Kバレエ「海賊」が本日5月24日に開幕。それに先がけ昨日5月23日に公開ゲネプロが行われた。
オーケストラの生演奏に乗せて、1幕では海賊たちの勇ましくエネルギッシュな群舞と、娘たちの華麗で伸びやかな踊りが対照的に展開し、生気あふれるシーンが次々と繰り広げられる。パントマイムを用いた表現も多く、仲睦まじい姉妹の様子やコンラッドとアリの固い主従関係、サイード・パシャやランケデムを拒む姉妹の苦しみなどがビビッドに描かれる。中でも1幕2場の奴隷市場で、中村演じるメドーラと、小林美奈演じるグルナーラが見せる、奴隷のパ・ド・ドゥとパ・ド・エスクラヴは、妖しくも悲しみに満ちた踊りで、観客の心を打つ。またヨランダ・ソナベンドとレズリー・トラヴァースによる金に彩られた豪奢なエスニック調の舞台美術、動きによってさまざまに表情を変える華麗な衣装にも注目したい。
また2幕の、諍いや裏切りといった男たちのドラマからも目が離せない。遅沢のシャープで力強いジャンプ、伊坂の大胆かつ敏捷なステップ、そして高揚する音楽と躍動感あふれる群舞で描かれるダイナミックな戦いのシーンは必見だ。
公開ゲネプロに際し、芸術監督・熊川哲也のインタビューも行われた。第一声で「僕の予想が正しければ、うちの海賊たちのほうがジャック・スパロウよりかっこいいと思いますよ(笑)」と語り、記者たちを和ませた熊川。「海賊」については「自分を育ててくれた作品でもあるし、大作にチャレンジした記憶があります」と初演を振り返り、「さすがに初演から10年経つので、鉄板作品として非の打ちどころがないものになったとは思っていますが、新しい若手のダンサーが踊ることで作品の色もまた変わりますし、監督としてはそれをどういう相乗効果になるのか、見極めていきたい」と自信をのぞかせる。
2017年版の見どころは、という記者からの質問には、「ギラギラした23、24歳の山本(雅也)とか益子(倭)が、ダンスバトルしてるところじゃないかな。そこを自分は、密かに観ようと思っています(笑)」と言い、特に6月に上演される「ジゼル」でアルブレヒト役に抜擢された山本については、「とてもいい出会いができたなと思います。素晴らしい才能の持ち主ですね。これから男に磨きをかけて、もっと色気が出てきたらと思いますが」と大きな期待を寄せた。
「ジゼル」のあと、10月には「クレオパトラ」の世界初演が控える。現在1幕半まで制作が進んでいると語った熊川は、「大作になると思います。現在のところ、スタッフの顔を見ているとキャッチーな感じはしますね」と笑顔を見せた。
Tetsuya Kumakawa K-BALLET COMPANY Spring Tour2017「海賊」
2017年5月24日(水)~28日(日)
東京都 Bunkamura オーチャードホール
2017年6月10日(土)
大阪府 フェスティバルホール
2017年6月17日(土)
香川県 レクザムホール
演出・再振付:
出演
メドーラ:
コンラッド:
アリ:
グルナーラ:小林美奈(5月24~26日)、浅野真由香(5月27日12:30)、
ランケデム:
ビルバント:杉野慧(5月24・25・10・6月17日)、西口直弥(5月26日・27日16:30・28日)、兼城将(5月27日12:30)
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