Netflixオリジナルアニメシリーズ「ULTRAMAN」潘めぐみインタビュー|ウルトラマンになれた!愛で夢を叶えた喜びを全世界へ

ウルトラマンが地球を去った“その後”の世界を描く3DCGアニメーション「ULTRAMAN」が、Netflixオリジナルコンテンツとして4月1日に全世界で一斉配信された。月刊ヒーローズで連載中の同名コミックを原作に、神山健治と荒牧伸志が共同監督を担当。初代ウルトラマンこと早田進の息子である進次郎が、新世代のウルトラマンとなるべく奮闘する。

映画ナタリーでは、本作でACE / 北斗星司役を務めた潘めぐみにインタビューを実施。生粋のウルトラファンである潘が、念願叶ってウルトラマンに! その喜びや、特撮版へのオマージュたっぷりの本作の見どころ、リピート視聴時の注目ポイントなどを語ってもらった。

取材 / 大内ライダー 文 / 金須晶子 撮影 / 入江達也

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ウルトラファンとしては「その先の世界が見られる」

──今日はNetflixオリジナルアニメシリーズ「ULTRAMAN」の魅力をアピールしていただきたいと思います。先ほど円谷プロさんから「リミッターを解除していただいて大丈夫」と言われたので、どんどんお話しいただければ。

わかりました!(笑)

「ULTRAMAN」より、ULTRAMAN(CV:木村良平)。

──潘さんは役が決まるはるか前から原作コミックをご存知だったと思いますが、ウルトラマンが地球から去ったあとの物語という背景や、等身大サイズのウルトラマンが戦うといった設定に対して、どのような印象をお持ちでしたか?

ウルトラマンのファンとしては「(従来のシリーズの)その先の世界が見られるんだ」という期待がありました。中でも“等身大のウルトラマン”であるところが印象として大きくて。やっぱり“光の巨人”ウルトラマンって、ビルよりも大きいイメージじゃないですか。だけど今回のULTRAMANは等身大。なぜだろう?と考えたとき、主人公の早田進次郎が高校生であるところに始まり、登場人物の“等身大さ”もリンクしてくると思うんです。「ウルトラマン」シリーズって、主人公が地球を守る使命感を最初から持っていることが多いですけど、「ウルトラマンジード」あたりから、主人公が等身大の男の子だったりして。今回のULTRAMAN SUITが等身大なのは、その人物自体も等身大なんだという意味が込められているのかなと思いました。だから、ウルトラマンになりきれない精神的な幼さだったり、人を守るって何? 異星人の命を奪うってどういうこと?と考える余地があったりして。

「ULTRAMAN」より、ACE(CV:潘めぐみ / 右)。

──男の子の成長物語でもあるわけですね。

いきなり地球を守る力を託されて「あなたならどうしますか?」と言われたとき、自分にできるんだろうかって。進次郎も最初はそれに悩むけど戦う。その過程も等身大でリアルですよね。

ウルトラマンが好きだ!という思い

──潘さんと言えばウルトラシリーズのファンとして知られており、自身も「ウルトラマンになりたかった」と以前より公言されていました。モーションコミック(※原作コミック8巻特装版付属のDVDに収録された映像。潘は北斗星司役と南夕子役を務めた)から続投という形で、今回アニメーションでACE / 北斗星司を演じることが決まったわけですが、どのような心境でしたか?

「ULTRAMAN」より、左から早田進次郎(CV:木村良平)、北斗星司(CV:潘めぐみ)。

声のお仕事をさせていただいてるからこそ、なれたのかなと思います。「ウルトラマンR/B」ではウルトラウーマングリージョが女性ウルトラ戦士として久しぶりに登場しましたけど、女性がウルトラマンになれる可能性って男性より限られているので。だけど声の職業だからこそ「ジード」でペガとして携わらせていただけたし。そのうえ、まさかウルトラマンになれるとは自分でも思っていなかったので……。ご縁に感謝ですね、本当に。

──モーションコミックとアニメーション、演じるうえで変化した部分はありましたか?

あまり意識して変えたことはなかったんですけど、アニメーションではそれぞれ戦う理由がより明確になってくるんです。だから北斗も「戦う動機は常に南夕子」という確固たる意識はありました。

──ちなみに、アニメ本編の夕子の声は潘さんがやられているんですか? スタッフロールには表記がありませんでしたが。

そうです! でもセリフとしてはワンワードぐらいしかなくて。

──やはりそうだったんですね! モーションコミックでも北斗と夕子を演じられましたが、当時オーディションがあったんですか?

潘めぐみ

いえ、なかったんです。私、モーションコミックの第1話で進次郎の子供時代の声をやらせていただいて。進次郎はウルトラマンになる運命を背負った少年なので、自分としては「ウルトラマンになれた!」という気持ちだったんです。だから、もう作品に携わらせていただけるのはこれで最初で最後かもしれないという思いで、スタッフの方に「子供のときからウルトラマンが本当に大好きで……ありがとうございました!」って伝えに行ったんですよ(笑)。進次郎の子供時代のお芝居を評価していただいて、ACE役につながったのだとは思うのですが、もしかすると私の「ウルトラマンが好きだ」という思いがお芝居にうまく乗せられたのかもしれません。

──熱い思いがここまでつながったのかもしれませんね。もはや潘さんはミス・エースですよ!

あはは! ありがとうございます。ACEとして作品に携われるなんて1mmも思っていませんでした。

──少年役を演じることが多い潘さんだから、北斗星司役でということだったんですかね。

そこに賭けてくださったんじゃないでしょうか。だってモーションコミックやアニメでは、ULTRAMANとSEVENは男性の方が演じられていますし。バランスを取るとしたら男性声優さんが担当されてもおかしくないので。

──出演が発表されたあと、「ジード」の主人公・朝倉リクを演じた濱田龍臣さんは赤飯を炊いたという話がありました(参照:「ULTRAMAN」スペシウム光線へのこだわりとは?濱田龍臣のウルトラマン愛もさく裂)。

ありがたいですねえ!

「ULTRAMAN」より、ACE。

──出演決定後、多くのイベントやTwitterでも反響があったと思いますが、ファンの声は入って来ましたか?

今でこそ「ジード」のペガや「怪獣娘~ウルトラ怪獣擬人化計画~」のエレキングだと認識してもらえていますけど、ウルトラマンとして初めて関わったお仕事は「ULTRAMAN」のモーションコミックだったので。だから「潘さん、ついにウルトラマンになれたんですね! おめでとうございます!」という声が多かったです。もちろん自分でもうれしかったですけど、周りの人のほうが喜んでくれていたのがうれしい。ちょっとした感謝の気持ちを返せたのかなって。みんなの夢が自分の夢になったというか。

──素敵な話ですね。僕も発表されたとき、潘さん来た!と思いましたよ。ちなみに特撮版の「ウルトラマンA(エース)」にもともと思い入れはあったんですか?

幼少期に「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」は観ていたんですけど、実は「エース」には触れられていなかったんですよ。だから「ULTRAMAN」のモーションコミックでエースになれるというところで、初めてしっかり観たんです。(特撮版では)途中で南が(月に)帰っちゃう!って。でもそのあともオープニング(の歌詞)は「北斗と南」のままなので、変わらず2人で1つのウルトラマンなんだなと思いました。

監督から「北斗を演じてくれてありがとう」

──アニメーションで北斗を演じるにあたって、神山健治監督や荒牧伸志監督から演出の指示はありましたか?

潘めぐみ

実はあまりなくて。任せていただける部分が多かったので、ありがたかったです。収録に入る前、食事会みたいなものがあって、そのときに「北斗はモーションキャプチャーの段階から女性にやってもらっています」と話していただいたんです。モーションアクターの芝井美香さんのお芝居がもともとあって、そこに私の芝居が重なるという形だったので、2人で演じてACEになれるというか。2人で1つって、こういうことだな……ACE!と思いました。芝井さんも不思議とご縁があって、以前、ほかのゲーム作品でもご一緒していたんですよ。だから今回またご一緒できてうれしかったです。

──先ほどから特撮作品への愛を感じます。スタッフさんも、潘さんなら大丈夫というのがきっとあるんですね。

どうなんでしょう? 収録現場では、両監督とゆっくりお話しすることはできなかったんです。でも最終話のダビング作業の現場に伺ったときに「ACEを演じてくれて、北斗を演じてくれてありがとうございました」とおっしゃってくださって。それだけでもう十分! ディレクションの数よりも、その言葉だけでACE冥利に尽きます。

──この役を演じて楽しかったこと、難しかったことはありましたか?

やっぱりモーションアクターさんが演じたあとで自分が演じるのはチャレンジングでした。モーションを撮影している現場の空気と、こちらのアフレコする呼吸や間の取り方はきっと違うんですよね。それを、いかに芝井さんのお芝居を理解して返していけるかが難しくて。でも後半になるにつれ息が合ってくる瞬間があって心地よかったです。

──キャラクターのスーツに声を当てるのとはまた違うのでしょうか。

違います。モーションキャプチャーだと、口(の動き)がある程度付いているんです。洋画の吹替で違う言語を話す生身の人間の口元に当てることはあっても、日本語を話しているところに日本語を当てるのはこれまで多くはなくて。だから昔の特撮に近いのかな。同録ができなかった撮影時代、ご自身に当てられていたじゃないですか、皆さん。それに近かったと思います。