ついてきたくなるようなメッセージ性のあるものに
──今お話に挙がった「Revolution」が今作のリード曲で、彪馬さん主導で制作が進んだんですね。
彪馬 そうですね。「壮大な曲を作りたい」「ストリングスを入れたダンスミュージックを作りたい」といった大雑把な構想は、前々から自分の中にあったんです。そこから連続リリースを経て、今だからこそできるものってなんだろう?と……もともとのアイデアをそのまま使うんじゃなく、今だったら歌詞はこういう世界観がいいだろう、イントロはこういう感じ、展開はこういう感じで……と、より深くイメージを練ることができたと思います。和哉も言ってくれたように楽曲制作はNamelessさんに依頼したんですけど、何年も前から僕たちの音楽を作ってくれている信頼があるからこそ、お願いしたい気持ちがありました。
──実際には、どんなふうにイメージを伝えたんですか?
彪馬 まずは「革命」とか「祝祭」とか、曲をイメージする単語を書き出して。そこから自分が描きたい展開をすごい長文でお伝えした感じでしたね。歌詞で伝えたい思いについては細かく……それこそ「革命」をただ歌うだけになっちゃうと独りよがりすぎるし、自己主張で終わってしまうと思ったので、聴いた人がついてきたくなるようなメッセージ性のあるものにしたいと伝えさせてもらって。細かいやりとりの中で仕上げていった感じです。
──また、この曲は毅さんと彪馬さんのボーカルに耳を奪われますね。ハイトーンで畳みかけるパワフルなボーカルに驚きました。
毅 いやあもう、戦いでした。過去イチ大変だったなあと……。もちろんどの曲も気合いを入れてレコーディングブースに入るんですけど、今回はだいぶ怖かったですね(笑)。相当いろんな準備をして、気持ちを高めて臨みました。
彪馬 僕は楽曲の構想を担当した身ではあるけれど、ここまでハイトーンになることは予想していなかったです。デモを聴いたとき正直ビックリしたんですけど(笑)、楽曲のイメージにメロディラインがすごくマッチしていたし、「ここでキーは下げたくないな」とか考えて、歌いきるぞ!と。レコーディングにすごく専念して、僕も戦いました。
9人ならではの“縦感”
伊藤壮吾 「Revolution」はMVもすごいんですよ。炎の演出なんかもあって、かなり見応えのある、迫力のある映像になっていると思います。MVが先に公開されると思うんで、それを観てアルバムを楽しみにしつつ、さらに「Persona」への期待を膨らませながら待ってもらえたらいいなと思います。
──MV撮影は採石場で行われたとお聞きしました。
志村玲於 不思議と帰ってきた感あったよね? 採石場。
颯 わかる。「BROTHERHOOD」(2017年リリースのアルバム「1st Impact」収録曲)のMVとロケーションが似てるからね。今回のMVは、そこからさらにパワーアップした感じなんです。炎を囲んで踊ったり、1人ひとりダンスシーンをしっかり撮影したり……それと、天気がめちゃくちゃによかったんだよね。
ジャン そうね。
毅 ヤバかったよね!
和哉 快晴かつ満月で。
颯 そうそう。まだ完成形は観ていないんですけど、チェック段階からめちゃくちゃ盛り上がって。
毅 ロケーションが最高だったからすでにテンションが上がっていたんですけど、「とりあえず確認しようぜ」なんて言ってプレイバックを観たら、もう、カメラ越しに映った画がすごすぎて。こんなにド派手な画になるんだ!というくらい……理想以上の仕上がりになりましたね。
──この曲のダンスパフォーマンスについても聞かせてもらえますか?
玲於 彪馬のこの曲への思い入れが本当に強くて、彼のほうから「コレオについて一緒に考えたい」と言ってくれたので、一緒に考えていきました。振付は「Not Enough」(2022年11月リリース)を担当してくれたAkanenさんに依頼して。僕と彪馬でどういうイメージがいいかをすり合わせながらお願いした感じですね。
彪馬 「Revolution」は世界観がわかりやすい楽曲なので、基本的にはAkanenさんに感じ取っていただいたままに作り上げてほしいなと思いつつ、僕は“縦感”を加えてほしいとリクエストしました。僕ら9人もいますし、壮大な楽曲だからこその迫力と立体感のある演出は意識したいなと。そこは玲於くんも同じように考えていてくれたので、うれしかったです。
楽 Akanenさんの作ってくれた世界観がすごくカッコいいんです。スパドラのゴリゴリとした勢いももちろんあるし、女性ダンサーさんならではの視点で表現された力強さとか、彪馬が言っていた空間の使い方とか。とにかく僕たち9人の使い方や配置がすごくうまくて見応えがたっぷりなので、すべてのパートに注目してほしいです(笑)。最後、ジャンくんのパートでは少し雰囲気が変わって、急にシンプルな展開になるんです。そこの動きはキャッチーだし、みんなのグルーヴ感もよくわかって楽しいと思うので、そういう変化も見逃さずにいてもらえたらと思います。
つよジャン不仲説
──3曲目が昨年の連続リリース曲の1つである「So Woo」です。アルバムには連続リリース全8曲のうち5曲が収録されていますが、選曲の基準などはあったのでしょうか?
ジャン 新曲たちとの相性を考えながら選びました。例えば「So Woo」は、絶対に4曲目の「Don't Turn It Down」とつなげたほうがいいよね、という理由でここに置いているんです。アルバム全体の流れを考えたうえで必要な曲、という基準で選ばれた“ヤツら”ですね。
田中洸希 ヤツら(笑)。
毅 とびきりの、強えヤツらです(笑)。
──なるほど。確かに「So Woo」から「Don't Turn It Down」へのグルーヴィな流れは心地よいつながりを感じますね。
ジャン 「Don't Turn It Down」のテーマは僕が決めたんですけど、いい意味で深すぎない曲にしたかったんです。どういう内容にしていこうか考えたとき、「mirror」というタイトルが持つ意味の1つとして「着飾る」というキーワードがあったので、「俺らカッコいいだろ?」という自信を歌ったら面白いかなと。このアルバムは俺らの自信作だという思いもあるし、そういうスタンスを歌っている感じですね。
和哉 テーマは単純だけど、自分は1曲に1つ、絶対にパンチラインを作りたいという気持ちがあるので、「叩いても出ねえ埃を待っとけ」と書きました。「音楽、ホントに真面目にやってるから」ということは言いたいですね。操り人形じゃないからなと。
毅 この曲は「So Woo」の兄弟曲だというイメージもちょっとありますね。
ジャン ……。
毅 え、違った!?
一同 あはははは!
玲於 まずいまずい!(笑)
毅 これは不仲説です!!
楽 急に?(笑)
和哉 ナタリーで発表しましょう。つよジャンの不仲!
毅 見出しでお願いします!(笑)
ジャン ごめんごめん(笑)。楽曲制作チームが「So Woo」と一緒なので、そういう意味でもスタンスが似ている曲なんです。兄弟曲で間違いないです!
持ち味にしてるんだから、ウィスパーボイス
──5曲目の「Pretty Girl」はポップなムードのある楽曲で、またここでテイストが変わりますね。
ジャン これはアルバムに入れるか入れないか悩んだ曲でした。何度も聴いたうえで最終的に「やっぱり必要だな」と決断した経緯がありますね。実際にメンバーの声が入ったものを聴くとライブでの景色もイメージできるし、歌詞の内容にもBLUE目線でうれしい部分があるかなと思いますし。結果として入れたのは正解だったなと思っています。
毅 ポップパンクというのか、こういうテイストの曲をやってみたかったんですよ。2000年初期リバイバル……俗に言うY2Kリバイバルの流れが来ている現状、これまではヒップホップが世界のトレンドの中心だった中で、カッコいいロックがまた注目されてきていると思うんです。スパドラは結成初期からロックテイストを武器にしていたし、ロックとは親和性が高いので。
ジャン そうね。
毅 今回、ロックというジャンルでの主張をちょっとポップにしてみるっていうのは、1つの挑戦としてアリなのかなと。なんというか、今の気分にこの曲がフィットしてくれた感覚がありますね。BLUEのみんなにも気に入ってもらえると確信しているので、ライブで披露するのも楽しみです。
洸希 こうやってみんなでワイワイできるような曲って最近あまりなかった気がするから、ライブでやるのが楽しみですね。何も考えずに笑いながら歌いたい気分です。と言いつつ、ちょっと歌うのが難しくて、この曲苦戦したんですよ。
──そうだったんですね。
洸希 (ささやき声で)笑顔でがんばりました……。
和哉 急にどうした?(笑) キモウィスパー。
洸希 おーい、こらこらこら! けっこう持ち味にしてるんだから、ウィスパーボイス。
颯 自分で言うなよ!(笑)
一同 あはははは!
洸希 って感じです(笑)。
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説得力、あるかな……?