終わってからすごさに気付くことばかり

──個人的には前作「LEVEL3」がリリースされたのがついこの間みたいな感覚なんですが、皆さんにとってこの2年半は長かったですか？

かしゆか　私もあっという間に感じましたね。初めてのことをたくさんやったので、刺激的だったし充実してたんだと思います。しかも、自分たちで「こういうことをやりたい」って言ったことだけじゃなくて、いろんな方々から「Perfumeさん、こういう企画どうですか？」って声をかけてもらって実現したことがすごく多くて。チャンスをいただく機会がたくさんあった2年半だなと思います。

あ～ちゃん　終わってから「そうなんだ！」って思うことがすっごいいっぱいあったよね。「SXSW 2015」でのライブも、やってる最中は一番大きいステージだってことを知らなかったんです。そしてそのライブが、日本で総務大臣賞・グランプリを受賞（「2015 55th ACC CM FESTIVAL」）したりもして。次々とすごいお話がありすぎて全然付いて行けないし、理解し終えたときにはもう次の話が始まってる、みたいな状態。だから取材とかを、自分でもよくわかってない間に受けてることもありました（笑）。

のっち　気付いたらカメラに囲まれてトロフィー持ってニコッとしてるとか（笑）。

かしゆか　規模が大きすぎて全体像が見えないまま「うわああ！」ってなりながら突き進んでたから、あとで映像とかで確認して「あ、これホントにやったんだ」って実感することばかりでした。その場ではただただ緊張してて「目の前のことを成功させるためにがんばる！」みたいな気持ちしかなかったんで。

あ～ちゃん　OK Goさんとコラボ曲を作らせていただくことになったのも、Perfumeのロサンゼルス公演にOK Goさんが来てくれたときに「一緒に作品を作りたいです」って言ったら本当に曲を作ってきてくれた、っていう流れだったんですよ。その後に来日したときに会ったらもう何曲もできてて、「この中の1曲をコラボ曲にしよう」って言ってくれたんですけど、聴いたら「マジ！ 全部超好き！」みたいな。その中から一緒にやる曲を選ばせてもらったら、そのときに選ばなかった曲があとでOK Goさんの新曲になってて。「うわっ！ じゃあ、こっちを選んでたらこれが『SUSHI POLICE』の曲になってたの？」ってびっくりしました。

のっち　えっ？ あの飛行機の中でMV撮ってるやつ？

かしゆか　ええー！

あ～ちゃん　OK Goさんは本当に憧れの人だったんです。ミュージックビデオもすごく影響受けたし。そんな方々と私たちがやりとりさせてもらうなんて本当に考えられないようなことだったんですけど、全部終わって落ち着いて自分と向き合ったときに、初めてそのすごさに気付いたっていう（笑）。iPhone 6sのCMに出させてもらったのも、よく考えたらすごいことだったよね。

のっち　夜中にやってたAppleの発表会の中継をけっこう皆さん観ていたみたいで、中田（ヤスタカ）さんも「Perfumeが出てきてめっちゃ驚いた」って言ってました（笑）。iPhoneのCMを撮影してるっていうのは家族とか本当に身近な人にも言っちゃダメだったので、普段一緒にやってる人たちにも驚いてもらえたのが新鮮で楽しかったですね。

あ～ちゃん　黙って海外に行くの大変だったよね。

かしゆか　そうそう、どういう内容なのかだけじゃなくて、どこで撮ってるかとかも全部言っちゃダメって言われてたから。

あ～ちゃん　高層ビルで撮影したんですけど、「あんた今何しとん？」って聞かれても「ちょっと高いとこにいまーす」としか返事できなくて（笑）。

昼間の中田さんは合成に見えた

──「LEVEL3」発売時のインタビュー（参照：Perfume「LEVEL3」インタビュー ）では、3人から中田さんに「ドームツアーのためにライブ向けのアルバムを作ってほしい」とお願いしたと言っていましたが、今回のアルバムに関しても自分たちで何か要望を出したんですか？

かしゆか　オーダーとかはしなかったですね。前回は中田さんとの食事会を開いていただいて、私たちが考えてたことを直接伝えたんですけど、今回そういうのはなかったです。

のっち　でも中田さん、アミューズに打ち合わせに来てくれたよね。「新曲は何曲録りましょう」「全部で何曲にしましょう」みたいな会議をやりました。

あ～ちゃん　それって超珍しいんですよ。中田さんがアミューズにいるの初めて見ました。なんか違和感っていうか、不思議な感じがしてニヤニヤしちゃった。

のっち　「来るとは聞いてたけど、ホントにいる！」ってね（笑）。

かしゆか　普段会うのはスタジオか食事会だから、夜のイメージしかなかったので昼間に事務所にいるっていうことが斬新すぎて。

あ～ちゃん　合成に見えた（笑）。

かしゆか　しかもその打ち合わせが15分くらいですぐ終わっちゃって、「えっ？ 中田さんもう帰っちゃうんですか？」みたいな（笑）。

あ～ちゃん　「来たものの別に話すことなかった」って感じだったよね？

のっち　うん。ホントに確認だけで終わった。

あ～ちゃん　たぶん、打ち合わせをする前から彼の中でビジョンがほぼ決まってたんだと思います。だったらこっちから言うことは何もないし、「私たちは中田さんのファンなので楽しみにしてます！ よろしくお願いします！」ってだけ伝えて、ちょっと雑談して終わりました。

──じゃあ、その段階では今作がどんなアルバムになるのか皆さんは想像も付かなかったわけですね。実際に仕上がったものを聴いてどう感じました？

あ～ちゃん　既存曲が完全に生まれ変わってて、すっごく驚きました。「Cling Cling」なんてもう、「オリエンタルな世界観はどこに行ったの？」ってくらい印象が違うし。

──個人的にはどれもアルバムバージョンのほうが好きです。

のっち　やった！

かしゆか　それ聞いてちょっと安心！

あ～ちゃん　最初はちょっと心配だったんです。「ライブどうしよう、振り付けも変わっちゃうな」って思って。でも聴いてるうちにもっと繰り返し聴きたくなって、今もうすっかりハマってます。だからみんなも最初の衝撃だけで終わらないで、何回も聴いてくれたらいいな。