2025年の冬に公開される「果てしなきスカーレット」は「竜とそばかすの姫」以来、約4年ぶりとなる新作。日本では東宝、それ以外の国と地域ではソニー・ピクチャーズが配給を担当する。またソニー・ピクチャーズは作品への出資もしているという、日本アニメとしては新しい形で世に送り出される。
齋藤プロデューサーは「果てしなきスカーレット」について、「『竜とそばかすの姫」以降、世界では歴史の針が逆戻りするような悲しい出来事が続いています。次の映画について、日本のマーケットだけを意識するんじゃなく、最初から世界の方々が何か希望を見出すようなことを視野に入れた作品を作るべきではないかということをみんなで話し合ってきました。そんなときに監督から出てきた企画が『果てしないスカーレット』という世界的なスケールと現代性を併せ持った企画でした」と説明。続けて企画への第一印象を「きっと世界中で社会現象が巻き起こるんじゃないか、大変な作品になるんじゃないか」と語った。
またソニー・ピクチャーズが配給、出資に関わることについて齋藤プロデューサーは「本当の意味でグローバルに届けるためには、日本と世界が手を取り合う新しい仕組みの必要性を強く感じました。そういう中で悪戦苦闘しているとき、ハリウッドメジャーであるソニー・ピクチャーズの代表から『果てしなきスカーレット』を一緒に作りたい、 一緒に全世界の国と地域に届けようという熱烈なオファーがありました」とその経緯を明かす。また過去にはスタジオジブリがディズニーと手を組み世界進出したことを引き合いに出し「我々も新しいチャレンジを積み重ねることによって、その風穴をさらに押し広げていきたいと思ってます」と力強く語った。
また冬公開の理由についても触れ、“超大作”であることからこれまでの3年に1作というペースを超える制作期間が必要だったことを1つの理由として挙げる。さらに日本はもちろん、海外でもどうやったら興行が1番盛り上がるのか、また映画祭のことなども含め「戦略的」に考えた結果、来年の冬公開という結論に至ったことを伝えた。
報告会では主人公が描かれたスーパーティザービジュアルについて細田監督自ら説明。描かれた人物が作品タイトルにもなっている、とある国の王女・スカーレットであることを明かす。また「一種の混沌の世界から1人の女性が希望の光を見ている、果てしない遠くを見ている」と絵に込めたイメージも話した。
細田監督は映像面での挑戦にも言及。「アニメーションという技法を使いながらも、どこかそれを超えていくような画面になったらいいなと非常に工夫しているところ」「いわゆるセルアニメじゃないし、ハリウッド的な3DCGアニメでもない、もっとまったく別のルックでアニメーショの可能性を広げていきたい」と展望を語る。またそのような思いに至った理由として、「アーケイン」「スパイダーマン:スパイダーバース」といった海外のアニメーション作品の名前を出しつつ、アニメーションの新しい表現への挑戦が世界各地で行われていること、さらにそれが観客に受け入れられている世界的な流れがあることを挙げた。
主人公のスカーレットについての話題では、過去の作品でも女性が困難な状況を乗り越えてく作品が多かったことに触れ、「今回の映画は今までの中で最も困難な条件の中で冒険していく」と紹介。さらに「そういう作品なので、これぐらいピリッとした非常に背筋の伸びた主人公像、女性像になっています。彼女と映像を通して一緒に旅をすることによって励まされたり、希望を見出されたりしたいなという思いを込めて主人公を作っています」と思いを伝えた。
ストーリーについての話題では、ビジュアルの印象で「(これまでの作品と)毛色の違う作品だと感じるかもしれない」と前置きし、「厳しい世界を旅しながら、アクション、ロマンスもある。非常にワクワクするような、映画の魅力を表現するような作品になるといいなという志を持って作っています」と話す。またストーリーの詳細を話せないとしながら、「世界的に有名な古典がスカーレットの背景にある」「スカーレットともう1人の人物のロードムービー。対照的な両者のバディもの」と断片的なヒントも伝えられた。またタイトルの「果てしなき」の部分について「時空を超えた作品におそらくなる。時空を超えるといえば『果てしなき』だと思った」と着想の理由を明かした。
今作で伝えたいメッセージについて聞かれると「生と死にも踏み込んでいくような、今までの中で一番大きなテーマ。誰しもが持っている普遍的な気持ちを表現して、まったく関係ない人が世界中にいない、そういうようなテーマに挑みます」と宣言。「生づらい世の中だったり、先行きが見えない社会や世界の状況の中で、それでも前を向いたり希望を見出すような人物はどういう人なんだろうか? 若い人が未来を切り開いて、今の状況にもくじけずに、強く前を向いて生きてほしい、そんな気持ちを込めて作っています。非常に難しいテーマですけど、がんばって作り切りたいなと思っております」と熱く語った。
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海外でもどうやったら興行が1番盛り上がるのか、また映画祭のことなども含め「戦略的」に考えた結果、来年の冬公開という結論に至った
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