音楽ナタリー PowerPush -和楽器バンド
「今の日本」を伝えたい! メンバー8人の壮大な構想
カッコよくて魂を揺さぶるような音楽が日本にあるのに
──いろいろなバックグラウンドを持つ和楽器奏者が集まってロックバンドをやってるんですね。
鈴華 このバンドで「なぜロックを?」ってよく聞かれるんですけど、もともとみんなジャンルを問わないタイプで。ロックも聴くし、そのロックを表現するってときに自分たちの手元にあったのが和楽器だったっていうだけです。へだたりや壁を感じずにやるメンバーばかりがそろっているんです。
──なるほど。
鈴華 あと、これはバンドを組むきっかけにもなっているんですが、人から「詩吟て何よ」って聞かれることが多すぎて(笑)。なんでこんなに知られてないんだろうってずっと疑問を抱いてたんです。詩吟だけじゃなくて琴とか尺八もですけど、やってる人かお年を召した人しか観に来ない。こんなにカッコよくて魂を揺さぶるような音楽が日本にあるのに、どうして若い人に届かないんだろうって。それで気軽に聴けるような音楽と融合すれば、もっと聴いてくれる人が増えるんじゃないかって考えたんです。
「WAGAKKI」っていう言葉を世界に
──和楽器バンドはサウンド面だけでなく、ビジュアルコンセプトもバチッとキマってますよね。これも最初から構想に?
鈴華 はい。最初に動画を撮るときにメンバーに「ボーカルだけが目立つバンドはやるつもりがない」って言いました。1人ひとりがカッコよく見える動画を作りたいって言って、それでメンバー同士「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」ってお互いに言い合ってこの形になっています。今後もさらに個性が強くなっていくと思いますが、昔のミュージックビデオから観ていくとわかっていただけると思うんですが、撮りながらどんどんクオリティを上げているんです。でも基本的にはもともと持っている個性を生かしながらやってるバンドですね。
黒流 日本ってすごく情緒やワビサビがある、様式美の世界じゃないですか。音楽的な面だけじゃなくてビジュアルのいいものがたくさんあると思うんです。だからこの和楽器バンドは持ち前の、素の日本のよさを出してるだけ。
──ビジュアルの戦略として和のテイストを強調しているものと思っていました。バンド名のストレートさもなんかも含めて。
鈴華 このストレートな名前にしたのは理由がありまして。メジャーデビューをきっかけに「バンド名を決めようか」って話もあったんです。でも「和楽器 バンド」で検索して最初に出てくるのは私たちで。このキーワードイコール私たちって認識されて、しかも広がっていったのならこのままのほうがいいねって。あと和楽器っていう言葉が世界に広がれば素敵だなって思ったんです。日本語のまま世界に知れわたっている単語ってあるじゃないですか。
神永 スキヤキ、サムライとか。
鈴華 「WAGAKKI」っていう言葉を世界に広げたいねって思って。和楽器いいねって言ってもらえたり、日本てカッコいいねって。自分たちが日本人であること、日本に興味を持ってくれる人たちが増えることは素敵だと思うし。世界だけでなく国内でもさらに浸透していけばいいなっていう夢を持って、あえてほかのバンド名を付けずストレートにしました。
“異文化交流”の難しさ
──和とロック、デジタルの組み合わせはスムーズにできましたか?
町屋 アレンジ面は思っていたほど大変じゃなかったですね。
鈴華 8人で7つの楽器があるんですけど、全員が音を出すんじゃなくて個々の見せどころをそれぞれのメンバーで「ここは三味線」「こっちはギター」って考えながら作るイメージ。みんなアレンジ力があるので、いろんな提案を音にしてきてくれる。それを実際に音を出して楽しみながら構成していくんです。
──機材のセッティングであったり物理的な面での困難は?
鈴華 そうですね、和楽器は生楽器なので。
神永 もともとマイクとかいろいろ使って演奏活動してきたんですけど、メンバーがこれだけ多い中でいかに自分の音を出せるかってことをかなり試行錯誤してきました。
鈴華 尺八の足元、面白いくらいにいろいろあるんです。
亜沙 ベースよりエフェクター多いすからね。
蜷川 三味線も、音作りはもちろんバンドとしてやるときは全部違います。埋もれないようにもしなければいけないし、それでいて聴かせるところは聴かせたい。私はエレキ三味線を使っているんですがマイクの位置で音の鳴り方が全然変わってくる上に、調弦が曲ごとに違うのでステージでは3丁持ちで間に合わせてる。
亜沙 あとは機材が多いのでステージが狭く感じることぐらいですかね(笑)。
──(笑)。スペース確保のためにどんどんバンドのライブを会場を大きくしていかないといけませんね。
町屋 会場がさらに広くなると機材もさらに増えて結局狭くなりそうだけどね(笑)。
亜沙 尺八なのに8Uのラック組んじゃうみたいな。
神永 (笑)。それいいな!
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ボーカル、尺八、箏(琴)、津軽三味線、和太鼓、ギター、ベース、ドラムからなる8人組。個々にプロとしてアーティスト活動するメンバーが、ニコニコ動画にアップした“演奏してみた”動画などを通じて集合。2012年11月に最初の動画「月・影・舞・華」を公開し、和楽器とバンドサウンドの組み合わせなどにより好評を得る。2014年にはエイベックスからボーカロイド曲のカバー集「ボカロ三昧」をリリース。発売を記念して都内で行われた初ワンマンライブは即日完売した。そして8月27日には初のオリジナル曲となるミュージックビデオ「華火」をDVD / Blu-rayでリリース。