西田大輔は海賊の船長!?
──北村さんは、公演に先駆けてゲーム「薄桜鬼」をやりこんだそうですが、実際にプレイしてみて「薄桜鬼」のどのようなところに魅力を感じましたか?
北村 原作ものの舞台に出演させていただくときには、ビジュアル撮影に向けて、可能な限り原作に触れておきたいと思っているところがあるんです。なので今回もビジュアル撮影の前に「薄桜鬼」をプレイして、まず沖田を攻略しました(笑)。実際にやってみて、途中で洋装に変わるところが本当に憎いなあ!と思いましたね。羅刹(編集注:
──骨太なストーリー展開が魅力な「薄桜鬼」には女性のみならず、男性のファンも多くいらっしゃいます。一方の薄ミュは“殺陣×ダンス×歌”の要素が取り入れられているところも見どころの1つで、殺陣に関することでいうと、橋本さんは左利きの斎藤一を演じるために、左での殺陣をマスターされたとか。薄ミュのお稽古は非常に大変なイメージがあるのですが、当時の稽古場はどのような雰囲気だったのでしょうか?
橋本 男気あふれる現場というか、男子の部活動のような雰囲気のカンパニーだと思います。ストイックに筋トレしたり、マネージャーポジションである千鶴ちゃんをみんなで大切にしたり(笑)。僕が以前出演していた頃からずっと先輩方が「薄ミュは幸せカンパニーだ」と言っていて、当時、僕もその幸せを感じていましたし、卒業して改めて本当に“幸せカンパニー”だったなと感じました。みんなで支え合って、全員を立たせようとする座組でしたね。
──2020年には「薄桜鬼」のリメイク版「薄桜鬼 真改」を原作とする新章「ミュージカル『薄桜鬼 真改』」シリーズがスタートしました。その第1弾となる「真改 相馬主計 篇」は2020年4月に上演予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で中止に。2021年4月にようやくお披露目されました。「真改」で演出・脚本・作詞を手がける西田大輔さんと、橋本さんはご自身の初舞台である「陽炎ペイン」やDisGOONie、AND ENDLESSの公演などでご一緒されています。
橋本 西田さんはずばり海賊の船長みたいな方ですね(笑)。西田さんが「こっちだー!」と旗を振ると団員たちがついていくみたいな、カリスマ性というか人を引っ張っていく力がすごい方ですし、何よりも僕たちをカッコよく見せてくれる天才です。実際に稽古が始まってみないとわからないところがあるんですけど、西田さんが薄ミュカンパニーに参加したことによって、“ザ・新選組感”がより一層増しているんじゃないかと思います。また、近藤勇役の井俣太良さんが座組の中心にいてくださるので、今と昔が組み合わさったカンパニーになっているかなと。稽古に参加するのが今からとても楽しみです。
──北村さんは今回、西田さんと初顔合わせとなります。演出家としての西田さんにどんな印象を持たれていますか?
北村 以前、公演を拝見して印象的だったのは、舞台美術の使い方ですね。あと、暗転の使い方がすごいっていうのを先輩から聞いたことがあって、例えばお客さんが泣いてしまうようなシーンのあとに、暗転を入れることがあるそうで、その話をしてくれた役者さんいわく、「お客さんに涙を拭く間を与えてあげているんじゃないかな」と。そうやってお客さんの目線に立って演出される方なんだなっていうイメージがありますね。西田さんの意図を汲みつつ、その中で自分は何ができるかなと考えながら、一緒に作品を作っていけたら良いなと思っています。
祝10周年!4月27日を特別な1日に
──2012年にスタートした薄ミュが「真改 斎藤一 篇」の東京公演千秋楽となる4月27日、ついに10周年を迎えます。
橋本 自分自身にとっても濃い10年でしたし、もちろん座組の皆さんやファンの方々にとっても濃い10年だったんじゃないかなと思います。薄ミュは自分だけのものじゃないっていうのはわかっているんですけど、それでも10周年の節目で憧れていた景色の向こう側に行けるのは、本当に素敵なことだなって。健人の例もそうですが、思い続けていれば夢はかなうんだなということをこの10年で学びました。しかも、4月27日がちょうど10周年の日にあたるということで、「ああ、本当に愛が深いカンパニーなんだな」と感じましたね。これまで薄ミュに関わってきた方々の思いを背負って、今回の座組のみんなと共に10周年公演に立たせていただきたいと思います。
北村 10年前、当時のキャストさんやスタッフさんが薄ミュという作品を生み出してくださったおかげで、こうして憧れの作品と出会えましたし、この作品を通して素敵な役者さんをたくさん知ることができました。この作品に携わった方や応援してくださっている皆さんにとって、4月27日はとてつもなく特別な1日になると思うので、今の僕たちができることを精一杯やって、次につなげていきたいですね。また、僕のように「薄ミュに出たい!」と思う人が出てくるような、そんな11年目の1日にできたらと思っています。
──素敵な言葉をありがとうございました。最後に、本作に挑むうえでの目標を教えてください。
北村 僕が沖田役を演じることが発表されたとき、井俣さんが「早く総司って呼んであげたい」と言ってくださったのがすごくうれしくて。今回、絶対的な信頼を置いている橋本祥平という役者と対になる役をやらせていただくからには、自分一人で役作りをするのではなく、祥平や井俣さんからインスピレーションを受けながら、沖田というキャラクターを作っていきたいです。
10周年ということで、お客さんもきっと並々ならぬ思いを抱えて劇場にいらっしゃると思うので、「薄桜鬼って素敵な作品だよね」「薄ミュを応援してきてよかった」「やっぱり薄ミュって最高だよね」と感じてもらえるように、沖田としての役割をまっとうしたいなと思っています。
橋本 以前果たせなかった夢をかなえるのはもちろんですが、この「真改 斎藤一 篇」を成功させて、これからの未来につながるような公演にできたら良いなと思います。
プロフィール
橋本祥平(ハシモトショウヘイ)
1993年、神奈川県生まれ。2013年に「陽炎ペイン」で舞台デビューし、2016年の歌劇「明治東亰恋伽~朧月の黒き猫~」で初主演を務めた。近年の代表作に、テレビドラマ・舞台「あいつが上手で下手が僕で」、映画「文豪ストレイドッグス BEAST」、舞台「機動戦士ガンダム 00 -破壊による覚醒-Re:(in)novation」、舞台「フルーツバスケット」などがある。
橋本祥平 (@hashimotoshohey) | Twitter
北村健人(キタムラケント)
1993年、福岡県生まれ。第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストファイナリスト。主な出演作に、ミュージカル「忍たま乱太郎」、「ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』“最強の場所(チーム)”」「ミュージカル『陰陽師』~大江山編~」「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」、舞台「機動戦士ガンダム 00 -破壊による覚醒-Re:(in)novation」などがある。
北村健人 / Kento Kitamura - mitt management
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