映画ナタリー Power Push - 新千歳空港国際アニメーション映画祭 2015
コンペティションにミュージック・アニメーション部門が新設!ふかわりょうが語る “忘れられないミュージックビデオ”
10月31日から北海道で開催される新千歳空港国際アニメーション映画祭 2015。空港内で行われるこの一風変わった映画祭には、世界中から最新のアニメーション作品が集結する。劇場版アニメ「進撃の巨人」前後編や「弱虫ペダル」などのメジャーな作品から、表現の最先端を走るインディペンデント作品まで取りそろえられ、短編コンペティションや爆音上映、展示・トークイベントも行われる予定だ。
さらに注目すべきは、今年からコンペティション内に新設されるミュージック・アニメーション部門。アニメーションを使った印象的なミュージックビデオや、音楽が重要な役割を果たすアニメーション作品13本が出品され、グランプリを競う。映画ナタリーでは映画祭の開催を記念して、記念すべき第1回のミュージック・アニメーション部門で審査員を務めるふかわりょうにインタビュー。芸人として活躍する傍ら、ROCKETMANやryo fukawa名義で音楽活動も行うふかわに、MVにまつわる思い出や映画祭への意気込みを語ってもらった。
取材 / 橋本尚平 文 / 黛木綿子 撮影 / 笹森健一 イラスト / 若井麻奈美
ザラついた映像で観たビルボードの番組が原体験
──今日はミュージックビデオにまつわる思い出話をお聞きしたいと思います。一番古い記憶だと、MVを観たのは何歳ぐらいの頃ですか?
僕、地元が横浜なんですけど、小学生の頃にtvkでザラついたビルボードの番組(「billboard TOP40」)を観てたんです。当時はブラウン管のテレビの上にアンテナを付けてたんですよ。神奈川県民なのにテレビ神奈川を観るのにアンテナが必要で、しかもザラついてるという。
──はははは(笑)。
それでカルチャー・クラブとかシンディ・ローパーを観てたんですけど、なんだかんだで刺さってたんですよね。アンテナの方向を調整しながら観てたからこそ、より強く深く刻まれた気がする。痛みがより記憶を強くするというか。その記憶は自分が音楽をやるときの原体験になってますね。
──当時のMVは今でも印象に残っているような作品が多いですしね。
その頃はMVっていうものが認知され始めた時期で。もっと昔にさかのぼると、僕が好きなABBAとかの映像はまだMVとしてなってないというか。寄りと引きだけで1分ぐらい使っちゃったり(笑)。そういう時代を経て、1980年代にぶわーっとMVのムーブメントが起こった気がします。
──1981年にMTVが開局したっていうのが大きいんですかね。
そうですね。やっぱり「オンエアされるために」っていう必要に応じてだったのかな。でも当時はそういう事情も知らずに、ザラついたビルボードを観ていた(笑)。シンディ・ローパーの「Girls Just Want To Have Fun」とか……邦題はなんでしたっけ?
──「ハイスクールはダンステリア」ですね。
あー、そうだ。これ、楽しい映像なんですよ。ランキング上位だと長くオンエアしてくれるけど、ダイジェストだけで終わっちゃうときは少し残念だったり。あとはビリー・ジョエルの「Uptown Girl」とか、ライオネル・リッチーの「All Night Long」、そこらへんのMVはだいぶ深く心に刻まれてますね。
Billy Joel - "Uptown Girl"
Lionel Richie - All Night Long
誰もライオネル・リッチーを注意できなかったんでしょうね
映画並みのスケールのものもありましたね。イエスの「ロンリー・ハート」とかはかなり大掛かりで、ハリウッド映画のような世界観で撮っていた。そこから「We Are The World」につながっていくのかな。メイキングとかも含め、いわゆる歌が始まるまでに、のりしろの部分あったじゃないですか。 それこそ「スリラー」なんて、かなり衝撃的でした。
Yes - Owner Of A Lonely Heart
Michael Jackson - スリラー
──当時、世界中の誰もが知っていた映像ですからね。その頃観ていたもので、トラウマ的に印象に残ってるものってありますか?
あのー……ライオネル・リッチーのやつで、なんかすごいのがあったんですよ。なんだったかな。「ライオネル・リッチー ヤバい MV」で検索したら出るかもしれない(笑)。女の人が真面目な顔で彫刻かなんかやってるんですけど……それがライオネル・リッチーのあの顔なんですよ(笑)。
──「ライオネル・リッチー 彫刻」で検索したら出てきました(笑)。「Hello」ですね?
そうそう、それ! ドラマ仕立てになってて、ライオネル・リッチーが先生役で盲目の女生徒に恋してるっていう設定なんですけど、その女の子が彫刻で懸命に彼の顔を作ってる(笑)。冷静に観ると尋常じゃない世界なんです。これは完全にもう、誰も注意する人がいなかったんだと思います。本人のやりたいようにしかできない現場だったんでしょうね。
──みんな言いなりで(笑)。
当時のライオネル・リッチーにはそういう力があったんですね。今観ると、誰も注意できなくなった感じが非常におかしい。もう神様になっちゃったんだなっていう。
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- 新千歳空港国際アニメーション映画祭2015 / 2015年10月31日(土)~11月3日(火・祝)
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初音ミクとのコラボレートなど“エンタテインメント空港”としても知られる北海道・新千歳空港。そのターミナルビルを会場に、世界中から集められた最新アニメーションを一挙に上映する映画祭。3万人の来場者を集めた昨年に続き2度目の開催となる。ゲストを招いての招待作品上映など多彩なプログラムを用意。短編アニメーションのコンペティションには、今年から日本コンペティション部門、ミュージック・アニメーション部門が新設される。
ミュージック・アニメーション・コンペティション
今回からコンペティション内に新設されるミュージック・アニメーション部門には、アニメーションを使った印象的なミュージックビデオや、音楽が重要な役割を果たすアニメーション作品13本が集結。爆音上映用のスピーカーを使ったゴージャスな音で鑑賞できる。ふかわりょう、モデルの田中美保、ナタリー代表・大山卓也の3名が審査員を務め、グランプリを決定する。
ふかわりょう
1974年8月19日、神奈川県生まれ。慶應義塾大学在学中の1994年にデビュー。芸人としてバラエティ番組などで活躍する傍ら、1998年よりROCKETMAN名義で音楽活動を開始。作詞・作曲のほかDJとしても各地でライブを行う。J-WAVEで毎週土曜夜にオンエア中の「OTHERS」でナビゲーターを務める。毎週月曜~金曜に放送中のTOKYO MX「5時に夢中!」でメインMCを担当。同番組から生まれたアイドルユニット、ザ・おかわりシスターズの楽曲「恋はおかわり」(10月21日発売)をプロデュースした。