ドラマ「シュガードッグライフ」SUPER★DRAGON・田中洸希&多和田任益インタビュー|2人が自然体で演じあげる、優しさと愛にあふれた“じわキュン”BL

依子原作による実写ドラマ「シュガードッグライフ」が現在放送されている。同作は料理上手な大学生の桜庭唯純と、天然たらしなおまわりさんの天沢恭丞の“癒し系”BL。2人がおうちごはんを通じてゆっくりと恋心を育んでいく“じわキュン”ラブストーリーが展開される。

ドラマが盛り上がりを見せる中、コミックナタリーでは桜庭唯純役の田中洸希(SUPER★DRAGON)と、天沢恭丞役の多和田任益にインタビューを実施。2人が感じた原作や登場人物の“じわキュン”な魅力はもちろん、自然体で役を演じたという芝居で意識したこと、美味しいだけではない印象的な“おうちごはん”についても語ってくれた。ドラマが終盤を迎える今だからこそ話せる内容満載なので、原作マンガ、ドラマ、そしてこのインタビューに触れて、“じわキュン”を倍増させてほしい。

取材・文 / 阿部裕華撮影 / 武田真和

「シュガードッグライフ」あらすじ
「シュガードッグライフ」

「シュガードッグライフ」

低身長と童顔がコンプレックスの大学生・桜庭唯純は、ある日唯純を未成年と勘違したおまわりさん・天沢恭丞に補導されかける。誤解を解き事なきを得た唯純だったが、バイト先のコンビニで天沢と再会。常連客となった天沢が会うたびにおすすめの夜食を聞いてくることから、唯純は天沢の食生活が心配になり彼に手料理を振る舞うことに……。料理上手な大学生と、町の人々から愛される天然たらしなおまわりさんの恋模様が描かれる。

田中洸希多和田任益インタビュー
左から多和田任益、田中洸希。

左から多和田任益、田中洸希。

BLジャンルの導入として入りやすい作品

──おふたりが原作をお読みになった印象を聞かせいただけますか?

田中洸希 「シュガド」の原作を読んで思ったのは、すごく癒される作品だということ。何か大きな出来事が起こるわけではなく、些細な日常が描かれているほんわかしたストーリーです。だから、ジャンルとしてはBLという括りの中にある作品だけど、ジャンルに捉われずにサラッと読めるんじゃないかなと思います。とはいえ「シュガド」は“じわキュン”BLなので、ちゃんと恋愛作品としてキュンキュンできます。

多和田任益 今、洸希くんも言っていましたけど、BLというジャンルの作品に触れたことのない方への導入として入りやすい作品だと思います。そんな中でも僕が「シュガド」を読んでいて一番いいなと思ったのは、人と距離が縮まったり、人に惹かれたりしていく過程がすごく自然にリアルに描かれているところです。例えば、相手に言われた言葉がうれしくて、もう1回言ってもらうためにしてあげるとか。「人に惹かれるってこういうところが始まりだよね」と思わされます。お互いに気になって、惹かれ合っていく。結ばれるまでの過程がめっちゃ丁寧に描かれているからこそ、すごく素敵だなと思える作品です。

「シュガードッグライフ」第1話より。唯純の働くコンビニに天沢が通い始め、徐々に2人の距離が縮まっていく。

「シュガードッグライフ」第1話より。唯純の働くコンビニに天沢が通い始め、徐々に2人の距離が縮まっていく。

田中 うんうん。優しさと愛にあふれたストーリーはすごく魅力的ですよね。そういう意味では(桜庭)唯純と天沢(恭丞)さん、メイン2人の人間性が深く描かれているところも「シュガド」の魅力の1つだとも思います。いろんな方に純粋に楽しんでもらえる作品です。

──「人間性が深く描かれている」とのことですが、原作をお読みになってご自身が演じるキャラクターにどのような印象を抱いたのかも教えてください。

田中 唯純の第一印象はすごく不器用でツンデレな子だなと。思ったことを素直に言えないのに、態度にはすごく出てしまう。ちょっと不器用であり、かわいさも感じました。ただそれは表面的な部分で、実は幼いときに母親が亡くなっているというつらい過去があり、孤独で寂しい思いを抱えている。そんな寂しさを天沢さんが優しく包み込んでくれるんですよね。多和田さんも言っていましたけど、回を重ねるごとに唯純は天沢さんへ惹かれていくから、心情に合わせた表情の変化はすごく大切なポイントになるだろうなと感じました。

多和田 天沢は“天然たらしのおまわりさん”という紹介文、その通りだなと思っています。こういう人がたくさんいたら、平和な世界になりそうと思うような人物です(笑)。思っていても恥ずかしくて言えないような言葉を放ったり、聞きづらいことを聞いたりできるピュアさがある。だからといって考えなしというわけではなく、相手のことを思っての優しさや愛情からくる言動・行動だと思うんです。それをいい意味で隠していないというか……隠すも何も意識しているわけではなく自然にやってしまうので、“そのまま”生きている人だと思います。ドラマ第2話でも身内でもない子供のために何度もくじ引きをするシーンがありますけど、どれだけいい人なんだろうと。だから、「街のみんなに好かれているおまわりさん」という天沢の説明にはすごく説得力を感じます。

「シュガードッグライフ」第2話より。誰にでも心優しく親切なおまわりさん・天沢は、町の人から親しまれている。

「シュガードッグライフ」第2話より。誰にでも心優しく親切なおまわりさん・天沢は、町の人から親しまれている。

特別な役作りはせず、“自然体”を意識

──そんなキャラクターを演じるうえで意識したことはありましたか?

田中 ここはこうしなきゃダメだという意識はあまりなかったですね。原作を読んでなんとなくこうあるべきなんだろうなと自分の頭の中に意識として置いているものがあったり、撮影当初は探り探りな部分があったりしたのですが、お芝居をするにつれてそんなに考え込みすぎずに気づいたらナチュラルな芝居ができていました。

多和田 僕も「役に入っていくぞ!」と凝り固まって役に入ったわけではなかったですね。洸希くんのお芝居に合わせたり、監督と話し合ったりして自然に作り上げていきました。

──おふたりで演技プランを話し合ったというよりは、お互いの芝居を見て自然と「どう演じたほうがいいか」が定まっていったということでしょうか。

田中多和田 そうですね。

田中洸希

田中洸希

多和田 自然と惹かれ合っていく様子が描かれるお話だから、僕は洸希くんを見て自然体でお芝居しようと思っていたし、たぶん洸希くんも同じことを思ってくれていたと思います。

田中 (頷く)

多和田 だから、お互いに何も言わずとも自然とお芝居が定まっていましたね。

田中 監督とも台本の読み合わせでキャラクターについていろいろお話したり、最初の撮影のリハーサルでお芝居をして少し指示を受けたりしていたのですが、本当にそれくらいで。役の基盤を作り込むこともそこまでせず、監督と「これはどうですか?」「こうですよね?」とラフに話し合って撮影していきました。

多和田 僕らも自然体を大事にしていたし、監督を含めたスタッフの皆さんも大事にしてくれようとしていたから、自分から提案することもありました。「セリフの意味は理解できるけど、これまで演じてきた天沢の印象だとこういう言い方はしない気がするんです。もう少しこういう言い方でもいいですか?」と相談したり、監督からも「ここは違う気がするから削っちゃおうか」と現場でのセリフ変更があったりもしました。だから、みんなが一番意識していたのは、“自然体でお芝居をすること”なのかなと思います。

多和田任益

多和田任益

──作り過ぎない意識をしていたということですね。

田中 でもさっきも言ったように、唯純は心情に合わせて表情がすごく変化していくキャラクターなので、そこは意識しましたね。というのも、唯純ってセリフに「……」が多いんですよ。

多和田 確かにそうだね。

田中 その「……」がめちゃくちゃ大事なんですよ。視線や表情で感情を語ることが多いから、唯純の感情を意図通り皆さんに読み取ってもらえるかはすごく意識しました。

──セリフの間の多さと同じくらい、唯純はモノローグも多いですよね。

田中 そうなんです。モノローグは撮影とは別に音声を録るので、撮影のときを思い出しながら映像に写っている表情に合わせて、声だけのお芝居で心情を表現するんですよ。それはめちゃくちゃ難しかったです。

「シュガードッグライフ」第3話より。

「シュガードッグライフ」第3話より。

多和田 それでいうと、天沢って「普通言わんやろ!」という言葉を違和感なく成立させられる人なので、僕はセリフの言い方を一番意識しました。思わせぶりなことを言ったり、恥ずかしくなるようなことを恥ずかしげもなく言ったりしても、「この人だったらこういうこと言っちゃいそう」と思わせてしまう。だから、いかに違和感を感じさせないように見てもらえるかをすごく考えていました。

リアルと状況が重なった「おかゆ」看病シーン

──おふたりが演じてきた中で、印象に残っているシーンはどこでしょう。

田中 唯純が風邪を引いて、天沢さんが初めて1人で料理を作ってくれた第8話のシーンは印象に残っています。唯純が天沢さんに告白をするのですが、唯純の気持ちがグッと跳ね上がった瞬間なので、お芝居をするうえでも印象に残っていて。撮影のとき、リアルに風邪を引いていたタイミングだったんですよ。状況が一緒過ぎて、芝居に気持ちが乗りやすかった(笑)。

多和田 体調を崩しているときって、人の優しさがより染みるもんね(笑)。

田中 そうなんですよ。たまごのおかゆも染みました。天沢さんの優しさを一番ストレートに感じたシーンでもあったから、すごく思い入れがあります。

多和田 すごくわかる……!

田中洸希

田中洸希

多和田任益

多和田任益

──ちなみに、田中さんが風邪を引いていたことを多和田さんはご存知だったのでしょうか……?

多和田 ……はい(笑)。冗談で「役作りいらんやん、完璧やん」と言っていました。

田中 あははは(笑)。

多和田 弱っている人を前にしたとき、どういう言葉をかけてあげるのが一番いいのか、引っかかりなく演じることができました。あと、本作のフードコーディネーターであるミキティ(礒辺美樹)さんのおかゆのレシピが、僕の作るおかゆの味と似ていて(笑)。たぶん同じような出汁や調味料を使っているからなんですけど。僕も実際に体調が悪くなったり、友達が体調を崩したりすると、めっちゃおかゆを作るんですよ。だから、いろんな意味で違和感なく入り込みやすいシーンでもありました。

──普段から看病のために、おかゆを作られていたんですね。

多和田 友達が体調を崩したとき、ゼリーや飲み物を詰めて持っていって、ついでにおかゆだけ作って帰ることは普通にあります(笑)。なので、うまく卵を割らないようにすることが一番難しかったですね……。「どうやって下手に割るの!?」となっていたら、「卵の殻に指を入れる」というアドバイスを受けました(笑)。それを唯純くんが「大丈夫かよ……」と心配しながら見守っていて、天沢が「大丈夫大丈夫!」となるシーンの撮影はちょっと楽しかったです。

田中 楽しかったですね(笑)。

多和田 なので、僕もあのシーンは印象に残っています。おかゆのほかに、唯純くんのお父さんの話をする大事なシーンでもあって。天沢のセリフ量も多かったのですが、自分の中ではあまり引っかかりなくセリフを言うことができました。洸希くんも集中してお芝居をしてくれたから、僕も集中してお芝居ができたんだろうなと思っています。

左から多和田任益、田中洸希。

左から多和田任益、田中洸希。

──唯純に告白されるシーンはどのような心境になりましたか?

多和田 天沢さんと同じ気持ちになりました。「それってどういう意味の好き……?」みたいな(笑)。告白のときに唯純くんがほっぺにキスをしてくれますけど、それでも天沢は「お友達としてではなく……?」と鈍感な反応を取るじゃないですか。そのあとすぐに唯純くんから「ダチにこんなことするかよ」と返されて「まあ、そうか」と納得する。あのシーンは自然とお芝居ができました。中盤以降の撮影だからこそというのもあるかもしれません。あと、あそこのシーンは唯純くんと天沢の身長差がいいですよね。撮影中、この身長差ですごく真剣に「好きだ」と言われたら、そりゃドキッとするよねと思いました。身長差を改めて僕は感じた瞬間でもありましたね。