「東京芸術祭2018」近藤良平&矢崎広が観た「野外劇 三文オペラ」稽古場|こんな経験ができるなんて、役者としてうらやましい

四方舞台で繰り広げられる「右まわりのおとこ」

左から近藤良平、矢崎広。

近藤 「三文オペラ」の約1カ月後に、僕たちが出演する「右まわりのおとこ」があうるすぽっとで上演されるんですが、この「右まわりのおとこ」って芳賀薫監督がずいぶん昔に書いた面白いテキストが基になっているんです。芳賀監督は、僕が青山円形劇場でやったソロ作品「11DANDY」(2011年)でご一緒して、そのときに面白いことをやろうよと2人で考えた内容を、芳賀監督がテキストにまとめてくれたんです。で、今回いよいよ公演ってことになりました。パラレルワールドの話ですけど出演者も言葉もそんなに多くはなく、パフォーマンスを交えながらやってみたいなと思ってます。

矢崎 へえー! その話、今日初めて知りました!

近藤 芳賀さんは穏やかな人だけど考えてることが根本的に変な人なんですよ。そのギャップが面白くて、たぶん矢崎くん、好きだと思うよ。合う気がする。

矢崎 楽しみですね、早くお会いしたいです。

近藤 この「右まわりのおとこ」には、変わった人たちが出てくるんです。彼らはある場所に住んでて……(舞台美術の図面を引き寄せて)今回はステージ上に客席を組むんですよ。

左から近藤良平、矢崎広。

矢崎 え!

近藤 だからお客さんとの距離がすごく近い。できるだけ日常生活に近いスペースにしたいと思って……。

矢崎 すごい衝撃です!(笑) 四方舞台なんですね。

近藤 そうそう。で、部屋の間取りになってる。矢崎くんは普通に生活してくれればいい(笑)。

矢崎 四方舞台も円形舞台もやったことはあるんですけど、360°観られるのってすごく面白い。嘘の付きようがなくて……ちょっと背筋が伸びますね(笑)。

近藤 僕らともう1人の出演者の千葉雅子さんを含めて、今わかってるのは3人がずいぶん違う人たちだってことだけ。でもそれしかわかってない。これから稽古が進む中で、3人がそれぞれお互いのいいところを見付けて、お互いを見付け合えたらいんじゃないかなって。だから「ジャージー・ボーイズ」とはだいぶ違うと思うよ(笑)。

矢崎 そうですよね(笑)。……僕、大丈夫ですかね?

近藤 大丈夫だよ! 僕と千葉さんより全然若いんだから、ハツラツとしていてくれれば!(笑)

左から近藤良平、矢崎広。

“祭”の感覚で楽しんで

近藤 「三文オペラ」も「右まわりのおとこ」も、同じ東京芸術祭の演目なんだよね。東京芸術祭の総合ディレクターをしている宮城聰さんのこと、僕好きなんですよ。宮城さんがディレクションしてるって思うとやっぱりすごいなと思うし、オープニング作品の「野外劇 三文オペラ」を観ただけでも最初から飛ばしてるなって思う(笑)。なので、宮城さんがやる東京芸術祭はいいなと思ってます。

矢崎 僕は今回初めて関わらせていただくのですが、“芸術祭”に参加できるのは光栄なことですし、自分の役者としての歴史の中でも今回は大きな経験になると思います。芸術祭っていうある種のお祭だからこそできることに参加させてもらえるのは贅沢なこと。僕と同世代の方にも、“祭”なので難しく考えず観に来てもらえたらと思います!

東京芸術祭2018
  • 2018年9月1日(土)~12月9日(日)
    東京都 池袋各所
東京芸術祭2018 直轄プログラム
「野外劇 三文オペラ」
  • 2018年10月18日(木)~28日(日)
    ※23日は休演。
    東京都 池袋西口公園
「野外劇 三文オペラ」(Photo:Kazuomi FURUYA)

作:ベルトルト・ブレヒト

音楽:クルト・ヴァイル

訳:大岡淳

演出:ジョルジオ・バルベリオ・コルセッティ

音楽監督:原田敬子

衣裳デザイン:澤田石和寛

総合ディレクター:宮城聰

直轄事業ディレクター:横山義志

キャスト

ジョナサン・ジェレマイア・ピーチャム:廣川三憲

フィルチ / イード:泉陽二

シーリア・ピーチャム:森山冬子

ジャラ銭のマサイアス:宮下泰幸

マックヒース:後藤英樹

ポリー・ピーチャム:淺場万矢

曲がり指のジェーコブ:小長谷勝彦

のこぎりのロバート / 警官:綾田將一

ジミー / スミス:沼田星麻

しなしなのウォルター / 警官:菊沢将憲

ブラウン:柳内佑介

酒場のジェニー / 娼婦:榊原有美、葛たか喜代、篠原和美

ルーシー:水口早香

としま国際アート・カルチャー都市発信プログラム
ダンスで演劇「右まわりのおとこ」
  • 2018年11月22日(木)~25日(日)
    東京都 あうるすぽっと
ダンスで演劇「右まわりのおとこ」

構成・上演台本・演出:芳賀薫

振付・演出:近藤良平

出演:千葉雅子、矢崎広、近藤良平

近藤良平(コンドウリョウヘイ)
ペルー、チリ、アルゼンチン育ち。愛犬家。現在、豊島区在住。振付家・ダンサー、コンドルズ主宰。NHK「サラリーマンNEO」「からだであそぼ」などに振付・出演として携わるほか、連続テレビ小説「てっぱん」オープニングの振付を担当。第4回朝日舞台芸術賞寺山修司賞、第67回文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞。女子美術大学、立教大学などで非常勤講師としてダンスの指導にあたる。2016年にはコンドルズの20周年記念としてNHKホール公演を実施し、好評を博した。現在、NHKエデュケーショナルと共に0歳児からの子供向け観客参加型公演「コンドルズの遊育計画」や、埼玉県と組んで行う「近藤良平と障害者によるダンス公演」ハンドルズ公演など、多様なアプローチでコンテンポラリーダンスの社会貢献に取り組んでいる。
矢崎広(ヤザキヒロシ)
2004年にミュージカル「空色勾玉」でデビュー。以降、舞台を中心にキャリアを積む。近年の主な出演舞台に「人間風車」「モマの火星探検記」、朗読劇「季節が僕たちを連れ去ったあとに」「Shakespeare's R&J」「Photograph51」。ミュージカル作品では「ロミオ&ジュリエット」「スカーレット・ピンパーネル」「ジャージー・ボーイズ」など幅広く活躍中。19年に音楽劇「ライムライト」への出演が控える。また10月1日より始まった、文化放送「超A&G+あさステ!」(インターネットラジオ 月~土曜 7:00~7:30)の水曜日パーソナリティとしてラジオMCを務めている。