映画ナタリー PowerPush - ナタリー×「龍三と七人の子分たち」
ジジいいね! 龍三と七人の応援団
EXILE / 三代目 J Soul Brothers NAOTO編
元ヤクザの龍三ら8人のジジイがオレオレ詐欺集団のアジトにカチコミ! 北野武監督最新作「龍三と七人の子分たち」は、これまでのどの北野映画よりもエンタテインメント性が高く、老若男女楽しめる作品となっている。
ナタリーでは、映画、音楽、コミック、お笑いなど多方面から“龍三応援団”を募集し、映画の公式サイトと連動したインタビュー企画を実施。映画ナタリーのオープニングを飾るのは、三代目 J Soul Brothersのリーダー、NAOTO。独自のリーダー論や映画への熱い思いを語ってもらった。
取材・文 / 岡大 撮影 / 小坂茂雄
エンディングまで1ミリも予想できなくてドキドキしました
──この映画には大勢のジジイが登場して若いやつらを相手に大暴れしますが、お気に入りのジジイはいましたか。
いますいます。全員が個性的なので選ぶのが難しいんですけど、個人的には「早撃ちのマック」ですかね。手がぷるぷる震えるからすぐ銃を撃っちゃうっていうのが、めちゃくちゃ面白かったです(笑)。
──もともと、北野武監督の映画はご覧になっていましたか。
かなり観ています。最初に観たのは「その男、凶暴につき」か「ソナチネ」で、ほとんど全部観ているはずです。北野監督の作品って派手な演出があるわけではないのに、狂気や恐怖がじわじわと迫り来る感じがします。海外でも「キタノブルー」と呼ばれて評価されていると思うんですが、映像から伝わってくるすごく冷たい感じだったり、哀愁だったり、北野監督の作品でしか観ることができないものがありますよね。あと、無言のシーンや無人のシーンによって生み出される“間”が強烈に印象に残っています。
──そんな北野映画の中で「龍三と七人の子分たち」はちょっと異色ですよね。
確かに、テンポのいいお笑いの部分が強烈ですからね。でも、独特の間や空気感も残っていて、ビートたけしさん要素と北野武監督要素の両方が感じられる作品だと思いました。何分かに1回必ず笑えるポイントを持ってくるところがたけしさんの真骨頂ですよね。ネタバレになるから詳しくは言えないんですけど、「はばかりのモキチ」役の中尾彬さんの扱いがひどすぎて最高でしたね(笑)。ゲラゲラ笑っちゃいました。
──コメディタッチの映画は好きですか?
大好きです。根っからのお笑い好きなので。高校時代に本気でお笑い芸人になりたいと思っていた時期もあって、友達と組んでコントをやったりしていたんですよ。だから、今回は始まってすぐ笑いの路線に振り切った作品なのかなと敏感に反応しました。でも笑いだけじゃないんですよね。いきなり藤竜也さんがオレオレ詐欺に引っかかったりして、いろんなところに現代社会への風刺が込められていて。それと、全編通して何が起こるか本当にわからなかったんですよ。この映画がどこに向かっているのか、エンディングまで1ミリも予想できない展開が素晴らしくてドキドキしました。極上のエンタテインメントだなと思いました。
パワフルなおじいちゃんが日本を元気にする
──笑いの要素の奥に何かメッセージは感じましたか?
今の高齢化社会で、パワフルなおじいちゃんたちが活躍する映画はそれだけで日本を元気にする力があると思います。おじいちゃんたちがもう一度青春を探すようなところもありますよね。この歳になってもやんちゃなことができる、自分の生きたいように生きられる、第2第3の青春があるというのは、僕らも夢が持てますし、お年寄りの方もすごい元気をもらえると思います。「高齢化社会も捨てたもんじゃない」と思ってもらえるんじゃないですかね。こんなおじいちゃんたちが世の中にいっぱい出てくれば、めちゃくちゃ元気で楽しい日本になると僕は思います。
──実際にジジイたちを演じた役者さんたちも元気ですよね。
役の年齢に近い方たちがあれだけバリバリと演技しているだけですごいと思いますし、しかもそれがベテランの方にしか出せない味のあるお芝居で。本当に全員素晴らしくて、お芝居の勉強をさせてもらいました。
──藤さんとは同じ映画(「サクラサク」)に出演されたことがありますよね。
そうなんです。共演シーンはなかったんですが、撮影中の楽屋とかではお会いしました。藤さんは激かっこいい! 渋すぎます。自ら役にストイックにアプローチしていく姿勢が本当にカッコよくて。お会いしたときもそうですけど、スクリーンに映っている藤さんはさらに輝きまくってます。シリアスな「サクラサク」のときと比べると今回はびっくりするぐらいの振り幅で、同じ役者さんとは思えない。そこに圧倒されちゃいますね。これから、藤さんの若い頃の作品をたくさん観てみようと思ってるんですよ。
次のページ » 龍三たちみたいにチャーミングなジジイになりたい
「龍三と七人の子分たち」 2015年4月25日 全国公開
70歳の高橋龍三(藤竜也)は、「鬼の龍三」と呼ばれおそれられていた元ヤクザの組長。ある日、オレオレ詐欺に引っかかったことをきっかけに、元暴走族で構成される「京浜連合」と因縁めいた関係になる。詐欺や悪徳商法を繰り返す「京浜連合」にお灸を据えるため、博打好きの兄弟分「若頭のマサ」(近藤正臣)や寸借詐欺で生活する「はばかりのモキチ」(中尾彬)、戦争に行ったこともないのに今でも軍服に身を包む「神風のヤス」(小野寺昭)、ほかにも「早撃ちのマック」「ステッキのイチゾウ」「五寸釘のヒデ」「カミソリのタカ」という異名を持つ仲間たちと「一龍会」を結成。次々に「京浜連合」の活動を妨害していくが……。
スタッフ
監督・脚本・編集:北野武
音楽:鈴木慶一
キャスト
龍三親分:藤竜也
若頭のマサ:近藤正臣
はばかりのモキチ:中尾彬
神風のヤス:小野寺昭
早撃ちのマック:品川徹
ステッキのイチゾウ:樋浦勉
五寸釘のヒデ:伊藤幸純
カミソリのタカ:吉澤健
京浜連合ボス・西:安田顕
京浜連合・北条:矢島健一
京浜連合・徳永:下條アトム
龍三の息子・龍平:勝村政信
キャバクラのママ:萬田久子
マル暴の刑事・村上:ビートたけし
毎週更新!カウントダウン・インタビュー
- ナタリー×「龍三と七人の子分たち」
- EXILE / 三代目 J Soul Brothers NAOTO
- 芸人 大久保佳代子
- マンガ家 清野とおる
- Dream / E-girls Aya
- 監督 北野武
EXILE / 三代目 J Soul Brothers(エグザイル / サンダイメジェイソウルブラザーズ)
NAOTO(ナオト)
1983年8月30日、埼玉県生まれ。20代はじめにダンス修行のため渡米し、ロサンゼルス最大規模のダンスイベント「CARNIVAL」などに出演する。帰国後、浜崎あゆみやAI、BENNIE Kらのバックダンサーを務め、2007年、二代目J Soul Brothersに加入。本場仕込みのダンスが認められ、2009年、EXILEにメンバー入りし、2010年からは三代目 J Soul Brothersのリーダーを兼任している。また役者としても活動し、ドラマ「フレネミー~どぶねずみの街~」で主演を務め、田中光敏監督「サクラサク」では、緒形直人ら実力派俳優と共演を果たした。現在、情報番組「バイキング」の火曜MCを担当。3月25日には、EXILEのニューアルバム「19 -Road to AMAZING WORLD-」がリリースされる。
2015年4月21日更新