「鋼の錬金術師」山田涼介 / 本田翼 / ディーン・フジオカ インタビュー|主要キャスト3人が語った本音と自信

ディーン・フジオカインタビュー

密度の濃い世界観に読めば読むほど引き込まれる原作

──今回「焰」の二つ名を持つ国家錬金術師マスタングを演じられたわけですが、まずはこの役のオファーがあったときのお気持ちを伺えますか。

ディーン・フジオカ

マスタング大佐役のお話をいただいてから原作マンガを読んだのですが、密度の濃い世界観に読めば読むほど引き込まれましたね。ファンタジーなんですが、現実世界との共通項と言えるさまざまなメタファーが含まれていて。マスタングというキャラクター自体にも、彼がどうして組織でのし上がっていくような生き方を選んだのかという意味で興味を持ちました。すごくやりがいのある仕事だと思ったので、曽利監督が作る世界の一部として自分が貢献できたらいいなと。

──具体的にはマスタングに対してどのような印象をお持ちでしょう。

彼ははっきりとした信念を持ち目標に向かって突き進み、感情を表に出さずに厳しい決断をするような生き方を選んだ人ですよね。ただ一方で、佐藤(隆太)さん演じる親友の(マース・)ヒューズや山田(涼介)くん演じるエドに対して人間らしい情を出すこともあって。相反するものがジレンマとして1人の人間の中にあるというのが、とても魅力的だと思いました。

──なるほど。では役作りについてもお話を聞ければと思います。軍人のマスタングを演じるにあたり、何か準備したことはありますか?

元自衛官の方に指導していただきながら、日常的に軍事に携わっている人間の所作をしっかりと身に着けました。そこからマスタング大佐のバックグラウンド、どうしてそこまで意思の強い人間に育ったのかなどを監督とディスカッションさせていただいたり。あとは単純に体重を増やしましたね。マスタング大佐は作品の中で肉体をたくさん使っているわけではないですが、軍人ってみんな毎日鍛えているし、そこは説得力を持たせられるよう準備しないといけないと思いました。

「鋼の錬金術師」よりディーン・フジオカ演じるマスタング(中央左)。

──どんなトレーニングをされたんでしょうか。

ボクシングや中華武術だったり、ジムでウエイトリフティングをやったり。撮影中は、あとでCGがはまることを逆算した動きをする必要があったんですが、そのときって体を正確に動かさなきゃいけないじゃないですか。そういうときに中華武術などの経験は役に立ちましたね。

最大限に努力し、自信を持って演じることができた

──撮影は去年の夏頃に行われたと伺いました。

ディーン・フジオカ

そうです。だから軍服がめちゃめちゃ暑かった……(笑)。4重、5重くらい衣装を重ね着していたので。衣装部の方にいろいろと便宜を図っていただいて、素材を変えたり見えない部分に穴を開けて熱を逃がしたり。最初はトイレも不便だったんですけど、そこも改善していただいて。

──監督とはどのように撮影を進めていったんですか?

基本的に自分は俳優として意見は言わないようにしているんです。俳優は作品を作るうえでの駒だと思っているので。監督がイメージしているものを吸収して、1つのパーツとして最大限の努力をする。それは別に俳優としての仕事に限ったことではないかもしれないですね。

──曽利監督からは具体的にどんな指示があったんでしょう。

映画の前半では何を考えているのかわからないような存在でいてほしいと指示がありました。あと衣装を含めて大きく見せたいっていう話もしたかな。監督の中にはっきりとしたイメージがあるから迷うことなくディレクションしてくださって、こちらも自信を持って演じることができました。絵コンテが細かく準備されていて、それを壁に貼って1つひとつのシーンを撮影していった感じですね。

「鋼の錬金術師」よりディーン・フジオカ演じるマスタング。

──10月3日に行われた完成報告会見では、エド役・山田涼介さんの端正な顔を「ずっと見ていたい」とおっしゃってましたが、山田さんとの共演はいかがでした?

楽しかったですねえ。山田くんはお笑いに詳しくて、面白い芸人さんとかを教えてくれて。空き時間に動画配信サイトをチェックしながら一緒に笑ったりしました。あとは日本の芸能界のことを聞いたり(笑)。

人間の心に訴えてくる要素がたくさん含まれている

ディーン・フジオカ

──最後に映画の見どころを教えていただけますか。

画もアクションも派手なんですけど、それだけじゃなくて人間の心に訴えてくる要素がたくさん含まれています。人によっては目を伏せたくなるような場面もある一方、カタルシスを感じるようなシーンもしっかりと用意されている。だからこそ子供も大人も楽しめる映画になっていて、それは原作と共通していると思いますね。

「鋼の錬金術師」
2017年12月1日(金)全国公開
あらすじ

幼い頃に最愛の母親を亡くした兄エドと弟アル。彼らは母親を生き返らせるため、錬金術における最大の禁忌(タブー)・人体錬成に挑んだ。しかし錬成は失敗に終わり、エドは左脚を、アルは身体のすべてを代価として失ってしまう。瀕死のエドはとっさに再錬成を行い、自分の右腕と引き換えにアルの魂を鎧に定着させることに成功した。それから数年後、鋼鉄の義肢を装着し国家錬金術師となったエドは、奪われたすべてを取り戻すためにアルと旅を続けている。

スタッフ
  • 監督:曽利文彦
  • 原作:荒川弘「鋼の錬金術師」(「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
キャスト
  • エド:山田涼介
  • ウィンリィ:本田翼
  • マスタング:ディーン・フジオカ
  • ホークアイ:蓮佛美沙子
  • エンヴィー:本郷奏多
  • マルコー:國村隼
  • コーネロ:石丸謙二郎
  • グレイシア・ヒューズ:原田夏希
  • グラトニー:内山信二
  • ロス:夏菜
  • タッカー:大泉洋(特別出演)
  • マース・ヒューズ:佐藤隆太
  • ハクロ:小日向文世
  • ラスト:松雪泰子
ディーン・フジオカ
1980年8月19日生まれ、福島県出身。日本語、英語、中国語を話すマルチリンガル。台湾や香港を中心に活躍したのち、2013年に公開された「I am ICHIHASHI 逮捕されるまで」で主演・監督・主題歌を担当した。現在はテレビドラマ「今からあなたを脅迫します」で主演を務めており、2018年に公開される「坂道のアポロン」「海を駆ける」「空飛ぶタイヤ」のキャストにも名を連ねる。

2017年12月8日更新