SUPER★DRAGON「mirror」インタビュー|鏡の中に写る“本当の自分” 9人の手でつかみ取った自信とプライド

「自分自身を深く知り、愛することで自信や可能性につながり次の段階へと成長できる。まずは鏡に向かって自分と見つめ合え」。SUPER★DRAGONが3月1日にリリースした5thアルバム「mirror」のタイトルには、こんな思いが込められている。

今作で“自分と見つめ合った”メンバーは、楽曲プロデュースや作詞などを担当する形で、すべての楽曲の制作に携わった。メンバー自身が中心となって作り上げられたこの「mirror」には、8年間の活動を経て自分たちの音楽性をその手につかんだ9人の自信に満ちた姿が写し出されている。

音楽ナタリーではメンバー全員にインタビュー。新曲の話題を中心に、彼らがこの“自信作”を作り上げるまでの過程を聞いた。

取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 上野留加

今までで一番大事な作品になった

──皆さんがSNSなどに書いている「mirror」についてのコメントから、仕上がりに手応えを感じていることが伺えますね。

ジャン海渡 おっしゃる通り、自信作になりました。2022年は毎月新曲をリリースして、その中には連続リリースという形じゃなければ挑戦し得なかったこともあって。その中で僕らはSUPER★DRAGONとしての芯を通すために制作を重ねて、スパドラのカッコいい部分、不必要な部分、いろいろと気付けた感覚があるんです。「mirror」は僕らがカッコいいと思うものだけを詰め込んだアルバムですし、今までの作品で一番深くメンバーが制作に携わっているので、このアルバムに関して何か発信するときに、より説得力を持って伝えられているのかなと。早くこの作品が広まってほしいですし、聴いた方に「スパドラってこういうグループなんだ」と言われたとき、自信を持って「そうです」と答えられると思います。

SUPER★DRAGON

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古川毅 昨年の活動を経て……なんならこれまでのすべての道のりを経てできたアルバムだなと思います。今まで出してきた作品の1つひとつに嘘はないし、大事にしてきたんですけど、それを前提にしても今回は今までで一番大事な作品、僕らにとって意味のある作品になったと思うので、皆さんの反応が早く知りたいというのが率直なところで。「ミクスチャーユニット」という言葉を掲げているからこそ生まれたジャンルレスな全12曲になっていると思うんですけど、総じて自分たちの軸、「ポップスを作る」というマインドを提示できていると思う。なんだか、このアルバムを通して「スパドラってこういうグループだよ」と発信できることが、素直にうれしいんですよね。

──TikTokで公開されたばかりの颯さんのアルバム紹介アフレコ動画も最高でしたね(取材は2月中旬に実施)。

 あれ、メンバーにも衝撃が走った動画ですよ。誰にも言わずに編集して、公開してて。マジでどうしたんだよって(笑)。

飯島颯 自分たちがこだわりを持って作って、本当に思いがこもっているものなので、しっかりとこの作品を伝えたいというか……より多くの人に聴いてもらいたいなという思いがすごく強くて。コロナ禍での活動の中で自分たちの感情は言葉や形にしないと伝わらないということも学んだし、今回のアルバム、さらには3月25日の「Persona」(神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催されるワンマンライブ)に向けてBLUE(SUPER★DRAGONファンの呼称)と一緒に盛り上がっていきたい、自分の発信が盛り上がるための1つの種になってほしいなと考えたとき、アフレコをやってみようと……。

ジャン 飛躍しすぎやろ(笑)。

一同 あはははは!

柴崎楽池田彪馬 すごいなあ。

 みんなが見たくなるコミカルな仕掛けを作っていかなきゃなと思って。結果あんなふうになりました(笑)。

左から飯島颯、池田彪馬、ジャン海渡。

左から飯島颯、池田彪馬、ジャン海渡。

常にBLUEのことが念頭にあった

──改めて、毎月連続リリースという新たな挑戦をした2022年の活動はいかがでしたか?

ジャン 僕と和哉に関してはほぼ毎月作詞の作業があって。常に制作に携わるという部分での忙しさは、これからより制作に関わっていくであろう流れの中でいいステップになったと思います。あと、僕が普段個人的に作ってる音楽とスパドラのために書き下ろすもののテイストは多少違うんですけど、そこのバランス感覚も養われたというか……スパドラとしての自分たちの表現の仕方みたいなものは連続リリースの中で培ったものが大きいと思うし、個人的にも成長はできたのかなと。

松村和哉 僕は……総じていい経験になったと思うんですけど、やっているときは正直、葛藤する部分が多かったです。歌詞の表現って正解がないものだけど、一旦自分の中で正解を決めなくちゃいけないじゃないですか。それがけっこう……自分をどう納得させながらやるか、みんなにどう納得してもらうかということを両方考えながら、すごい戦っていましたね。

──その葛藤は消化できましたか?

和哉 そうですね。それはこの「mirror」で。それこそメンバーみんなで決めたコンセプトに従って書くのであれば、機械的な作業になることは絶対にないというか。「それだったら納得してファンタジーを描ける」と思ったんです。今回のアルバムでジレンマみたいなものはきれいになくなったような気がします。

左から松村和哉、柴崎楽、田中洸希。

左から松村和哉、柴崎楽、田中洸希。

──「みんなが納得するもの」という部分で言うと、連続リリースで発表された楽曲のテイストや皆さんが見せてくれる顔が今までとは少し違うものだったから、リスナーの反応もいろいろだったと思うんです。そういうムードを、皆さん自身はどう受け止めていたのでしょう。

 ポジな声もネガな声もあったけど、それがリアルな反応だよなと思って真摯に受け止めていました。正直、自分たちも模索しながら進んでいたから「今は実験的なフェーズだ」ということも、常にみんなに伝えながらという感じでしたし。当然いろんな声があるよなと思いつつ「期待に応えられてないな」と思えるような瞬間……満たされない感覚みたいなものも正直ありました。でも、だからこそ自分たちらしさ、自分たちの魅力に対してちゃんと向き合えたし、僕らにとって最重要な存在であるBLUEのことをより近く感じられたというか。

和哉 そうだね。

 だからこそ、このアルバムで結果を出したい思いがあるし……もちろん、たくさんの方に届いてほしいという思いを持って作ったアルバムなんですけど、制作中は常にBLUEのことが念頭にありました。“スパドラらしさ”に対しての思いはみんなにもあると思うし、僕らにももちろんあるけれど、「この1枚が俺ららしさだぜ」と間違いなく提示できると思います。

左から伊藤壮吾、古川毅、志村玲於。

左から伊藤壮吾、古川毅、志村玲於。

この曲は変えないのが正解

──アルバム制作に着手したのはいつ頃ですか?

ジャン 9月後半ですね。そのあたりから曲を集め始めて。

──スタート時点では、どんな構想があったのでしょうか。

ジャン メンバーそれぞれに「こういうことをやりたい」というビジョンやリファレンスがありつつ「タイトルから決めたいよね」という話になって。みんなで電話会議をする中で、僕が提案した「mirror」というタイトルにまず決まったんです。そのタイトルを受けて作品全体のイメージが固まっていった感じですね。そこからは、各自が持っている「こういう楽曲をやったらいいんじゃないか」という意思を尊重して、それを表現するのに最適な形をみんなですり合わせていく作業でした。例えば彪馬だったら、前々から持っていたビジョンをこのタイミングで形にしたいという思いで「Revolution」の制作を進めたり。和哉が考えたテーマを共有して「このテーマだったら、ずっと僕らの曲を書いてくれているYockeさんがいいよね」となって「Tap tap tap!」を作り上げたりとか。芋づる式にいろんなことが決まっていきました。

──ここからは、新曲のお話を1曲ずつ聞かせてもらえたら。1曲目の「Are U Ready?」は大きな展開が面白い、アルバムのプロローグ的な楽曲ですね。

彪馬 この曲は、もともとあったデモに自分たちのスパイス……それこそスパドラらしさみたいなものを加えられたらすごく映える曲になるんじゃないか?というメンバー間の話し合いを経て制作に入ったんです。「mirror」の世界観に誘うという面で、ものすごく重要な役割を果たしてくれているなと自分は思っていて。

 そうだね。

彪馬 歌詞の内容は「この手を取ればいい」とか、ものすごく前向きでまっすぐなんですけど、オラオラしたイメージのある僕らが普段あまりしないようなストレートな伝え方をするのもギャップを感じられると思いますし。攻めた曲調の中でこういったメッセージを発信することは真の内面を表現しているようにも感じられて、表現したかったことをうまくまとめることができたなと思います。

SUPER★DRAGON

SUPER★DRAGON

──この曲に関して、制作の中で特にこだわった部分を挙げるなら?

和哉 僕らがいつもお世話になっているCHILLCAT THE BASTETさんがラップ詞を書いてくれたんですけど、「変えてもいいよ」と言って渡してくれたんです。彪馬にも「どうしよう、変えようかな?」と一度相談したんですけど、いや、やっぱりこの曲は変えないのが正解だと。「Are U Ready?」と2曲目の「Revolution」に関しては作詞のCHILLCATさん、作曲のNameless A.K.A NLさんと彪馬が作ってくれた世界観が完成されたものだったので、自分の“雑味”を出したくなく、手を付けずにそのままレコーディングに臨みました。それがこだわりですね。