「鋼の錬金術師」山田涼介 / 本田翼 / ディーン・フジオカ インタビュー|主要キャスト3人が語った本音と自信

荒川弘によるマンガを「ピンポン」の曽利文彦が最先端のCG技術を用いて実写映画化した「鋼の錬金術師」が、12月1日に全国で公開される。本作は、国家錬金術師である兄エドと弟アルの波乱に満ちた冒険を描くファンタジー大作だ。

映画ナタリーではエドに扮した主演の山田涼介(Hey! Say! JUMP)、ウィンリィ役の本田翼、マスタング役のディーン・フジオカにインタビューを実施。原作への熱い思いやイタリアにて行われた撮影、人気マンガのキャラクターを演じるにあたっての役作りについて話を聞いた。

取材・文 / 小澤康平 撮影 / ツダ商会(P3)

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山田涼介インタビュー

原作が本当に大好き
「鋼の錬金術師」は特別な作品

──山田さんは原作マンガの大ファンとのことですが、実写化されると知ったときはどう思いましたか?

原作が本当に大好きなんですよ。ずっとマンガを読んで育ってきたマンガっ子なんですが、その中でも「鋼の錬金術師」という作品は特別で。正直最初は「これだけは実写化駄目じゃない?」と思う気持ちがありました。

──原作ファンはそれぞれが「鋼の錬金術師」のイメージを持っていますもんね。

そうなんです。しかも、自分があのエドを演じるなんて当然想像すらしたことがないですから。なんで自分のもとにエド役のオファーが来たのかをじっくり考え、最終的には演じさせてほしいという気持ちになったんですが、そのあと監督が「こういうイメージで作っていきます」ということがわかるデモ映像を見せてくれて。そこにはスタッフさんが演じるエドと、アルが映っていて、それを観たとき実写化に関して「あ、これいける!」と思ったんです。アルには影があったので「すごいですね。鎧作ったんですか?」って聞いたら、「アルは全部CGです」と説明されて。日本の技術はここまで来たのかと思いました。

「鋼の錬金術師」

この役にすべてを懸ける
エド役は誰にも譲りたくなかった

──撮影はイタリアでスタートしたと伺いました。

僕が先にイタリアに入って、そのあと(本田)翼と石丸(謙二郎)さんが入ったのかな。撮影中は実際に錬金術が研究されていた場所に行きましたね。作品はファンタジーですけど、実際にキメラを錬金術で作ろうとしていた時代があったと思うと不気味で。だから100%フィクションとは言い切れないですよね。

──イタリアでは、曽利監督と車の中で熱く語り合ったそうですが。

ありましたねー(笑)。監督は「鋼の錬金術師」という作品をずっと映像化したくて、何年も構想していたと。CG技術は上がり、撮影の環境は整っている。でもエドを演じられる人がいないと。そんなときに僕に関心を持ってくれたみたいで。「山田くんが断ったら映画化できなかったかもしれない。ありがとう」とまで言ってもらえました。

「鋼の錬金術師」

──監督はこれまでの山田さんの出演作品を観ていたということでしょうか。

観てくれていましたね。監督以外の方もそうなんですけど、おしとやかなのか、ガンガンいくタイプなのか、クールなのか、会うまでは「どれが本当の山田涼介なんだ!」って感じみたいで。実際は僕ズバズバなんでも言う性格なので、監督も「男っぽくてエドと似てる」と思ってくれたみたいですね。ビジュアルは大丈夫、身長も大丈夫、あとは性格だと考えていたときにそのことがわかったみたいで、安心してもらえました。僕の中身もちゃんと見てくれていたんです。

──山田さんは監督に対してどんな思いを伝えたんですか?

僕もまず感謝の気持ちを話して、監督が作ったデモ映像を観てからはこの役を誰にも譲りたくないと思ったと。この役にすべてを懸ける、僕が生きてきた20数年の人生を注ぐことを伝えました。確か撮影が始まって2日目くらいで。監督といきなりそんな話をするって普通はないですよね。

アルのことが常に頭の中にあった
作品の力に吸い寄せられた現場

──エドの衣装を着た自分を最初に見たときはいかがでした?

最初は「ちげーな」って(笑)。たぶんエドに対する思いが強すぎるんでしょうね。でも映像の中の自分を見たときに「エドだ!」と思えました。

「鋼の錬金術師」

──髪を金髪に染めるなど外見は原作を意識されていると思うのですが、そのほかマンガのエドに寄せた部分はあるんでしょうか。

走り方ですかね。原作のエドはコミカルに走ったりするんですよ。あとオートメイル(エドが装着している義肢)って重いから、生身の人間がオートメイルを着けてどこまで動けるのかということを考えながら演技しました。

──エドが泣くシーンで、山田さんは自然に涙を流しているように感じたのですが、感情表現において苦労はなかったですか?

なかった! 泣けましたね、1発で。映像と違って現場にはアルがいないし、カメラの前に1人で立って「よーい、はい!」で撮影したんですけど、自然に涙が出て。

「鋼の錬金術師」

──目線の先には何もないってことですよね。

1人でこうやってる(上を見上げる仕草)だけです(笑)。なぜあそこまで自然に泣けたのかわからないし、記憶も正直あまりないんですけど、作品の持つ力に吸い寄せられたんですかね。撮影中は常にアルのことが頭の中にあって、数カ月間離れることはなかった。そういう状態で現場に行くと、いろいろな感情が放出されて。それだけ「鋼の錬金術師」という作品に対する思いが強いということなのかもしれません。でも、もう1回同じことはできないと思います。

素晴らしいストーリー
自分が出てる映画で初めて泣きそうになった

──完成した映画を観たときの感想を教えてください。

映像に迫力があるし、CGもとんでもなくすごいんですけど、ストーリーが本当に素晴らしくて。「鋼の錬金術師」は、やっぱり物語の面白さが一番の魅力なんです。

──映画では兄弟愛がテーマになってますよね。

そうですね。あと原作のマンガもそうなんですが、人間の弱い部分がすごく繊細に描かれていて、心の中ぐっちゃぐちゃにされるんですよ。ストーリーは大人向けなんだけど、アクションや笑えるシーンがあるから子供も楽しめる。そこがすごいですよね。

「鋼の錬金術師」

──ご自身の芝居についてはいかがでした?

CGが加わったことで、現場で予想していたものとはまったく違う見え方になっていました。自分の芝居というか、エドとアルが喧嘩する場面があんなに素敵なシーンになるとは。自分が出てる映画で初めて泣きそうになっちゃいました。

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本田翼 インタビュー

「鋼の錬金術師」
2017年12月1日(金)全国公開
あらすじ

幼い頃に最愛の母親を亡くした兄エドと弟アル。彼らは母親を生き返らせるため、錬金術における最大の禁忌(タブー)・人体錬成に挑んだ。しかし錬成は失敗に終わり、エドは左脚を、アルは身体のすべてを代価として失ってしまう。瀕死のエドはとっさに再錬成を行い、自分の右腕と引き換えにアルの魂を鎧に定着させることに成功した。それから数年後、鋼鉄の義肢を装着し国家錬金術師となったエドは、奪われたすべてを取り戻すためにアルと旅を続けている。

スタッフ
  • 監督:曽利文彦
  • 原作:荒川弘「鋼の錬金術師」(「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
キャスト
  • エド:山田涼介
  • ウィンリィ:本田翼
  • マスタング:ディーン・フジオカ
  • ホークアイ:蓮佛美沙子
  • エンヴィー:本郷奏多
  • マルコー:國村隼
  • コーネロ:石丸謙二郎
  • グレイシア・ヒューズ:原田夏希
  • グラトニー:内山信二
  • ロス:夏菜
  • タッカー:大泉洋(特別出演)
  • マース・ヒューズ:佐藤隆太
  • ハクロ:小日向文世
  • ラスト:松雪泰子
山田涼介(ヤマダリョウスケ)
1993年5月9日生まれ、東京都出身。男性アイドルグループ・Hey! Say! JUMPのメンバーであり、俳優や歌手として活躍している。2015年に公開された「映画 暗殺教室」で映画初主演を務め、伊坂幸太郎の小説をもとにした「グラスホッパー」や東野圭吾原作「ナミヤ雑貨店の奇蹟」に出演した。また2018年1月にスタートするテレビドラマ「もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~」では主役の警察官・北沢秀作を演じる。

2017年12月8日更新