赤ペン瀧川が語る「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」|ネタバレギリギリの最新情報をお届け、MVPは意外なあのキャラ!解説動画も公開中

赤ペン瀧川インタビュー

前作には、ピーターの父に関する情報がてんこ盛り

赤ペン瀧川

──ひと足早く本作をご覧いただきましたが、まず率直な感想はいかがでしたか?

すごく面白かったです! 続編って、どの映画でも身構えたり心配になったりするんですけど、とても美しい仕上がりのパート2でした。日本人の俺たちでもわかるような笑いがバシバシ入っていたし、ジェームズ・ガン監督の遊び心が光っていた。監督自身もこの映画が好きなんだなっていうのがすごく伝わりましたね。

──では、2014年に大ヒットした第1作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のお話から伺えればと思うのですが。

前作は原作コミックも知らずに観たんですけど、いきなりガーディアンズの5人がとても好きになりましたね。普段ヒーローものやSFアクションものと距離がある人たちも楽しめるだろうなってことで、当時は女性の方々にたくさんオススメしました。あんまりマッチョでゴリゴリな感じがないというか、軽めでとっつきやすい作品なので。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」より。前列左からガモーラ、ピーター・クイル、ベビー・グルート、ドラックス、ロケット。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」より。前列左からガモーラ、ピーター・クイル、ベビー・グルート、ドラックス、ロケット。

──前作ではクライマックスの戦いでピーター・クイルがダンスバトルを仕掛けるなど、普通のヒーローものよりも笑いの要素が強かったですよね。

でも、僕はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の路線から外れているとは思わなかったですね。制作側がやらせてる感じではなく、キャラクターの個性によって引き起こされていることなので。例えば「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でアントマンが車から降りてきたときは「ノリ、軽っ!」ってなりましたけど、違和感はなくて。

──前作には、実はたくさん伏線が張られているんですよね。本作に登場するピーター・クイルの父親エゴのこととか。

そうそう、僕はこの2作目を観る前に、改めて1作目を観返したんですよ。「新作には父ちゃんが出て来るらしいぞ」って噂を聞いたので、何かヒントがあったっけ?っていう思いで。そしたら、みんなが「天使のような人だった」や「あいつはマヌケだった」と証言していて、情報がてんこ盛りなんですよ。だからもし今から1作目を復習するんだったら、ピーター・クイルのお父さんのことを知ろうという目で観てほしいですね。ざっと観るだけだと、ほかに気になるポイントがありすぎるので(笑)。

──まだ前作を観たことがない人は、本作の前に1作目を観るべきでしょうか?

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」より、ロケット。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」より、ロケット。

僕個人の意見を言わせてもらうと、1作目で直前に予習してから2作目を観てほしいです。もしくは2作目を観たあとに1作目を観ても楽しいかもしれない。「こいつ、前作でこんなこと言われてたのか!」って伏線が見つかるので。もちろん映画としてのクオリテイはめちゃくちゃ高いので、この作品だけでも楽しめるはずです!

──なるほど。

でも現時点では、MCUのほかの作品を観ていなくても全然大丈夫! MCUの映画としてはこれが14作目ですけど、今のところそこまで強いつながりはないので。

──「アベンジャーズ」や「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」にも登場するキーアイテム、インフィニティ・ストーンでつながるくらいですかね。

インフィニティ・ストーンもまだそれぞれ単体で登場するだけで、6つすべてが集まってはいないじゃないですか。だからものすごい力を持ったドラゴンボールみたいな6つの石があって、それをサノスっていう悪いやつが集めようとしている、と思っていただければ(笑)。ただ今後ガーディアンズはアベンジャーズに合流して、でっかいドラマに流れ込んでいきます。2018年全米公開の「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(原題)」までに間の知識を埋めとけよ!って感じですかね。

みんな、絶対にヨンドゥを好きになる

──では、瀧川さんが考える「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの魅力とは?

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」より。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」より。

音楽とかギャグとか、1つずつ挙げると死ぬほど多いんですけど……結局はめちゃくちゃ個性豊かなキャラクターたちですかね。ビジュアルの影響で「面白キャラ大集合!」みたいな映画だと思って観始めたら、その中で描かれているのは彼らの友情だったり、それぞれが抱えている悲しみだったりするんです。宇宙のお宝ハンターって言われると遠い存在に感じるピーター・クイルだけど、小さい頃に母親と生き別れて、その最後のプレゼントを何年も開けられずにいる……みたいな気持ちはわかるんですよ。全然しゃべれない木(グルート)に感情移入して泣けちゃうし、あんな見た目のキャラがそれぞれ共感できるバックボーンを持っている。そのギャップにみんなハマっていくんだろうな。

──特に好きなキャラや、共感してしまうキャラは誰ですか?

1作目と2作目で違うんですよ。それがこのシリーズの作り方のうまさなんです。「スター・ウォーズ」で説明すると、エピソード4~6であんなに悪いやつだったダース・ベイダーも、エピソード1~3を観ることによって「いや、お前はお前でいろいろあったんだな!」って思えるような(笑)。2作目では、1作目で描かれたイメージの逆転が起こりまくるんです。「え、ロケットって本当はそんなに寂しかったの?」とか「強がってたけど、お父さんに会えてそんなにうれしいか、ピーター・クイルよ!」みたいな。ヨンドゥのことは、1作目では憎たらしくて器の小さい小悪党だと思っていたんですけど、2作目ではまったく印象が変わって……! だからね、今好きなキャラは間違いなくヨンドゥですよ。

左からヨンドゥのパネル、赤ペン瀧川。

──この「リミックス」を観た現時点で、ですか?

そうです。これから2作目を観る人は、「赤ペン瀧川、なんでそんなにヨンドゥを推すんだ?」って不思議に思うはずです。でもあれを観たら、もう絶対にヨンドゥ好きになるぜ!? MVPですよ、あのオイシイ役!(笑)

──ちなみに、前作を観た段階ではどのキャラクターが好きだったんですか?

ロケットとグルートのコンビが、かわいくて好きでしたね。もちろんガーディアンズの5人はそれぞれみんな好きなんですけど、ラストでアライグマと木のコンビに泣かされるとは思ってなかったので(笑)。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」より。左からロケット、ベビー・グルート。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」より。左からロケット、ベビー・グルート。

──前作のラストを経てグルートは、体長25cmのベビー・グルートになったわけですが……。

ロケット、子育てがんばってるんですよね! それまでは相棒だったのが親子のような関係になることによって、ロケットにも誰かになぐさめられたい、認められたいっていう気持ちが出てきたじゃないですか。子育てがんばってるのに、旦那に放って置かれたときの奥さんと同じだと思う(笑)。あのロケットが子育てをするっていうギャップもいいんだけど、そのことが彼の心をどう変えていったかも描かれている。さらにそれがヨンドゥの話ともつながっていくんですが……。とにかく今、ヨンドゥが大好きなんですよ(笑)。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」
2017年5月12日(金)全国公開
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」
ストーリー

“スター・ロード”ことピーター・クイル率いる、宇宙のはみ出し者集団“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”。小遣い稼ぎのため引き受けた仕事をきっかけに、彼らは黄金の惑星ソヴリンの艦隊から総攻撃を受けてしまう。そんな危機を間一髪で救ったのは、ピーターの父親を名乗る謎の男エゴだった。忠告を無視してエゴに魅了されていくピーターの姿を見て、ガーディアンズの仲間の絆には亀裂が。さらにピーターの育ての親であるヨンドゥら宇宙海賊が襲来し、銀河全体を脅かす恐るべき陰謀も明らかになる。そんなときピーターは、自身の出生に隠された真実を知り……。

スタッフ / キャスト
  • 監督・脚本:ジェームズ・ガン
  • キャスト:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ヴィン・ディーゼル(声)、ブラッドリー・クーパー(声)、マイケル・ルーカー、カレン・ギラン、ポム・クレメンティフ、エリザベス・デビッキ、クリス・サリヴァン、ショーン・ガン、カート・ラッセル、シルヴェスター・スタローン
赤ペン瀧川(アカペンタキガワ)
1977年12月27日生まれ、神奈川県出身。映画コメンテーターとして、テレビ、ライブ、コラムなど多方面で活躍中。スライドとトークを武器に、作品に鋭いツッコミを入れる“映画添削”で知られる。また俳優・瀧川英次として、「アウトレイジ」「スイートリトルライズ」などに出演。「ドクターX ~外科医・大門未知子~ 4」や「相棒 season13」「下町ロケット」「せいせいするほど、愛してる」といったドラマにも参加した。自身が主宰する演劇ユニット「七里ガ浜オールスターズ」では、演出も担当している。