荒川弘「鋼の錬金術師」を原作とした実写映画が、12月1日に全国で公開される。2016年5月に山田涼介(Hey! Say! JUMP)主演による映画化が発表され、原作ファンを中心にSNS上で大きな話題を呼んだ(参照:「鋼の錬金術師」実写映画化!エド役は山田涼介、2017年冬に公開)。2010年に完結し、7年経った今でも多くの読者に愛されている「ハガレン」の魅力とは。作品を“錬成”する5つの要素で紐解いていく。
また7月12日に開催された「鋼の錬金術師」ファンイベントの終了直後、イベントに登壇したエドワード役の朴璐美、アルフォンス役の釘宮理恵という、アニメ版「鋼の錬金術師」で主演を務めた2人にインタビューを実施。久しぶりのイベントを終えての心境や、今だから話せる放送当時の思い、また原作の魅力や実写映画への期待も語ってもらった。
マンガ好きであればその名を知らない人は居ないであろう「ハガレン」。その人気ぶりがどれほどのものだったか、連載当時のデータと共に振り返っていく。
シリーズ累計7000万部超
2度のアニメ化、それぞれ劇場版も公開
2003年に初のアニメ化を果たした「ハガレン」。オリジナルストーリーも交えつつ、全51話が放送された。ポルノグラフィティ「メリッサ」、L'Arc-en-Ciel「READY STEADY GO」、ASIAN KUNG-FU GENERATION「リライト」といった主題歌が印象に残っている人も多いのではないだろうか。
2005年には完結編となる「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」が全国の劇場で公開された。2009年には原作に準拠したストーリーを「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」というタイトルにて、改めてアニメ化。加えて2011年には完全オリジナルストーリーの劇場アニメ「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」も作られた。4作品いずれもアクションシーンに定評のあるボンズが制作を担当しており、荒川が描いた迫力のあるバトルシーンを見事に表現している。
少年だけではなく、女性や大人まで夢中にさせる「ハガレン」。なぜこれほどまでに愛されているのか。その理由に迫るべく、ここからは作品を“錬成”する5つの要素を紹介していく。
若き兄弟の消失と再生
“等価交換”を軸にした骨太ストーリー
「錬金術の基本は『等価交換』。何かを得ようとするならそれと同等の代価が必要って事だ」。物語は一貫して、この“等価交換”を原則に展開される。失った身体を取り戻すべく、等価交換の原則を凌駕した力を持つ“賢者の石”を追い求めるうち、国家や軍部が絡む巨大な陰謀に巻き込まれていくエドとアル。隅々にまで張り巡らされた伏線がクライマックスに向けて収束していく、練り込まれたストーリー構成は同作の見どころの1つだ。
「誰が豆つぶドちびかーーーッ!!!」
軽妙なタッチで描かれるお約束ギャグ
シリアスなパートの間で適度に挟まれるギャグ要素には、エドが気にしている身長いじりや、“マスタング大佐”と“牛乳”を毛嫌いするエピソードなど、お約束と言えるやり取りが多数盛り込まれている。ややもすると重くなりがちなテーマをグイグイ読ませるバランス感のよさも「鋼の錬金術師」の持ち味だ。
- 「鋼の錬金術師」
- 2017年12月1日(金)全国公開
- あらすじ
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幼い頃に最愛の母親を亡くした兄エドと弟アル。彼らは母親を生き返らせるため、錬金術における最大の禁忌(タブー)・人体錬成に挑んだ。しかし錬成は失敗に終わり、エドは左脚を、アルは身体のすべてを代価として失ってしまう。瀕死のエドはとっさに再錬成を行い、自分の右腕と引き換えにアルの魂を鎧に定着させることに成功した。それから数年後、鋼鉄の義肢を装着し国家錬金術師となったエドは、奪われたすべてを取り戻すためにアルと旅を続けている。
- スタッフ
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- 監督:曽利文彦
- 原作:荒川弘「鋼の錬金術師」(「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
- キャスト
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- エド:山田涼介
- ウィンリィ:本田翼
- マスタング:ディーン・フジオカ
- ホークアイ:蓮佛美沙子
- エンヴィー:本郷奏多
- マルコー:國村隼
- コーネロ:石丸謙二郎
- グレイシア・ヒューズ:原田夏希
- グラトニー:内山信二
- ロス:夏菜
- タッカー:大泉洋(特別出演)
- マース・ヒューズ:佐藤隆太
- ハクロ:小日向文世
- ラスト:松雪泰子
原作第1話の試し読みはこちらから
©2017 荒川弘/SQUARE ENIX ©2017映画「鋼の錬金術師」製作委員会
- 荒川弘「鋼の錬金術師①」
- 発売中 / スクウェア・エニックス
- 荒川弘(アラカワヒロム)
- 1973年5月8日生まれ。北海道出身の女性。1999年に月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス)にて「STRAY DOG」でデビュー。同誌での初連載「鋼の錬金術師」が雑誌の看板になるほどの大ヒットとなり、アニメ、劇場アニメ、ゲームなど多メディアでの展開が行われた。2003年には第49回小学館漫画賞少年向け部門を受賞。2011年には週刊少年サンデー(小学館)にて、初の週刊連載作品「銀の匙 Silver Spoon」を開始した。2017年12月には、山田涼介(Hey! Say! JUMP)主演による実写映画「鋼の錬金術師」が公開される。自画像として牛を使用するのは、実家が牧場経営なことと、丑年生まれで牡牛座であることに由来する。
2017年12月8日更新