SUPER★DRAGONがポニーキャニオンからメジャーデビュー。メジャー第1作となるシングル「New Rise」を3月6日にリリースした。
2015年に9人で活動をスタートさせ、辰年の今年9月に結成9周年を迎えるSUPER★DRAGON。グループにとっての“節目”と言えるこのタイミングで、新たな場所への大きな1歩を踏み出した彼らの新曲は、デビュー当時からのアイデンティティであるミクスチャーサウンドにメンバー自身がつづる未来への力強い意志を込めた歌詞が乗る、エネルギーあふれる1曲に仕上がった。
リリースを記念して、音楽ナタリーではメンバーにインタビュー。大きな転機を迎えた今の心境から9人で歩んできた9年のこと、そして新曲に込めた思いまで、じっくりと話を聞いた。
取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 須田卓馬
大きなターニングポイント
──皆さんは、自分たちがメジャーデビューという選択をする未来を想像していましたか?
古川毅 なくはなかったと思うんですけど、「メジャーデビューしたい」という自分たち発信の気持ちがすごくあったわけではなかったというか。今回、事務所のスタッフからの提案をきっかけに、メジャーという方向に舵を切ろうとみんなでシフトしていった感じなので、本当にタイミングだったと思います。
──メジャーデビューの提案があったとき、率直にどう感じましたか?
松村和哉 おそらく普段リスナーとして音楽を聴いている方の感覚と同じだと思うんですが、メジャーとインディーズの違いで、何ができるようになって何が変わるのか?という部分は僕らもあまり実態がつかめなかったのが正直なところです。でも「いい方向には進むんだろうな」という漠然とした希望みたいなものだけがあったという感じですね。
飯島颯 ポニーキャニオンさんからメジャーデビューという話をいただいて率直にうれしい思いがありましたし、今年はスパドラの活動も9年目……僕ら9人にとっても節目の年でもあるので、この出来事が1つ起爆剤となるチャレンジになるのかなということはすごく感じました。なので僕はすごくポジティブに捉えていました。
──メジャーデビューをBLUE(SUPER★DRAGONファンの呼称)に発表した昨年12月のライブで、彪馬さんが「ここまで着実に進んできたスパドラが初めて大きな1歩を踏み出す」という表現をしていたのも印象的でした(参照:SUPER★DRAGONが“大きな一歩”踏み出した夜「999」で分かち合った喜びと、ともに見つめた夢)。
池田彪馬 毅くんが言ってくれたように、ここまで9年間活動してきた中で、僕らは何かが大きく変わるような選択をしてこなかったし、メジャーデビューも提案があるまであまり考えていなかったんです。だからこそ、提案をいただいたときに自分たちの現実と向き合いましたし、実際デビューの準備が進んでいく中で、グループにとっても僕自身にとっても、今まで感じてこなかったような期待感みたいなものが湧いてきました。スパドラにとってメジャーデビューはどんな刺激になるんだろう?とか、とにかくいろんな感情が混ざっているのですが……とにかく、活動9年という長いキャリアの中で、本当に大きなターニングポイントになるだろうという感覚が強かったですね。
──提案を受けてメジャーデビューを決めるまでには、メンバー間ではどういった気持ちの共有があったのでしょうか?
古川 近年、コロナ禍に入ってからは特に、それまでよりもしっかりと自分たちが音楽制作に携って、アルバムの構想を練ったり「こういう曲をやりたいよね」と、自分たちでリファレンスをまとめたりしていたんです。環境が変わることで、そういった作業ができなくなるのではないか?とか……クリエイティブに関する部分での若干の不安感みたいな、ネガティブな気持ちは正直ゼロではなかったんですけど、スタッフの皆さんと話し合ってお互いの意識の解像度を上げていくことで「意外とそんなこともないんだな」と。レーベルの皆さんとのご縁で、愛情を持ったスタッフの方がサポートしてくれることによって、僕たち自身のクリエイティブも可能になるしっていう。そうやって、最初の段階で僕らが持っている漠然とした不安を希望に変換することができたので、「よろしくお願いします」という感じでした。自分たちでこういった選択をして、今の環境に巡り合うことができたので、すごく感謝しています。
──皆さん的に、ポニーキャニオンにはどんなイメージがありましたか?
志村玲於 アニソンがすごく強いよなって、個人的には思っていました。例えば「進撃の巨人」のテーマ曲だったり。なので、僕らもアニソンにチャレンジできるんじゃないかとか、そういった方面でも海外に進出するきっかけを作れたらいいねとか、そんな話もみんなでしたよね。
古川 あと、僕らは音楽性にしっかりこだわりながらもキャッチーなポップスを発信していこうぜというスタンスを持ってこれまでやってきたんです。そういった面で、Official髭男dismさんがポニーキャニオンの看板を張っているという事実はものすごく……超生意気な言い方になってしまうんですけど、信頼できるなって。ヒゲダンさんは常にブレずにチャレンジングなスタンスでありながら、ワールドクラスのサウンドで極上のポップスを届けているじゃないですか。それってすごく価値のあることだと思うし、素敵なことですよね。そういうレーベルさんとのご縁ができたことが、僕らにとっても希望だなと思いました。
学校からガチのダッシュで
──メジャーデビューという節目のタイミングで、新たにSUPER★DRAGONに出会う方もいるのではと思います。せっかくなので、皆さんの9年間の歩みをここで少し振り返れたら。まずは、2015年のグループ結成から、1stアルバム「1st Impact」(2017年1月リリース)を発表するまでの最初期の3年間は、皆さんにとってどんな時期でしたか?
伊藤壮吾 もう、ほぼ10年前ですもんね。
志村 今思えば、自我薄かったよな。
松村 言っちゃえばね。
志村 まだまだ「こういう音楽を作りたい」という意志を持てる段階でもなかったじゃない。
飯島 活動のスピードについていくのに精一杯、1つひとつのことを走り抜けるのに精一杯っていう感じだったよね。スパドラは結成初期からいろんなフェスやイベントに出させていただいたし、新曲もハイスピードで出していたから。当時はみんな学生だったし、学業もライブもという感じで、とにかく必死だった感覚を覚えています。
──最年少の和哉さんと楽さんは、デビュー当時は小学生ですもんね。
松村 1つ覚えていることが、小学生って歩いて登下校するじゃないですか。だけど、放課後はリハがあるので、歩いて帰っているとリハに間に合わないんですよ。だから家族が校舎裏に車をつけてくれて、迎えに来てもらってそのまま移動する、みたいな感じでしたね。
柴崎楽 懐かしい! で、中学に上がると制服になるじゃないですか。僕は母親から「制服姿だとリハが夜までかかったときに危ないから、私服に着替えなさい」と言われていて。なので、車の中で私服に着替えてから向かっていました。着替えが入っているから毎回リュックがパンパンで、いつも荷物が大変でしたね(笑)。
伊藤 僕も結成当時は中学1年生だったんですけど、確かに学校からガチのダッシュで家まで帰ってたなあと……。
田中洸希 ガチのダッシュ!(笑)
松村 (小声で)遅そう……。
飯島 歩きは速いんだけどね。
柴崎 歩いたほうが速い(笑)。
伊藤 で、家でちゃっちゃと着替えて電車乗って行ってたなあと、今の話で思い出しました。大変だったな。
──結成当時は最年長が16歳で、最年少が11歳。全員学生ですし、まだまだ周囲の大人たちの導きによって進んでいく感じですよね。
古川 本当にそうですね。立ち上げのスタッフは、マジで親代わりみたいな存在なので。その方たちに、自分たちのベースを作ってもらったというか。
──SUPER★DRAGONは「ミクスチャーユニット」を標榜していますが、デビュー当時の“ダブステップ×ヘビーロック”というゴリッとした音のコンセプトについては、当時の皆さんはどういった受け止め方をしていたのでしょう。
田中 それまでEBiDANの中でロック系の音楽をしっかりとやっているグループはいなかったので、ホントに新しい、今までと違ったグループだよねって感じで先輩から話しかけてもらったりしましたね。僕個人としては、父親の影響もあってロックが好きでよく聴いていたので、そういう音楽性の楽曲を自分たちの曲だと言えることがうれしかったです。
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やれることが相当広がったタイミング