映画超初心者・ミルクボーイ駒場孝の手探りコラム「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」 第15回 [バックナンバー]
続編の楽しさがわかった「ホーム・アローン2」
「知ってる人に知ってる場所や」という安心感
2024年12月24日 11:30 2
これまで名作をほぼ観たことがないまま育ち、難しいストーリーの作品は苦手。だけど映画を観ること自体は決して嫌いではないし、ちゃんと理解したい……。そんな貴重な人材・
第15回のお題は「
文
続編は登場人物像がだいたい把握できているから観やすい
こんにちは、ミルクボーイ駒場です。今回は僕のコラム初、ひとつの作品の続編を鑑賞するということになりました。1年前に観た「ホーム・アローン」の続編「ホーム・アローン2」です。続編を観るというのは、「映画を浅く広く」ではなく「深く」掘っている気がして、映画の厚みを知れるようでうれしかったですし、続編なので、ストーリーや流れもなんとなく理解しているのもありとても観やすかったです。
観終わったあとの感想でいうと、前作よりさらに気になるところ満載でしたが面白かったです。前作では、大前提として「子供を忘れて旅行に行くってどういうことやねん」という引っかかりがあったのですが、今作で言うと「寝過ぎやし、そもそも旅行の前の日は起きたら出発できるくらいの段階まで荷造りしとこう!」とか、「その1000倍は焦らんと!」とか、「子供の罠にしては狂気すぎる、死んでまう!」とかいろいろありました。でもいったんそんなことを抜きにすると、前作より冒険感、ハラハラドキドキ感、そしてクリスマス感もパワーアップしていてよかったです。
そもそも、映画だけに限らずなんとなく世の定説的に「なんでも『2』は面白くない」みたいなことを聞いて生きてきたので、これもそうなのかなという気持ちだったんです。「確かに『1』でヒットしたから味を占めての『2』となると質は落ちるよな」と世間の意見に流されるように思っていたのですが、それが覆されたように感じました。あと単純に続編となると「登場人物像がだいたい把握できているから観やすい」というところがありました。よく続きものの映画のCMなどで言われている「彼らが帰ってきた!」とか「あのメンバーが久しぶりに集結!」などうたう意味がわかりました。映画が始まって家の中のシーンを見たとき、自然に「あ、この人たちだ」と思える。見たことのある人たちなので、初見のときに感じる「最初からしっかり観ておかないとわからなくなるかも」という緊張感がなくスムーズに観始めることができました。
行ったことのあるバイトに入る安心感に似ている
あとこれは「ホーム・アローン」だけに関してかもしれないですが、「人が多いだけで別に誰が誰かまで気にとめておく必要はない」ということも観やすさの要因でした。前作は全貌がまったくわからない状態で観たので、「もしかしたらこの家族のメンバーの中で誰かと誰かが何かなるかもしれない」など思い必死に顔と名前を覚えようとしたんです。ただ観終わったあとに、この映画は主人公と悪者2人組だけ追いかけていればよく、ほかの人を追いかけるのはほとんど意味のないことだとわかったんです。なので「2」でも相変わらず人が多いなとは思いましたが誰が誰かは特に気にせず観ました。なのでよりストーリーに集中できました。昔、登録制の派遣のバイトをしていました。派遣なのでシフトの融通が利くし日払いだったのでありがたいと思いやっていたのですが、ただでさえやりたくはないアルバイトという行動なのに、毎回違う場所に行くので一緒に作業する人も違うし気を使う、というダブルのしんどさがありました。ただ何回かやっていると「1回行ったことのある現場にもう一度入る」ということもあり、そうなったとき、別にそこまでしゃべるわけでもないのに「知ってる人に知ってる場所や」という安心感をめちゃくちゃ感じたものです。映画の続編というのはその感覚に近いと思いました。
そして今回の「そんなこと言うてた?」ですが、「作中に、のちの大統領出てるって言うてた?」です。映画の中にトランプ大統領が出てるというのを、あとからレビューなどを観て知りました。そんなことあるんですね! まったく知らなかった情報ですし、ちゃんと観ていたのに気付きもしませんでした。でも観返すとちゃんとトランプさんでした。映画界からしたら常識かもしれませんが、こういうポイントが知れたのはめちゃくちゃうれしいです。機会さえあれば「いや『ホーム・アローン2』に大統領になる前のトランプさん出てたけど!」と言いたいもんです(いつ言うねん)。今回は続編の楽しさと実はのちの大統領が出ていたというプチ情報、ともに知ることができてとても勉強になりました。前作ではちょっとストーリーについていけず「ムービー・アローン」状態になったとコラムに書きましたが今回はついていけたので「ムービー・トゥギャザー」できたかと思います。「アローン」の部分変えたら原型なさすぎて意味わかりませんね、失礼しました。ということで来年もいろんな作品を観て楽しみたいと思います!
編集部から一言
連載初の試みとして、過去に感想を書いた作品の続編を観てもらいました。前回に比べて楽しめていただけてよかったです。「誰が重要かわかるのでストーリーに集中できる」「知ってる場所に知ってる人で安心」というのは、考えずに自然と観てましたが言われてみると確かにそうかもしれません。「映画の続編を初めて観た人」みたいな言語化をありがとうございました。この連載でも取り上げた「エイリアン」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のほか、続編が名作と言われる作品も多いのでぜひ観てみてほしいです。
「ホーム・アローン2」(1992年製作)
ヒット作「ホーム・アローン」の1年後を舞台とした続編。マイアミへの家族旅行の際、飛行機を乗り間違えた少年ケビンは1人だけニューヨークに到着してしまう。父親名義のクレジットカードで高級ホテルに泊まり豪遊する彼は、1年前に撃退した泥棒コンビと偶然の再会を果たすことに。懲りずに強盗をたくらむ彼らに、ケビンは再び罠を仕掛ける。
駒場孝(コマバタカシ)
1986年2月5日生まれ、大阪府出身。ミルクボーイのボケ担当。2004年に大阪芸術大学の落語研究会で同級生の内海崇と出会い、活動を開始。2007年7月に吉本興業の劇場「baseよしもと」のオーディションを初めて受け、正式にコンビを結成する。2019年に「M-1グランプリ2019」で優勝し、2022年には「第57回上方漫才大賞」で大賞を受賞。現在、コンビとしてのレギュラーは「よんチャンTV」(毎日放送)月曜日、「ごきげんライフスタイル よ~いドン!」(関西テレビ)月曜日、「ミルクボーイの煩悩の塊」「ミルクボーイの火曜日やないか!」(ともに朝日放送ラジオ)など。またミルクボーイが主催し、デルマパンゲ、金属バット、ツートライブとの4組で2017年から行っているライブ「漫才ブーム」が、2033年までの10年を掛けて47都道府県を巡るツアーとして行われる。
バックナンバー
松本 @matsushin1978
映画初心者・ミルクボーイ駒場さんが名作を観る連載、1年前に「ホーム・アローン」だったので今月は「ホーム・アローン2」を観てもらったんですが、「生まれて初めて映画の続編を観る人」みたいな感想ですごかったので読んでください。「登場人物が把握できてるから見やすい」だって https://t.co/bq6JeIbTCQ https://t.co/9QTrB88wqz