2019年4月20日(土)放送
22:00~「て」(2018年)TV初
作・演出:岩井秀人
出演:浅野和之、平原テツ、田村健太郎、安藤聖、岩瀬亮、長友郁真、今井隆文、能島瑞穂、湯川ひな、佐野剛、松尾英太郎、猪股俊明
2008年初演、09、13年に再演された、岩井自身の体験をベースとする人気作。祖母の認知症をきっかけに“家族の再生”へ向けたチャレンジが始まるが……。18年版では浅野和之が母親役を演じた。
「岩井くんに演劇青年の熱量を感じました」浅野和之
岩井くんから「て」の出演オファーをもらった時は本当にうれしかったですね。岩井くんの演出には興味がありましたし、何よりとても好きな作品だったので。実際に演出を受けて感じたのは、とにかく熱いということ。作品に対する愛情がとても強いのだと思います。本番に入ってからの変貌ぶりには特に驚かされました。いきなりスイッチが入ったというか、稽古場の時の眼と全く違うんです。家族の不具合が重要な要素の作品だったわけですが、役者同士和気藹々にならないでほしい、というダメ出しにはちょっと驚きました。その時の岩井くんに演劇青年の熱量を感じました。
- 浅野和之(アサノカズユキ)
- 1954年東京生まれ。安部公房スタジオ、夢の遊眠社を経て、舞台・映像と幅広く活動。第40回紀伊國屋演劇賞 個人賞、第13および18回読売演劇大賞 最優秀男優賞を受賞。7月に「恋のヴェネチア狂騒曲」に出演。
24:00~「夫婦」(2018年)TV初
作・演出:岩井秀人
出演:山内圭哉、菅原永二、川上友里、遊屋慎太郎、瀬戸さおり、渡邊雅廣、八木光太郎、岩井秀人
2016年初演。岩井の創作に大きな影響を与えた実父の死を契機に、父と母という、ある“夫婦”の軌跡を描く。再演では岩井自身が父役を演じた。
「どう演技するかではなく、ただただ生きれば良い」山内圭哉
「夫婦」は、あまり稽古しなかった印象がある。再演は、もっと稽古しなかった。あまり稽古していないのに観客から絶賛されたのだから、演劇は稽古すれば良いというものではないのだと、岩井くんから教わった気がする。
そもそもハイバイのお芝居は稽古を重ねる必要がないのかもしれない。その劇世界でどう演技するかを考えるのではなく、ただただ生きれば良いのだと思う。
岩井くん及びハイバイに、何かすごく大切なことを教わった気がする。
- 山内圭哉(ヤマウチタカヤ)
- 1971年大阪生まれ。笑殺軍団リリパットアーミーを経て、Piperに入団。自身のユニット・wat mayhemを主宰するほか、新ロイヤル大衆舎のメンバーでもある。現在、劇団☆新感線 39(サンキュー)興行・春公演「いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌』」に出演中。
26:20~オリジナル番組「ハイバイ、十五周年漂流記。」(2018年)
「最後までNGが一切ありませんでした」尾野慎太郎
髭を生やしていた時期があって、ある朝その髭を剃って稽古場に撮影にいくと、岩井さんが会うなり「(この空間に)慣れてきたんだね」ということをおっしゃった。「髭がない」という変化を前にして、その角度で人を見るんだ岩井さん!と、カメラを向ける怖さと、好奇心を覚えました。
「好きに撮ってください」おののきつつ撮影を進めたのですが、最後までNGが一切ありませんでした。カメラの前にどう居るか、という緊張感と豊かさを毎日浴びながら稽古場に通いました。
- 尾野慎太郎(オノシンタロウ)
- 東京生まれ。映像作家。さぬき映画祭の舞台裏に密着したドキュメンタリー映画「映画祭のつくり方」を監督するなど活動の場を広げている。
27:30~「おとこたち」(2016年)TV初
作・演出:岩井秀人
出演:安藤聖、菅原永二、永井若葉、平原テツ、用松亮、松井周
2014年初演、16年再演。男たち4人の24歳から82歳までを描く。サラリーマンや俳優、アルバイト、派遣社員とそれぞれの人生を歩む彼らだが、人生は思うように進まなくて……。
「おんなたち……謎なんです」永井若葉
4人のおとこたちの半生を描いたこの作品。4人それぞれに歳を取り老いてゆくのですが……。
おとこたちはね、何となくわかるんですよ。年代によって夢中になるものやノリみたいなものが理解できるんです。
ただ、この作品の中でたまに出てくるおんなたち……謎なんです。
おんなの私から見ても「なんなんだろう……」と思う。
でもこれは、岩井さんが徹底的に取材して書き上げた【実話】なんです。
安易に答えは出さず、謎は謎として演じたのを思い出します。
- 永井若葉(ナガイワカバ)
- 1977年生まれ。2006年からハイバイに所属。劇団公演のほか、城山羊の会、劇団チョコレートケーキなどに出演。
29:40~コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」(2017年)
原案:こどもたち
そもそもこんな企画どうだろうと思った人:野田秀樹
つくってでる人:岩井秀人、森山未來、前野健太
「子どもの書いた台本をよってたかって演劇にすることはできないだろうか?」というアイデアから始まった、岩井と森山未來、前野健太による、言葉と身体と歌を織り交ぜたステージ。
「よくわかっていない振りをしています」森山未來
岩井さんってどんな人なんだろう。
あんまり怖くない。
「あんまり」っていうところがポイントかもしれない。普通に会話してるとただの気のいい兄ちゃんなんだけど、気がついたら底が抜けてる沼にずぶずぶとはまっていたりして。で、それに気づいているんだかいないんだか二人でゲラゲラ笑ってたりして。つまり僕は今、「岩井沼」にずっぽりはまっているけど気づいてないかもしれないってことだ。だから「あんまり怖くない岩井さん」っていうのが罠だと感づいているとしても、どんな人なのかよくわかっていない振りをしています。怖いから。
- 森山未來(モリヤマミライ)
- 1984年兵庫生まれ。2013年秋に文化庁文化交流使として1年間イスラエルに滞在。近年の主な出演作に舞台「テ ヅカ TeZukA」「100万回生きたねこ」「髑髏城の七人 Season鳥」「プルートゥ PLUTO」、「談ス」シリーズなど。NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」に出演中。
「自分の中の使っていなかった『何か』が着火する」前野健太
二人(岩井さん、未來さん)といると、自分の中の使っていなかった「何か」が着火する感じ。何をやってるかわからないまま、ゲラゲラ笑ったり、ふと真夜中の湖の前にたたずんでいるような気分になったり。街の中で、建物の中でキャンプしているような。「なむはむだはむ」ってそんな感じなのかもしれません。言葉、体、何だって二人は遊び道具にしてしまう。二人を追いかけて走り回ってたら、私はたくさんケガをしていました。
- 前野健太(マエノケンタ)
- 1979年埼玉生まれ。シンガーソングライター。2017年2月にコドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」に参加。音楽劇「世界は一人」の音楽を担当、出演もしている。ラジオ日本にて『前野健太のラジオ100年後』パーソナリティを務める。6枚目となるオリジナルアルバム「サクラ」が発売中。
- 日本映画専門チャンネル「特集 岩井秀人」2ヶ月連続企画記念特集
- 岩井秀人×山内ケンジ対談
違う、でも惹かれる。