Perfume|コロナ禍で迎えた20周年を経て、生まれ変わろうとする3人の今

「だってそれは嵐だから」と思っちゃってました

──「Time Warp」のミュージックビデオも観ましたが、これは撮影に相当苦労したのでは? 音源をスローで再生させたり、通常のテンポに戻したりを繰り返しながら、それに合わせて踊っているのを長回しで撮っているんですよね?

あ~ちゃん そうですそうです。ずっとゆっくり踊ってるのに、途中で急に速くなるっていう。あれは覚えるのが難しかった。歌の速さがどこで変わるのかを、撮影前にその場で覚えて対応しなきゃいけなかったから。

かしゆか 画面が次に誰に寄るのかとか、カメラワークもその場で聞いてね。スピードが変わるポイントは不定期だし、ここで変わるっていう合図もないから、踊りながらすごく待ち受けてる顔をしてると思います(笑)。でも撮影時間はめっちゃ短かったよね。「こーんな楽な撮影ある?」みたいなテンションで終わりました。

──あ、そうなんですか。ほとんど一発OKだったから早く終わったとか?

かしゆか それもありますけど、このMVはある程度進んだら巻き戻されるので、巻き戻してる時間が含まれる分、録ってる時間はけっこう短いんですよ。それに、スローで撮った映像を通常の速度にする処理にけっこう時間がかかるので、撮ったあともチェックできないから3テイクくらい撮ったら終わりで。

あ~ちゃん 「撮れたら終わり」っていう撮影だから、どれもだいたい3テイク目が採用される感じでした。

かしゆか 私たち以外にダンサーさんが何人も出ていたから、ダンサーさんに対して「こう動いたほうが面白い」という指示が入ることも多かったので、基本的に「Perfumeは毎回できてるのが当たり前」みたいな前提で話が進んでましたね。

──その話を聞いてるとプレッシャーがすごそうで、「楽な撮影」という気がしないんですが(笑)。

かしゆか ジャケット撮影のときのほうが大変だったかな。

のっち あー確かに。

かしゆか 私たちは固まったまま動かず、周りでダンサーさんたちだけブワーッと動いて、それをシャッタースピードを遅くして撮ってるんです。でも残像をうまい具合に撮るのがけっこう難しくて何度もやりましたね。一生懸命速く動いてくれてるんだけど、ダンサーさんの片腕がのっちの顔にかぶっちゃったからもう1回!みたいな。

──ライブは常に3人だけでやってますし、Perfumeがほかのダンサーと絡むことはあまり多くありませんが、今回のMV撮影はいつもと違う感覚はありましたか?

のっち 楽しかったよね。

あ~ちゃん ほかにも人がいてくれるのはめっちゃ楽しいです。

かしゆか 1人が一生懸命踊ってるときに、スタンバイしてるほかの人たちがめっちゃ盛り上げるんですよ。「フゥーーー!!!! いいよー!」みたいな(笑)。そういう撮影あんまりなかったから現場ですごく楽しかったな。

あ~ちゃん 皆さんめちゃくちゃ上手で、その場で言われたリクエストに臨機応変に応えてダンスするんですよ。素晴らしかったですね。カッコいいなって思いました。

かしゆか あとみんなノリがいいね。見てると楽しくて絡みたくなる。その絡んでる様子がシングルのDVDに「Perfume View」として入っているので観てみてください(笑)。

──去年の「Amuse Fes」でPerfumeとs**t kingzが一緒に踊っているのを観て(参照:ポルノ昭仁×flumpool、Perfume×s**t kingz!アミュフェスでコラボ連発、恋愛トークも)すごく見応えがあったので、「こういうダンサーとのコラボをまた観てみたいな」と思っていたんです。そういう意味でも今回のMVは楽しめました。

かしゆか どんどんやっていきたいですね。

──例えば、次の「Reframe」はダンスコラボ中心のライブにするとか。

のっち はっ! それ面白い!

あ~ちゃん 新しいね!

かしゆか 前に「サカナクションの後ろで踊りたいね」って話をしてたんですよ。

のっち スコート履いて「新宝島」でね(笑)。

かしゆか サカナクションのメンバーが演奏してる近くで踊るのって楽しそう。

あ~ちゃん 「Perfume FES!!」に星野源さんに出ていただいたときに(参照:星野源と恋ダンス!レキシとナヲが完コピ!Perfumeフェス全公演終了)、星野さんのバックで「恋」を3人で踊らせてもらったのが本当に楽しかったんですよ。めちゃくちゃ流行ったあのダンスをご本人と同じステージで踊るという、みんながやりたがるような贅沢なことを、ダンスの講師(MIKIKO)が同じだからという特権を利用して!

──それ、Perfumeのファンで例えれば、ダンスコンテストに優勝しないとできないことですからね(笑)。

のっち わははは(笑)。

あ~ちゃん 星野源ダンスコンテストで優勝した人でないとやらせてもらえないようなことを、私たちが歌手だからという特権で!(笑) あれはもう、最っ高でしたね。

──そういうのをもっと観たいです。

のっち でもそれ、やってる自分たちだけが楽しいんだと思ってました(笑)。

あ~ちゃん まさか観てる人に楽しんでもらえてるとは思わなかったね。

──たぶん、本人たちが楽しいことはファンも楽しいですよ。

のっち そっかー!

かしゆか ありがたいですホントに。

あ~ちゃん いやいやいや、そんなこと言ってくれるのナタリーさんだけじゃないですか?(笑)

──例えば音楽ナタリーでやっているのっちさんの連載の反響を見ても「ゲームのことはよくわからないけど、のっちが楽しそうなのが読んでいて楽しい」という声がけっこう多いんですよ(参照:のっちはゲームがしたい!)。

かしゆか なんて優しいファンの人たち……(笑)。

あ~ちゃん すごい。ファンの極致にいるって感じ。

のっち ありがとうございます(笑)。

──でもそういうものだと思いますよ。皆さんが好きなアーティストのことを思い出して、「その人が楽しそうにしている姿を見るのは楽しい」って気持ちはありません?

あ~ちゃん あー……。

かしゆか 確かにそうかもなあ。

あ~ちゃん そう言われるとわかるね。例えば嵐さんがただじゃんけんして「うおー勝った!」「負けたー!」とか言ってる姿だけでもう笑顔になる(笑)。なんですかね、その1つの動作だけでも仲のよさがにじみ出てるからなのかな。

──「仲のよさがにじみ出ている」のはPerfumeも同じですよね。

あ~ちゃん もしそういう感覚を私たちにも持ってくれる人がいるのであれば、それはうれしいですね。今言われるまで「だってそれは嵐だから」と思っちゃってましたけど。

あ~ちゃん

10年後について間違いなく言えるのは

──2020年はアニバーサリーイヤーなので、「もし世界がこういう状況でなければ、本当はこういうことがやりたかった」という計画が、たぶんいろいろあったんじゃないかと思うんですよ。

のっち うんうんうん。

──それがなんだったのか、僕らはもう知る由もないんですが、このまま立ち消えてしまうのはもったいないので、それらを10年後の30周年にぜひ実現してもらえたらと思っていて。

かしゆか 30周年!? 40歳!?(笑)

あ~ちゃん いや41っすね(笑)。

かしゆか その歳になったらやりたいことも変わってるとは思いますけどね(笑)。

──次の10年、Perfumeはどうなってると思いますか?

かしゆか 今までの20年も、常々やりたいことに挑戦させてもらってきたので、これからも自分たちといつも一緒にやってくれてる仲間たちを信じて、その人たちが新鮮で面白いって思えることをやり続けたいですね……41歳はちょっとわかんないですけど(笑)。

──これまでの10年と同じくらいには、これからの10年もあっという間だと思いますよ。

かしゆか あっという間でありつつ、めっちゃ長いって思いたいです。昔のことを思い出すと「ここからここまで3年しか経ってないの?」って衝撃を受けるんですよ。2005年にメジャーデビューしてから2008年に日本武道館って、そんなスピードだったっけ?みたいな。

のっち 確かに!

かしゆか もっと長い期間の出来事だと思ってました。ものすごく目まぐるしい日々を生きてきたんだなって、振り返ってみて改めて感じたので、これからの10年もそれくらい充実してればいいなと思います。

のっち なんか、自分としてもすごく期待してワクワクしてるんですよ。「これからのPerfumeは何をやってくれるんだろう?」って。私が好きなPerfumeは「周りのプロフェッショナルな人たちが思案してくれる、自分では思いつかないようなことを、期待に応えて実現していく人たち」なので、これからも私は期待してもらえるような素敵な人でいなきゃなって思ってます。そして、そこをがんばることが新しいPerfumeにつながっていくのかなって。

あ~ちゃん 10年後について間違いなく言えるのは、3人共自由に、やんちゃに、今よりもっと楽しい毎日を過ごしてるってことです。たぶん今と変わらず3人で一緒にいるだろうし、楽しいことを思いついたら「やってみない?」って言って、いろんな人の知恵やアイデアをいただきながら、誰も体験したことのないようなことを3人でやってるんだと思います。

公演情報

メジャーデビュー15周年記念日に約7時間にわたって開催されるオンラインフェス
「"P.O.P" Festival(Perfume Online Present Festival)」

配信日時:2020年9月21日(月・祝)13:30~(予定)

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