ナタリー PowerPush - THE BACK HORN

4人が歌う希望

デトックスしとかないとダメ

──THE BACK HORNに関係なく曲を書くことってあるんですか?

山田 俺はありますね、2011年に弾き語りをやったときに。手応えはありましたよ、暗いけど(笑)。暗いところをちゃんと出すって作業を自分の中でしたかったし。

──その暗いとこってTHE BACK HORNには出てこないんですか。

山田将司(Vo)

山田 自分が歌詞を書くようになったのって、暗いTHE BACK HORNから徐々に抜けようとしているときだったから。あまりないですね。ただ自分の口で言っておかなきゃいけない言葉もあったから。それで弾き語りのときに(暗い曲を)作ったんです。それをやっておかないと自分がかわいそうだなと思って。

──THE BACK HORNだけでは吐き出せないものがある。

山田 吐き出しきってない……でもちゃんと吐き出して、今のTHE BACK HORNを表現しなきゃいけない。今のTHE BACK HORNを表現するなら、そういうとこをちゃんと自分でデトックスしとかないとダメだと思ったんです。光に向かおうとしているTHE BACK HORNに……たぶん、自分がふさわしくないと思ったから、弾き語りをやりたかったんじゃないかな。

──「希望」「光」っていうタームとは対極にあるような暗いものを抱えてるけど、それはTHE BACK HORNでは出さないし、出せない?

山田 うーん……出さないというか、今のTHE BACK HORNでは出せないんじゃないかって。でも自分の中でどっかで決着つけなきゃいけないから。ちゃんと吐き出しとかなきゃいけないって気持ちが。

──今は、その葛藤は解決済みってことですか。

山田 ま、解決……ではないですけど。生活してたらいろんな感情にはなりますけど……でも、うん。そういう覚悟っていうか、腹が決まってますね、ちゃんと。

THE BACK HORNでやるときが刺激もあるし成長できる

──岡峰さんはTHE BACK HORNを離れた自分というのはあるんですか。音楽的に。

岡峰 大々的に出すことはあまりないですけどね。セッションとかに誘われてベース弾くぐらいですけど。

──THE BACK HORN以外の曲を書くことはないんですか?

岡峰 ないですねえ。自分にとって曲を作るって行為が大好きってわけでもないし。けっこう苦痛に近いから(笑)。山田みたいに曲を作ってデトックスできるようなスキルがうらやましいですけどね。

──言われて仕方なく作ってるんですか?

岡峰 あはははは(笑)。まあ、それはないですけど……。

──すいません言い方悪すぎですね(笑)。

岡峰 もちろん全員で曲を作っていこうってときには、自分だけ作らないってありえないですから。それは悔しいし、作ろうって気持ちにはなりますけど。でもそれがなかったら、たぶん作らない。

──それはやはり、自分はベース弾きだって思いが?

岡峰 うーん、そうですね。THE BACK HORNで弾いていて、自分の中の新たな感覚が引き出されることも多いし。

──今回は?

岡峰 プレイ自体にある程度のラフさっていうのをようやく認められるようになってきて。今までだったら神経質に細かいところが気になって。でも今回は「まいっか、雰囲気いいからこれで」みたいなラフさも出てきた。自分にとって「細かすぎる」ことがあんま面白く思えなくなってきたのかもしれない。

──たぶん、自分が気にするほど他人は気にしてない、っていうのもありますよね。

左から山田将司(Vo)、岡峰光舟(B)。

岡峰 そうそう。そうですね。髭剃ってきても誰にも言われないですからね(笑)。そういう細かいところが気にならなくなった。

山田 違うところで、自分の中に「認められる軸」みたいなものができた。

岡峰 うん、かもね。

山田 だから許せるところは許せるようになったとか。それが「遊び」につながったりすることもあるし。

岡峰 そう。そういうことより、本来のベースの面白さ、低音の醍醐味に立ち返ったような気がしてます。

──そういうふうに岡峰さんが変わって、バンド全体の音も変わってきたと思いますか?

山田 うん、思いますね。昔みたいに手癖感を感じなくなったというか。光舟が弾きそうな手癖だったりリズムの割り振り方。もっと余裕が出て遊びが感じられるようになった。こういうリズムに対してこういうノリでベースを乗せていくんだ、みたいな。「シンメトリー」のサビとか、けっこう新鮮な感じがあった。「コワレモノ」もそうだし。「月光」も光舟らしいけど、すごくいい。表現の幅がすごく広がったと思う。

──THE BACK HORNで弾いてるときと、ほかで弾くときは何が違うんですか?

岡峰 レコーディングでほかのドラマーと一緒にやると、すごく違いを感じます。ノリ方が違う。そういう部分の刺激はあるし、「ここはTHE BACK HORNに持って帰れるな」っていうのはちょくちょくあります。でもやっぱりTHE BACK HORNでやるときが、刺激もあるし成長できるって手応えはありますね。

──ドラマーとしての松田くんってどういう感じなんですか?

岡峰 いやあ……しゃべってる感じというか(笑)。訛りもちゃんとドラムに出てる感じが。

山田 ああ、プレイがしゃべってる感じと近い。

岡峰 そうそう。

山田 わかる(笑)。

ニューアルバム「暁のファンファーレ」 / 2014年4月9日発売 / SPEEDSTAR RECORDS

初回限定盤 [CD+DVD] / 3456円 / VIZL-657
THE BACK HORN「暁のファンファーレ」
初回限定盤 [CD+DVD] / 3456円 / VIZL-657
通常盤 [CD] / 2916円 / VICL-64147
通常盤 [CD] / 2916円 / VICL-64147
CD収録曲
  1. 月光
  2. ビリーバーズ
  3. シェイク
  4. バトルイマ
  5. ブランクページ
  6. 飛行機雲
  7. サナギ
  8. コワレモノ
  9. エンドレスイマジン
  10. 幻日
  11. タソカゲ
  12. シンメトリー
  13. ホログラフ
初回限定盤 DVD収録内容
  • 「バトルイマ」Music Video
  • 「暁のファンファーレ」Making Video
THE BACK HORN(ばっくほーん)

1998年に結成された4人組バンド。2001年にシングル「サニー」をメジャーリリース。国内外でライブを精力的に行い、日本以外でも10数カ国で作品を発表している。またオリジナリティあふれる楽曲の世界観が評価され、映画「アカルイミライ」の主題歌「未来」をはじめ、映画「CASSHERN」の挿入歌「レクイエム」、MBS・TBS 系「機動戦士ガンダム 00」の主題歌「罠」、映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」の主題歌「閉ざされた世界」を手がけるなど映像作品とのコラボレーションも多数。2012年3月に20枚目となるシングル「シリウス」を、同年6月に9作目のオリジナルアルバム「リヴスコール」を発表。9月より2度目の日本武道館単独公演を含む全国ツアー「THE BACK HORN『KYO-MEIツアー』~リヴスコール~」を開催し、成功を収める。2013年9月にB面集「B-SIDE THE BACK HORN」およびシングル「バトルイマ」を発表。2014年4月に通算10枚目のアルバム「暁のファンファーレ」をリリースした。