゃんにはすごく共感しました。彼女が、しんちゃんたちの友情を目の当たりにしてうらやむシーンがあるじゃないですか。素晴らしいことだと頭ではわかっていながら、そんな関係性をひがんでしまう自分がいたりもして。私も、ぼる塾のみんなのピンの仕事が増えてきたときに、「おめでとう」って思わなきゃいけないのに、心のどこかで「なんでみんなばっかり」って思っちゃう瞬間があって……。そんなときには「私って嫌なやつだな」って自己嫌悪に陥ったりもするんです。

あんり　いや、でもそういう感情は持ってないと逆におかしいでしょ。「おめでとう」だけで済むなんて、そっちのほうが変だよ。

きりや　……ほんと？

あんり　だって、悔しいって思うのは、自分もがんばりたいって思ってる証拠なんだから。それは健全なことでしょう。

きりや　（うるうるして）あんり……!!

あんり　やめてよ気持ち悪い（笑）。

酒寄　でもやっぱり4人でいるときが一番自然体だし、強くいられるのは確かだよね。

──素晴らしい関係性ですね。劇中でカビールがディルとはぐれてヘニャヘニャになっちゃうけど、再会した瞬間に強くなるシーンと似てますね。

あんり　その気持ちはすごくわかります。1人だと不安になるけど、メンバーと一緒なら強気になれる。私にとってのディルが、この3人なんだなって。

一同　あんり……!!

あんり　だからやめろってば（笑）。

もしもぼる塾が映画に出るなら？満場一致の“暴君”はあの人

──今回の映画は、普段おとなしいボーちゃんが【暴君（ボーくん）】になってしまうという展開でした。もし、ぼる塾の中で誰か1人が“暴君”になるとしたら、誰だと思いますか？

あんり　これはもう、満場一致で酒寄さんです。

きりや・田辺　（深くうなずく）

酒寄　ええー？ 私？

あんり　私たち、酒寄さんが本気で怒ったところを見たことがないんですよ。だからこそ底知れない恐怖があるというか……。「私が怒ってるうちはまだいいけど、酒寄さんが怒り出したら終わりだよ」って、後輩にも言い聞かせてますから（笑）。

酒寄　そんなことないですよ！ 私は自分ではマサオくんだと思ってるんです。気が弱くて、すぐ強いものに巻かれるタイプだし。

田辺　いや、マサオは私だね。

あんり　そう、田辺さんは絶対マサオ（笑）。それで言うとはるちゃんはウルフかな。

きりや　え？ 「いい男」っていうこと？

あんり　いや、いいものを持ってるのに残念なところ（笑）。あと強い相棒を探しているところもピッタリ。

──（笑）。それでは最後に、これからBlu-rayやDVDで本作を楽しむ読者に向けてメッセージをお願いします。

きりや　観終わったあとは絶対にカレーが食べたくなります！ 観る前にお気に入りのカレー屋さんを探してから観るのがお勧めです。

酒寄　劇中に出てくる「ダンニャワード（ありがとう）」とか「インドパワー」っていうセリフがすごく使いやすいので、ぜひ日常会話に取り入れて遊んでみてほしいですね。わが家の息子も、毎日しんちゃんごっこをして楽しんでます。

あんり　何度観ても新しい発見がある映画です。私のツッコミ解説を頭の片隅に置きながら観てもらえると、また違った面白さが見つかるかもしれません。ぜひ家族みんなで楽しんでください！

田辺　私がトリ？ どうしよう？ ヤバい、急に緊張してきた（笑）。えーと、「これからもチャパティをよろしくお願いします」？

あんり　違うでしょ（笑）。

田辺　あ、そうだ！ 知らない土地でもまったくひるまない強さは特に心に刺さりました。私もしんちゃんみたいなたくましいマインドを持って、これからもいろいろな場所でがんばっていこうっていう気持ちになれたので、ぜひ皆さんもしんちゃんから勇気をもらってください。

──本日はありがとうございました！

一同　ダンニャワード！（ありがとう）