Perfume「Future Pop」ロングインタビュー|ようやく到達した“フューチャーポップ”という境地

「If you wanna」「無限未来」といった最近のシングル曲でフューチャーベースに接近し、これまでと異なるアプローチのサウンドに舵を切ったPerfume。しかし彼女たちが前作「COSMIC EXPLORER」から2年4カ月ぶりにリリースするオリジナルアルバム「Future Pop」は、フューチャーベース路線をさらに推し進めた内容になるだろうと考えていた多くのファンの予想を覆す、歌モノを中心としたカラフルなポップソング集だった。

音楽ナタリーでは今回、このアルバムが完成するまでの経緯についてPerfumeの3人にロングインタビューを実施。さらに「Future Pop」というアルバムタイトルにちなんで、メンバーが思い描く彼女たち自身の未来についても話を聞いた。

取材・文 / 橋本尚平

「生でどこまでできるか」の追求

──「COSMIC EXPLORER」のリリース時のインタビューで「前作が発売されてからの2年半はあっという間に感じた」って話していたんですけど(参照:Perfume「COSMIC EXPLORER」ロングインタビュー)、同じように「COSMIC EXPLORER」の発売から2年半近く経って、今はどう感じますか?

かしゆか どうだろう……あっという間?

あ~ちゃん 超あっという間だよ。「COSMIC EXPLORER」のツアーって最近の話だなって感じる。

のっち まあ確かに、それ考えたらね。

かしゆか だけど「TOKYO GIRL」をリリースしたのはめっちゃ前って感じがする。

のっち わかる。「TOKYO GIRL」はめっちゃ前の出来事。でも「COSMIC EXPLORER」はまだ新鮮に聴けるもんね。

かしゆか ね。昨日聴いて「いいアルバムだな」って思ってた(笑)。この2年半はタイアップが多かった気がします。「東京タラレバ娘」や「ちはやふる」の主題歌とか、Panasonicの洗濯機のCMソングとか。NTTドコモの「FUTURE EXPERIMENT」もそうだし、曲提供じゃないけどTULLY'S COFFEEのCMにも出演させてもらったし、そういう活動が多い期間だった気がします。

──最近はテレビ出演をするたびに非常に凝った演出のパフォーマンスをしている印象があります。

あ~ちゃん 期待してくれてるのがうれしいよね。

のっち うんうん。

Perfume

あ~ちゃん 普通はテレビ局側の方たちから「こういう技術があるのでこれをやってください」って提案されるものだと思うんです。でもそうじゃなくて「Perfumeだったら何か新しいことをやってくれるんじゃないか」って、企画が固まってない段階で話を投げてきてくださるので、真鍋大度さんたちも「こういうことが実現できるかもしれないです」って夢みたいなことを考えてくれて、普通の特番じゃできないようなことをやらせてもらえてる。その材料として私たちが選ばれてるっていうのはすごい幸せですね。

──その日限りのパフォーマンスをするわけだから、そういうときは普通とは違う難しさもあるのでは。

かしゆか NHKでやった東京オリンピック開幕1000日前特番での「TOKYO GIRL」は大変でした(参照:内村五輪宣言「TOKYO GIRL」(2017)ノーカット版【Perfume×TECHNOLOGY】)。周りのLED画面に映像を流して、VRで本当に私たちがエレベーターに乗ってるように見せるという演出をやったんですけど、事前に撮った自分たちの映像を影にして、その影と動きをピッタリ合わせなきゃいけなかったのがけっこうシビレましたね。あとでCGで影を重ねてるわけじゃないから、影に自分の動きをハメていかないと変になるんですよ。

──生放送ですよね?

かしゆか 生だから何回もリハーサルしたんです。ドコモの「FUTURE-EXPERIMENT」もそうだけど、最近生放送で勝負すること多いね(笑)。

あ~ちゃん 多いね。「生でどこまでできるか」を追求してるところがある。録画だと「あとで処理すりゃどうにでもできるでしょ」って説得力が薄れるから。

かしゆか 何回もテイク重ねたり、途中で切り替えちゃったら、そりゃ映像としてのクオリティはどんどん上げていけるんだろうけどね。

私たちの絆を教えてくれたのはテクノロジー

──それを考えるとPerfumeのパフォーマンスって、最先端な技術を使っていながら、どことなく手作りな感じがしますね。

のっち 私たちがやってることはホントに手作りばっかりです!

かしゆか ぱっと見「すごい技術!」って感じがするけど、制作過程でやってることはホントに手作りですからね。

あ~ちゃん 「Reframe」のとき(2018年3月20、21日に東京・NHKホールで開催されたライブ)とか、紅白さんで「Cling Cling」を歌ったとき(2014年12月放送「第65回紅白歌合戦」。参照:第65回紅白歌合戦「Cling Cling」(2014)ノーカット版【Perfume×TECHNOLOGY】)に飛ばしたドローンもイチから手作りしたものだしね。そのすごいものには全部人の手が入っているので、私たちは機械の動き1つひとつに思いを感じて熱くなるんです。でも「テクノロジーの温かさ」ってお客さんには伝わりづらいですよね。それは今の私たちの課題かもしれないです。

──そう言えば「Reframe」の終演後に、皆さんは「テクノロジーがもっと身近で温かいものだってみんなに知ってもらえたらうれしい」という話をしていましたよね(参照:Perfumeを最新テクノロジーで再構築、観客は1時間ノンストップで驚きの連続)。「Reframe」はテクノロジーの見本市的な意味合いが大きい公演でしたが、「テクノロジーのすごさ」以上に、「テクノロジーの使い方を考えついた演出陣のすごさ」「その演出を実現させたパフォーマーのすごさ」が観ていて印象に残るライブだったと思います。

あ~ちゃん

あ~ちゃん それはうれしいな。NTTドコモの「FUTURE EXPERIMENT」でメンバーそれぞれが3カ国に分かれて同時中継をしたときに、その場には1人しかいないのに踊ってるといくつかの瞬間に2人の気配を感じた、という話を前回のインタビューでさせていただいたんですが(参照:Perfume「無限未来」インタビュー|二十代の終わりに、無限の未来が広がる)、そういう私たちの絆を教えてくれたのはテクノロジーだし、私たちがそこまでできるようになっているってことも、テクノロジーがなければ体感することはなかったんですよね。

──「テクノロジーの温かさはお客さんに伝わりづらい」という話がありましたが、ストイックにパフォーマンスを研ぎ澄ませ続けてきたPerfumeだからこそ、それを感じられるところまで到達できたのかもしれませんね。

あ~ちゃん でもそれは、全部を理解してほしいって思っているわけじゃなくて、なんとなく「面白いね」って感じてくれればそれでいいんです。自分たちは、みんなに「ワクワクした! ドキドキした! 面白かった!」って思ってもらえることを本気で挑むのが役割なので。

──別にお客さんに勉強してほしいわけではなくて、あくまで楽しんでほしいだけですからね。

あ~ちゃん そうそうそう。

のっち 私たちのライブをきっかけに勉強しようと思った人は、いくらでも調べることはできるんです。でも全員にそれをしてもらいたいわけじゃないし、ただ「すごいな」って思ってもらえたら……。

かしゆか うん、それでいいよね。

Perfume「Future Pop」
2018年8月15日発売 / UNIVERSAL J
Perfume「Future Pop」完全生産限定盤Blu-ray

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[CD+Blu-ray+ステッカー]
4980円 / UPCP-9020

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CD収録曲
  1. Start-Up
  2. Future Pop
  3. If you wanna
  4. TOKYO GIRL
  5. FUSION
  6. Tiny Baby
  7. Let Me Know
  8. 超来輪
  9. 無限未来
  10. 宝石の雨
  11. 天空
  12. Everyday
完全生産限定盤Blu-ray / DVD収録内容
  • TOKYO GIRL -Video Clip-
  • If you wanna -Video Clip-
  • Everyday -Video Clip-
  • 無限未来 -Video Clip-
  • Let Me Know -Video Clip-
  • Let Me Know -メイキング映像-
  • TOKYO GIRL -発売記念 Special Live-
  • If you wanna -発売記念 Special Live-
  • TOKYO GIRL -2017/12/31 第68回NHK紅白歌合戦-
  • FUSION -Perfume x TECHNOLOGY presents "Reframe"-
  • Perfumeのただただラジオが好きだからレイディオ! 3
通常盤Blu-ray / DVD収録内容
  • TOKYO GIRL -Video Clip-
  • If you wanna -Video Clip-
  • Everyday -Video Clip-
  • 無限未来 -Video Clip-
  • Let Me Know -Video Clip-
  • Perfumeのただただラジオが好きだからレイディオ! 3
ツアー情報
Perfume 7th Tour 2018 「FUTURE POP」
  • 2018年9月21日(金) 長野県 ビッグハット
  • 2018年9月22日(土) 長野県 ビッグハット
  • 2018年9月29日(土) 大阪府 大阪城ホール
  • 2018年9月30日(日) 大阪府 大阪城ホール
  • 2018年10月6日(土) 青森県 盛運輸アリーナ
  • 2018年10月7日(日) 青森県 盛運輸アリーナ
  • 2018年10月13日(土) 静岡県 エコパアリーナ
  • 2018年10月14日(日) 静岡県 エコパアリーナ
  • 2018年10月24日(水) 徳島県 アスティとくしま
  • 2018年10月25日(木) 徳島県 アスティとくしま
  • 2018年11月3日(土・祝) 北海道 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
  • 2018年11月4日(日) 北海道 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
  • 2018年11月19日(月) 愛知県 日本ガイシホール
  • 2018年11月20日(火) 愛知県 日本ガイシホール
  • 2018年12月11日(火) 神奈川県 横浜アリーナ
  • 2018年12月12日(水) 神奈川県 横浜アリーナ
  • 2018年12月23日(日・祝) 福岡県 マリンメッセ福岡
  • 2018年12月24日(月・振休) 福岡県 マリンメッセ福岡
Perfume(パフューム)

あ~ちゃん(西脇綾香)、かしゆか(樫野有香)、のっち(大本彩乃)により2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsuleの中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たし、近未来的な世界観のサウンドとダンスで耳の肥えた音楽ファンの間でも高い評価を獲得する。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを成功させる。

2011年にはピクサー映画「カーズ2」の挿入歌&日本語吹き替え版エンディングテーマに、アメリカのスタッフによる指名で「ポリリズム」が採用される。2012年10月にアジア4カ国で初の海外ツアーを成功させる。翌2013年にはヨーロッパ3カ国での単独公演を開催。フランス・カンヌで行われた世界最大の広告祭「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」に日本人アーティスト初のゲストとして招待され、プロジェクションマッピングを駆使したパフォーマンスで喝采を浴びる。2015年にはアメリカ・テキサス州オースティンで開催されたの世界最大規模のフェスティバル「SXSW 2015」に出演し、インタラクティブメディアの祭典「SXSW Interactive」のヘッドライナーを務めた。同年10月にワールドツアーの様子を追った初のドキュメンタリー映画 「WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」を日米同時公開。2018年8月にオリジナルアルバム「Future Pop」をリリースした。