楊琳・舞美りら・千咲えみ・華月奏・翼和希が思うOSK日本歌劇団の101年目、そして未来 (2/2)

OSKで得たもの、OSKとして届けるもの

──10月から、NHKの連続テレビ小説「ブギウギ」がスタートしました。OSKの伝説的スター、笠置シヅ子さんをモデルにした主人公・花田鈴子は、「歌と踊りでみんなを笑顔にしたい」という思いから歌劇の世界に魅了されていきますが、皆さんもそれぞれ人生のどこかのタイミングでOSKに出会い、魅了され、舞台に立つ道を選択されました。そんな皆さんが、初めてOSKを観たときに受けた印象、そしてOSKの舞台に立つ側となった今、大切にしていることを教えてください。

 初めてOSKを拝見したときは、エネルギッシュでパワフルだなと感じましたね。

 何を観たの?

楊琳

楊琳

 「レビュー 春のおどり」の「~繚乱~『さくら 桜 サクラ』 / 『STARS LEGEND』~DANCE DANCE DANCE~」ですね。桜花昇ぼるさんが、こうやって(と振りをまねして)歌っていらっしゃる姿をよく覚えています。

舞美 2011年ですね!

(それぞれに曲を口ずさんだり、手で小さく振りをやってみたり)

 初めて観たOSKの舞台はパワフルでエネルギッシュで、観劇というよりスポーツ観戦に近い感じを受けました。前のめりに観ていたからかもしれないですが(笑)、一緒に高揚するような気持ちになり、観終わったあとは心地良い疲労感に包まれて家路に就き、自分もOSKに入りたいなと思ったんです。だから舞台に立つ側になった今、自分もお客様のほうへエネルギーを流し込みたいなと思いながら演じています。

──翼さんは「ブギウギ」に、鈴子の先輩で歌劇団の男役スター・橘アオイ役として出演されています。ドラマの撮影にもその思いで臨まれたのでしょうか?

 そうですね。ただ実は難しいところがあって……というのも、「ブギウギ」の舞台は100年前の歌劇ができたころなので、若干、歌舞伎寄りの演技体なんです。だから俳優同士が見合って演じるというよりも、正面を向いて演じる必要があって(笑)。

 ああ! そういう型なんだ。

 はい。だから普段演じているような感じでやると監督から「それはなしで」と言われることもありました。またお化粧の仕方、リーゼントの作り方も今のような形じゃなくて、頭もぺちゃんこっていうか……(笑)。100年かけてリーゼントも進化したんだなあと思いました。

全員 あははは!

 ただ、アプローチの仕方や表現方法は違っても、「届けたい」という気持ちやエネルギーは今も当時も一緒だと思うので、そういう思いが「ブギウギ」でも表現できていたら良いなと思っています。

 観るのが楽しみ!

華月 私は歌劇を観る前からOSKの人に出会っていたので「男役さんって中性的だな、綺麗だな」と思っていました。初めて大阪松竹座でOSKを観たときは、大貴誠さんや桜花さんが燕尾服で踊っている姿に、「男役って、なんてカッコいいんだ!」と引き込まれましたね。帰り道、「花、花は咲いてOSK、OSKー」とテーマソングを口ずさみながら松竹座のエスカレーターを降りて帰ったことを覚えています(笑)。ただ、作品全体をよく覚えているということではなく、断片的に記憶が焼き付いている感じなのと、そもそも私にとっては、“ズボンでダンスを踊りたい”ということが歌劇に興味を持ったきっかけだったので(笑)、歌劇のきっかけって人それぞれだと思うんです。なので、テレビドラマを通してOSKを知ってもらうのもすごく良いと思うし、そうやってどんどん興味を持ってもらえたら良いなと思います。

また翼が言っていたように、昔のメイクや髪型って今とは全然違うけれど、それでも綺麗な人はやっぱり綺麗だと思うんです。例えば今の私たちが美しいと思っている化粧やヘアスタイルが100年後には化石のように扱われるかもしれないけれど(笑)、それでも“美しいもの”として残っている存在でいられたら良いなと思います。

左から翼和希、華月奏。

左から翼和希、華月奏。

千咲 私は小学生のときに舞台を観て、衝撃がすごかったんです。「こんな世界があったんだ!」と自分の世界が変わる感じがして。内容はあまり覚えてないんですけど、とにかく衝撃的な世界を知ったという印象で、華やかで夢の住人というか、非現実の人たちだなって。

 夢の国の住人だからね(笑)。

千咲 (笑)。そんな非現実の世界に2時間いた幸福感がずっと忘れられなくてOSKを志したんですけど、OSKの舞台は非現実の華やかさと同時にとにかくパワフルなダンスナンバーが魅力で、楊さんもよくおっしゃいますが、生命力を感じます。その生き生きと踊っている様子がすごく印象深かったです。入団してからは、その感動を皆さんにも味わっていただきたいと思いながら、夢の国の住人として(笑)、舞台に立っています。さらに「ブギウギ」で触れていただくことで、まだ舞台を観たことがないちびっ子ちゃんたちにも、笠置さんのことを知っていらっしゃる世代の方にも、OSKをより知ってもらうきっかけになればと思うので、南座公演、精一杯がんばります!

舞美 私がOSKを初めて拝見したのはOSKの研修所に合格してからで、それまでは歌劇にご縁がなかったんです。それで、研修所に入って1週間後ぐらいに、桜花さんのトップお披露目公演を拝見させていただき、その舞台には1期上の方も出ていらっしゃって……。

華月 実習で出ていました(笑)。

舞美 お披露目公演ということもあったと思うのですがみんなのお祝いムードと、桜花さんの圧倒的なオーラに「なんだこれは!」と衝撃を受けたんですね。その公演は、後方の席と前の席と2回観させていただく機会があったのですが、どこの席でも受けた衝撃が同じだったことは今でもよく覚えています。それと、桜花さんもほかのスターさんももちろん素敵だったのですが、私がさらに印象を受けたのはラインダンスで。そのときは歌劇の知識が乏しかったので、まさかラインダンスが下級生だけで構成されているナンバーだということを知らなかったんですけど、下級生だけでピッと一列にラインになって、でも何回転もしたりするわけじゃなく、ただ脚を上げたり下ろしたりするだけであれだけ美しいなんて、こういうダンスの表現があるんだとすごい衝撃を受けましたし、ラインダンスにOSKのダンス魂を感じました。また、それまで歌劇にかわいらしいキラキラなイメージを持っていたんですけど、そのときのラインダンスはエネルギッシュで、黒い網タイツで妖艶で……。

左から千咲えみ、舞美りら。

左から千咲えみ、舞美りら。

 ああ、確かに! 羽も着いている大人っぽい衣裳だったよね。

舞美 はい。OSKって大人っぽいラインダンスをするんだと驚いて、こういう踊りもチャレンジしたいと思ったんです。入ってからは「ダンスのOSK」と言っていただけるように、ダンスを大切にしていきたいなと思って舞台に立っています。

 私が初めてOSKを観たのは、OSK存続の会旗揚げ公演「春のおどり 桜咲く / ルネッサンス」で、2003年に一度OSKが解散したあと、2004年に66年ぶりの松竹座公演として行われた公演でした。そのエネルギーに圧倒されて、OSKに入ろうと思ったんです。なので、OSKの良いところはダンス力ももちろんですが、エネルギーの強さだと思っています。そこに自信を持って今後も続けていきたいですね。さらに今のOSKの強みは、伝統を守りつつも新しい感覚を持っている子たちが多いところだと思っています。伝統を受け継ぎつつ、その時代に合った新しいものをちゃんと吸収し、取り入れていける……そんな欲張った劇団になっていけたら良いなと思っています。

左から翼和希、千咲えみ、楊琳、舞美りら、華月奏。

左から翼和希、千咲えみ、楊琳、舞美りら、華月奏。

プロフィール

楊琳(ヤンリン)

8月7日、神奈川県生まれ。2007年にOSK日本歌劇団に入団。2016年の「ROMEO&JULIET」で劇場公演初主演。その後も「円卓の騎士」「新撰組」「愛と死のローマ」と、主演公演を多数経験し、頭角を現す。2019年7月、京都南座「OSK SAKURA NIGHT『夢見ていよう』」では劇団で初めて「サクラ大戦」の声優陣とのコラボ公演を成功に導いた。2021年4月にOSK日本歌劇団の新トップスターに就任。同年6月に大阪松竹座、8月に新橋演舞場でお披露目公演「レビュー夏のおどり『STARt』」を行った。今年7月には2025年大阪・関西万博の開催に向けた文化芸術プログラムとして「レビュー Road to 2025!!」を披露した。

舞美りら(マイミリラ)

7月28日、京都府生まれ。2010年にOSK日本歌劇団に入団。2018年の「三銃士」、2018年から2019年にかけての「円卓の騎士」などでヒロインを演じて注目を集める。2021年4月に娘役トップスターに就任。好きな言葉は「努力は必ず報われる」。

千咲えみ(チサキエミ)

1月1日、東京都生まれ。2013年にOSK日本歌劇団に入団。2019年に「新撰組」「Salieri&Mozart~愛と憎しみの輪舞」とミュージカル作品でヒロインを務める。2021年4月に娘役トップスターに就任。好きな言葉は「ケ・セラ・セラ」。

華月奏(ハナヅキソウ)

4月21日、愛知県生まれ。アクトダンサーとして活動後、2009年にOSK日本歌劇団に入団。2016年の「OSK Revue Café『Bonjour!!』」で初主演を務め、2017年の「HIDEAWAY~ハイダウェイ~」では劇場公演初主演を果たした。今年10月21・22日は「名古屋をどりNEO傾奇者」の第2部「NEO舞踊劇 名古屋からくり事件簿」に出演予定。

翼和希(ツバサカズキ)

4月15日、大阪府生まれ。2012年にOSK日本歌劇団に入団。2013年に「春のおどり」で初舞台を踏む。2016年の「OSK Revue Café『Wake up!!』」で初主演を飾る。今年8月には「へぼ侍」で主人公・志方錬一郎を演じ、2024年1月に大阪、2月に東京で再演が決定。放送中のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」に出演。