「ピアノの森」ピアニスト反田恭平が阿字野の演奏を分析、斉藤壮馬＆諏訪部順一も驚嘆

一色まこと原作のテレビアニメ「ピアノの森」の記者発表会が、本日3月5日に東京・ヤマハ銀座スタジオにて行われ、一ノ瀬海役の斉藤壮馬、阿字野壮介役の諏訪部順一が登壇した。

4月8日よりNHK総合テレビにてオンエアされる「ピアノの森」は、森に捨てられていたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公・一ノ瀬海が、天才ピアニスト・阿字野壮介、親友でライバルの雨宮修平らと出会い、音楽の才能を開花させていく物語。会見ではまず、以前から原作のファンだったという斉藤が「演者としてこのアニメに携われるなんて、ドキドキワクワクした高揚感を覚えました」と心境を吐露する。また「今回のお話をいただいて、もう1度読み返そうと思ったら面白すぎて2日間徹夜して一気読みしました（笑）。それぐらいマンガファンとしても大好きな作品です」と本作に対する思いを語った。

また自身の演じたカイとの共通点を聞かれた斉藤は「僕個人と似てるところはないかも。僕はどちらかというと雨宮くんタイプ。カイくんみたいに感性が豊かでピュアネスな子は、どちらかというと（修平役の）花江（夏樹）くんのイメージですね」と述べる。また「このオーディションの結果を聞く前に、なっちゃん（花江）が『負けねーぞ』って連絡してきて（笑）」と裏話も披露した。

斉藤と同じく原作を愛読していたと語る諏訪部。アニメ化されると聞き驚いたと述べるも「アニメ化するからには出演したいと思いました。オーディション受けて阿字野というキャラクターを演じさせていただいて、是が非でもこれはやりたいと感じました」と振り返った。

ここで解禁されたばかりのPV映像が上映された。大きく深呼吸をしてステージに立ち「ようショパン、やっとここまできたぜ」というセリフとともにピアノを弾くカイの姿が、美しい音楽とともに描かれる。さらに、劇中でキャラクターが演奏するピアノを手がける気鋭のピアニストたちが一挙に紹介されたほか、追加キャストやスタッフの情報もお目見えした。

映像を間近で観ていた斉藤は「なんか、いっぺんに色んな情報が……」と戸惑いながらも、ここで初めて観たというその映像に感無量の様子。また「セリフは一言だけなんですけど、その前の深呼吸にはこだわって何テイクか撮りまして。僕自身も初めてカイくんの声を担当するってことで緊張していたので、その緊張がカイくんの緊張にシンクロしたのかな」とアフレコを振り返る。諏訪部も「やっぱり色が付いて音が付くとすごいね。特にピアノの演奏しているカイの動き、アレすごかったですよね」と感嘆の声を上げ「ピアノをフィーチャーした作品なので、監督が演奏シーンこだわっているとおっしゃってましたけど、たしかにこだわりに違わぬすごい映像でした」と述べた。

さらに諏訪部がナレーションを務めた、劇中でピアニストたちの紹介VTRがお披露目された。阿字野の演奏を担当するのは、モスクワ音楽院に首席で入学し、現在はショパン大学に在学中の反田恭平。また修平の演奏は、ウィーン国立音楽大学およびイモラ国際ピアノアカデミーで特別奨学生として学び、ウィーン楽友協会大ホールでも演奏経験を持つ実力者・高木竜馬が務める。さらに6歳でデビューし、日本でも12歳で初リサイタルを行い、現在はジュリアード音楽院で研鑽を積む中国の若き天才ピアニスト牛牛、2017年のルービンシュタインコンクール優勝者で故郷・ポーランドでも注目を集める若手ピアニストのシモン・ネーリング、フレンチ・ピアニズムの正統を受け継ぐ美人ピアニスト・ジュリエット・ジョルノーが、それぞれパン・ウェイ、レフ・シマノフスキ、ソフィ・オルメッソンの演奏を手がける。またピアニストオーディションから選ばれたジュニアピアニスト・上原心音、大山桃暖、佐原冠、馬場彩乃の4名も紹介された。

その映像を受け、「きちんとポーランドの方にはポーランドの方と、その国のピアニストの方が担当されてる」と諏訪部。斉藤が「しかも、皆さん役としての演奏をするんですよね。すごいことです」と語った。

ここで、先程の紹介VTRにも登場した阿字野の演奏を担当する反田がスペシャルゲストとして登壇。まずはステージでピアノを披露する。同じ壇上でその演奏を聴いていた諏訪部は「こんなに間近で演奏を観るの初めて。興奮しました」と語ると、反田は「僕も、こんなに近くにお客さんがいるっていうのは初めてです」と笑った。学生時代に「ピアノの森」を読んできたという反田。「今回のお話をいただいたとき、マネージャーさんに『ピアノの森がね』って言われてすぐ『イエス』と即答でしたね」と述べ、「カイくんも好きなんですけど、阿字野先生が特に大好きなのでうれしかったです」と語った。

またキャラクターの演奏をするという難しさについて「ピアニストは楽譜があって、ショパンならショパンの背景を汲み取って、本番で時間と空間を使って表現していきます。でも今回は阿字野先生がどう弾いていたのかを第一に考えながらやっていたので、勉強になりました」と語る。諏訪部が「阿字野だったらどう弾くかを考えるのは難しいのでは」と問いかけると、反田は「阿字野先生は、特に悲劇のプリンスみたいな人なので。左手が動かなくなった感じで弾くとか。思うようには弾けないテンポもあると思う。プレストだけどアレグロでゆっくりめに弾くのが精一杯だったりとか」と答え、諏訪部と斉藤は「すごい……」と声を漏らしていた。

最後の挨拶で反田は「ヨーロッパではタクシーの中とか、身近なところでクラシックが流れている。でも日本はまだ違うかなと思うので、このアニメを通してクラシックを好きになってもらえたら」と述べる。そして斉藤は「アニメという枠を超えて、クラシックを好きの方や、アニメ触れてこなかった方にも楽しんでもらえたら」と作品をアピールし、会見は幕を閉じた。