「不覚にもすごい感慨深いです」竹原ピストル、ギター1本と生身で勝負した初武道館

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竹原ピストルが今年6月から開催していた「全国弾き語りツアー“GOOD LUCK TRACK”」の最終公演を、12月22日に東京・日本武道館公演にて行った。

竹原ピストル(撮影:福政良治)

竹原ピストル(撮影:福政良治)

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今回のツアーでは4月リリースのアルバム「GOOD LUCK TRACK」を携え、全国津々浦々で弾き語りしてきた竹原。キャリア初の武道館公演となったこの日もギター1本でステージに立ち、ギター、譜面台、モニタが設置された必要最小限のセットの中で2時間40分にわたって熱演を繰り広げた。

竹原ピストル「全国弾き語りツアー“GOOD LUCK TRACK”」東京・日本武道館公演の様子。(撮影:福政良治)

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竹原は頭にタオルを巻き、短パンにTシャツ、アディダスのスニーカーというおなじみの格好で、アコースティックギターを脇に抱えてステージに登場。待ってましたとばかりに起きた万雷の拍手を浴びながら、彼は「竹原ピストルと申します。よろしくお願いします」と挨拶し、スポットライトの下で大きくギターをストロークしながら「オールドルーキー」を低く力強い声で歌い上げる。そして歌い終えると、改めて「お世話になります」と口にした。その後、竹原は何かを睨み付けるような鋭い視線を浮かべ、力強く足踏みをしながら「LIVE IN 和歌山」を歌い、体中の力を振り絞るように新曲「おーい!おーい!!」を歌うなど、全力で1曲1曲を届けていく。同時に彼の額からは汗がポタポタと滴り落ち、その気合いの入り具合がスクリーンを通しても観客に伝えられた。

「じゃあ景気のいいやつやります!」という紹介から始まったのは「みんな~、やってるか!」。軽妙なギターに合わせて観客の手拍子が起き、サビでは大きな「みんな~、やってるか!」のコールが響きわたる。陽気なムードを醸し出したあと、竹原は大杉漣が出演していたドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズのエンディングテーマ「Forever Young」を故人に捧げるようにじっくりとプレイした。

竹原ピストル「全国弾き語りツアー“GOOD LUCK TRACK”」東京・日本武道館公演の様子。(撮影:福政良治)

竹原ピストル「全国弾き語りツアー“GOOD LUCK TRACK”」東京・日本武道館公演の様子。(撮影:福政良治)[拡大]

この日、竹原は自身の楽曲のほかにカバーなどを披露。ライブの前半では吉田拓郎の「落陽」を怒気をにじませた声で披露したほか、野狐禅の「カモメ」をセルフカバーするなど、自身のキャリアや根付いている音楽性をパフォーマンスの中で垣間見せた。「あ。っという間はあるさ」や「一等賞」で朗らかな空気を生み出したあと、竹原は「『武道館おめでとう』って言っていただくたび、『いつもと同じ気持ちで、いつもと同じようにやるだけ』と言ってきましたが……正直、不覚にもすごい感慨深いです」と本音を語る。そして「僕を日本武道館まで連れてきてくださってありがとう。武道館がこんなにデカイとは思ってませんでした」と述べて観客を笑わせた。ライブの中盤では「歌うたいになって20年近くになりますが、今日、初めて父ちゃん母ちゃんをライブに招待したんですよね」と両親が会場に来ていることを明かす。そして、「俺、こんなに優しくてあったかい人に支えられて活動がんばってんだぞ」と胸を張り、自身の生き様を歌った「it's my life」をパフォーマンスした。客席をまっすぐ見据え、轟くような歌声で観客を圧倒した「Amazing Grace」や「俺のアディダス ~人としての志~」、リリックを軽やかに繰り出した「ちぇっく!」で会場の空気を十分に温めたのち「よー、そこの若いの」を歌うことを宣言。観客に手拍子と声を求め、彼は代表曲とも言えるナンバーを声を張り熱唱する。観客との絶妙な掛け合いを見せつつ披露されたこの曲だが、竹原は「素敵な経験をありがとうございました。幸せでした」と感謝の言葉を口にしつつ、「初めての武道館で弾き語りの限界を知らされるとは思わなかったです」と観客の合唱と手拍子に圧倒された様子だった。

竹原ピストル(撮影:福政良治)

竹原ピストル(撮影:福政良治)[拡大]

ライブの後半に入る前に竹原はマイクを変え、「もうちょっと歌わせてください」というエクスキューズと共に、中島みゆきの「ファイト!」や遠藤ミチロウの「カノン」をカバー。膵臓がんで療養中の遠藤へのエールを送るように始まった「カノン」は、出だしこそ切々とした雰囲気だったが、曲のクライマックスでは竹原が体の力を振り絞るように絶唱を繰り広げた。そして彼は「歌うたいになって、今日のライブは一番楽しかったです」とライブ本編を振り返り、自身の音楽活動を象徴するナンバー「ドサ回り数え歌」をスポットライトの下でとつとつと弾き語った。

「いやあ、いいライブでした!」という去り際の竹原の言葉を呼び水に、観客は熱烈にアンコールを求める。ステージに軽やかな調子で戻ってきた彼は、まずは「最終電車は次の街へ、そしてまた次の街へ 」を歌唱した。その後、彼が武道館公演のラストナンバーとして選んだのは、自身の生き様を歌詞に落とし込んだ「狼煙」。眉毛を釣り上げ鬼気迫る表情で言葉を次々と叩き込んでいくその姿にオーディエンスは釘付けになった。最後に彼は「竹原ピストルでした!」と叫び、半年におよんだドサ回りに幕を下ろした。

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