映画ナタリー Power Push - 「何者」
就活は静かな戦争!? 6人の俳優が語る若者たちの“リアル”
就活体験はとても楽しかった
──「何者」との出会いはいつ頃でしたか? 理香というキャラクターには、どのような第一印象を抱いたのでしょうか。
最初に脚本を読ませていただきました。そのときは理香の性格の悪さが出てしまっている場面もあるけど、最終的には本質はピュアなキャラクターなんだというのがちゃんと見えるお話だなと感じました。
──この役を演じるにあたっては、何か参考にされたものはありますか。
特にはありませんでした。三浦大輔監督とリハーサルや撮影現場で話し合いながら作品に参加させていただきました。原作のイメージにぴったりだと皆さんに言っていただけているようでありがたいです。意識が高いことはいいことだと思うので、私も理香を見習って意識を高く持って歩んでいきたいなと思います。
──メインのキャラクター6人はそれぞれタイプが違いますが、二階堂さんがご自身に一番近いと感じる人物は?
私は、演じるときは自分とキャラクターの似ている部分や違うところをあまり考えないんです。でもそれぞれに近い部分はきっとあるんじゃないかなと思います。
──なるほど。クランクイン前には、ほかのキャストの皆さんと一緒に就活体験をされたそうですね。
実際の就職活動の流れに沿って、エントリーシートを書いたり、筆記試験、集団面接、グループディスカッション、最終面接を経験しました。あくまでも体験なので、とても楽しくやらせていただきました。
撮影が大変だったのはグループディスカッションの場面
──三浦監督は舞台作品の演出を多く手がけてきた方ですが、ほかの現場と違うと感じた点はありました?
作品によって毎回いろいろな違いはありますが、舞台に近い現場だなという感覚はありましたね。それが監督のよさであると思うし、完成した作品を観たときにそのよさがすごく出ていたのでよかったなと思います。
──テイクを重ねられたそうですが、特に大変だったシーンは?
グループディスカッションのシーンが大変でしたね。理香が自分の留学経験やボランティアの体験を交えながら1人で勢いよくしゃべるところは、どうしても上辺の言葉で話すセリフなので苦労しました。セリフも長かったのでなかなか頭に入ってこなくて……。
──岡田将生さんとは恋人同士の役でしたが、岡田さんと役について話し合いはされましたか?
あまりしませんでした。2人だけのシーンはなくて5人でいることが多かったので、あくまでもそのグループの中で付き合っている人たちという感じで演じていました。
──そうなんですね。岡田さんは「二階堂さんは昔からよく知っているから安心して現場に入れた」とおっしゃっていました。
岡田さんとは5、6年前から何度かご一緒させていただく機会があって、今回久しぶりにお会いすることができました。共演回数が多かったということもあって甘えられる部分がありましたし、岡田さんの演技を見て勉強させていただくこともたくさんありました。
架純ちゃんはエンジェル系女子、岡田さんは癒し系男子
──撮影の合間は共演者の皆さんと一緒に過ごされていたんでしょうか?
カードゲームで遊んだりとか、佐藤健さんが水平思考推理クイズを出してくれて、それをみんなでがんばって解いたりしていました。ゲームは健さんが一番強かったですね。
──主要キャラクターにはそれぞれキャッチコピーが付いていますが、二階堂さんが共演者の皆さんにコピーを付けるとしたら?
健さんはまさに冷静分析系だと思います。主演として私たちだけでなく組全体を引っ張ってくれて、すごく頼りになる方でした。有村架純ちゃんはエンジェル系女子ですね(笑)。大天使でかわいい方でした。ヒロインとしての説得力がある唯一無二の方ですし、彼女の存在はこの作品の救いでもあると思います。架純ちゃんとは現場でもいろんなことを楽しくお話していて、たわいもない話をできる関係性っていいなと思いました。
──菅田将暉さんや岡田さんはいかがでしょうか。
菅田くんは音楽のようなバイブスがあるので、音楽系男子ですかね? 彼自身が実際に音楽をやっているというのもあると思うんですけど、ちゃんと自分の音楽を持っている方だなって感じます。岡田さんは癒し系男子だなと思います。おおらかな方でなんでも受け止めてくださるし、ほかの人の話もちゃんと聞いてくださるいい先輩ですね。
──共演シーンはありませんでしたが、山田孝之さんは?
山田さんは真顔で面白いことを言ったりやったりしてくれる方なんです。そのまま面白系男子ですかね。
私たちの仕事はずっと就活中
──共演者の皆さんの中で、二階堂さんから見て「この人は就活が得意そうだな」と感じる方はいらっしゃいますか?
みんな得意そうなので選べませんが……。健さんはすごくしっかりされているし頭もいいので、企業が欲しいと感じるような方なんじゃないかなと思いますね。
──なるほど。少し話は変わりますが、ご自身にとって「振り返ればあれが就活だった」と思う経験はありますか?
私たちの仕事にはオーディションがあったりするので、就活は今も続いてる感覚ですね。この仕事をしている限りはずっと就活中だなと思います。
──では最後に、「何者」の公開を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
今現在というものを表した作品になりました。就活生だけにフォーカスするのではなく、この社会を映し出している映画だと思います。きっといろんな感想が出るとは思いますが、ぜひ皆さんに観ていただけたらうれしいです。
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「何者」2016年10月15日より公開
かつて演劇サークルに所属し、脚本の執筆や芝居に熱中していた大学生・拓人。今ではリクルートスーツに身を包み、ルームメイトの光太郎とともに就職活動に本腰を入れようとしている。拓人は光太郎の恋人だった瑞月に思いを寄せているが、彼女はいまだ光太郎に未練があるようだ。ある日、自分たちが暮らす部屋の上階に瑞月の友人・理香が住んでいることを知った拓人と光太郎。彼らは理香の提案で、就活の情報交換のため彼女の部屋に集まるようになる。理香の就活のやり方や、彼女と同棲中の恋人・隆良の就活生を見下すような態度に違和感を覚えつつ、拓人はままならない現実に次第に焦りを感じるように。そんな日々の中で、ついに仲間内から1人目の内定者が現れて……。
スタッフ
監督・脚本:三浦大輔
原作:朝井リョウ「何者」(新潮文庫刊)
音楽:中田ヤスタカ
主題歌:中田ヤスタカ「NANIMONO(feat.米津玄師)」
キャスト
二宮拓人:佐藤健
田名部瑞月:有村架純
小早川理香:二階堂ふみ
神谷光太郎:菅田将暉
宮本隆良:岡田将生
サワ先輩:山田孝之
©2016映画「何者」製作委員会
二階堂ふみ(ニカイドウフミ)
1994年9月21日生まれ、沖縄県出身。2011年に「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」で映画初主演を果たし、2012年の「ヒミズ」でヴェネツィア国際映画祭の最優秀新人俳優賞マルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞。以降も「ほとりの朔子」「この国の空」「蜜のあわれ」「オオカミ少女と黒王子」などに出演する。福山雅治と共演した「SCOOP!」が公開中。