音楽ナタリー Power Push - SHE'S

3部作の締めくくりで見せた4人の自信

SHE'Sが3rdミニアルバム「She'll be fine」をリリースした。2014年にリリースされた「WHO IS SHE?」、2015年発売の「WHERE IS SHE?」に続くミニアルバム3部作のラストと位置付けられた今作。彼らはこの作品で何を表現しようとしたのか。音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューを行い、アルバム制作の話を中心に語ってもらった。

取材・文 / 鵜飼亮次 撮影 / 塚原孝顕

3部作ラスト作品

SHE'S

──「She'll be fine」、手応えはいかがですか?

木村雅人(Dr) 今回は、デモを録った段階で「前作を超えたな」って気持ちになりました。

広瀬臣吾(B) 俺は……できあがるまでは不安でしたね。曲は前よりもたくさん作った気がするけど、制作期間はカツカツで。例えば4曲目の「2人」はレコーディングの2日前になってようやくできあがった曲だし、アレンジも「どっちの音にする? こっち?」みたいなやり取りが多くて「どうなるかなー」って。

服部栞汰(G) でもアルバム収録曲が徐々に形になっていくにつれて、「これいいな!」ってどんどん思えてきました。

──この作品は、前作以上に服部さんのギターソロが生き生きとしているように聞こえました。

服部栞汰(G)

服部 実は、今までだとレコーディング前にガッツリ音を作り込んでスタジオにそれを持ち込んでいたんですけど、今回は例えば「Curtain Call」なんかは初めてギターソロをアドリブで弾いて、「これはどうや」「もう1回いってみよう」ってメンバーと話し合いながらレコーディングをしたんです。だから感情のままに弾いてることが多いですね。

井上竜馬(Vo, Key, G) 僕は楽曲自体に不安は全然なかったです。ただミニアルバム3部作の集大成としてこの作品を出そうと決めたことで、「前の作品を超えられるかなあ」という気持ちはありました。特に今作は、新曲だけじゃなくて過去の楽曲の再録バージョンも入れることにしたので、それによって新鮮味がなくなるんじゃないかなって。でも実際に再録曲を入れてみたら、すごくまとまりのある内容になりました。

過去曲を今に届ける

──もともと3部作という構想を持っていて、今作を最終作品にしようと思っていたのでしょうか?

井上 僕の中で3部作形式のものを作りたいって気持ちはずっとあったんです。で、去年のワンマンが終わったあとぐらいに「さあ、次は何を作る?」って話になって、「フルアルバムにしよう」とか「シングルで」とかいろいろ話をしてきたんですけど、最終的にミニアルバムって形になって。そこで「WHO IS SHE?」「WHERE IS SHE?」とつながるような感覚で作品を出してきたから、これを3部作最後のミニアルバムにしたいなと。まあタイトルは今回「●● IS SHE」にはなってないんですけど(笑)。

──本作に収録された再録ナンバー「ワンシーン」「信じた光」ですが、結成初期に作ったこれらの楽曲を改めてレコーディングしようと思った理由は?

井上竜馬(Vo, Key, G)

井上 この2曲はもともとお客さんの間でも人気があったし、ずっとやってきて自分らの中でも大事な曲なんです。スタッフから「喜んでもらえるんじゃない?」って意見があったので、この2曲を入れることにしました。

広瀬 できた当初と、さほど大きく変えてはいるわけではないけど、今のほうが絶対いい感じやなって思います。長い間この曲をやってきて演奏力や表現力が上がったのが聴いててわかりますし。

──「信じた光」には、前作「WHERE IS SHE?」で初めて生のストリングスを導入したんですよね。

井上 はい。自分たちの中で「この曲には生ストリングスを入れたら絶対カッコよくなる」と思ったので、この形でレコーディングしました。このアルバムだと「Un-science」にも生のストリングスを入れてます。

ミニアルバム「She'll be fine」2016年2月3日発売 / 1728円 / Spmdisc / POCS-30004
「She'll be fine」
収録曲
  1. Un-science
  2. 信じた光
  3. Save Me
  4. 2人
  5. ワンシーン
  6. 遠くまで
  7. Curtain Call
SHE'S(シーズ)
SHE'S

井上竜馬(Vo, Key, G)、服部栞汰(G)、広瀬臣吾(B)、木村雅人(Dr)からなる4人組ピアノロックバンド。2011年に結成して地元大阪を中心に活動を続け、2012年に行われた「閃光ライオット2012」ではファイナリストに選出された。2014年7月に初の全国流通盤となるミニアルバム「WHO IS SHE?」を発表し、2015年5月には2ndミニアルバム「WHERE IS SHE?」をリリース。2016年2月に3枚目のミニアルバム「She'll be fine」を発売し、3月に全国5都市のワンマンツアー「She'll be fine -chapter.0-」を行う。