中田さんにもし今出会ってたらマイメンだったかも？

──アルバム制作に関してメンバーから中田さんに対して何か意見は出したんですか？

あ～ちゃん　今回はなかったよね。

のっち　「お任せしまーす！」って。

かしゆか　中田さんがやりたいことを私たちはやりたいです、みたいな（笑）。

のっち　「ミュージックビデオを作る曲はどれにする？」って話だけかな。

かしゆか　中田さんは、MVを作るのは「Tiny Baby」がいいんじゃないかって言ってたんですよ。

のっち　全曲シングルみたいなアルバムだから、どれをリードトラックにしようか迷って。

かしゆか　ありがたいよね、この悩みって。ってか、中田さんと「MV作る曲はどれがいい？」みたいな話をすることって今までなかったから（笑）、そういう話ができるようになったのもうれしい。

──それは中田さんとメンバーの距離感が縮まったということですか？

かしゆか　そうだと思います。

あ～ちゃん　オープンになったんだろうね。

かしゆか　そう、お互いに対してオープンになって、リラックスしていろいろしゃべれるようになったのはあると思います。

のっち　ちょっと前まではとにかく緊張してたからね。

かしゆか　緊張しながら「中田さんの一語一句を逃すものか」みたいな気持ちで話してたから（笑）。

──かなり昔からの付き合いなのに、オープンになってない期間がずいぶん長かったんですね（笑）。

のっち　まあ、そんなに中田さんと会う機会ないから（笑）。

あ～ちゃん　今も緊張するよね？

のっち　うん。

かしゆか　レコーディングのスタジオに行って会った瞬間が一番緊張する。「何しゃべろうかな」って（笑）。

──子供の頃から知っている相手だから、当時の感覚が今もずっと残っているのかもしれませんね。

のっち　それはあるかも。中田さんに出会うのがもし今だったら、「ヘイヘイヘーイ！」（ハイタッチをする仕草で）って感じで、「ヨー！ マイメン！」（肩を組むジェスチャーで）ってなる気がする（笑）。でも中田さんって意外にも、レコーディングが終わると玄関まで見送りに来てくれたりする一面もあって。

あ～ちゃん　そう。あれすごいうれしいよね。ホントに得な人間だと思いません？ ちょっとそういうことするだけで（笑）。

のっち　確かに！

かしゆか　ちょっとしたことでグッとポイントが上がる（笑）。

あ～ちゃん　椅子から立ってソファのところまで歩いてきただけで「うわっ、こっちに来てくれた！ ありがとうございました！」みたいな。でも、ねぎらいの言葉をかけたいんだけど、「ヘタなことを言ったら逆に気分を害して曲を変えられちゃうかも」とか思って何も言えないという（笑）。

──失礼な例えですけど、「不良がたまにいいことをするとものすごく好感度が上がる」みたいな感じですかね。

のっち　まあ、勝手に私たちがそういうキャラに仕立て上げてるんですけどね（笑）。

かしゆか　最初が「しゃべらない怖い人」っていう印象だったからね。

あ～ちゃん　その中学生のときの印象がずっと根付いちゃってるんですよね（笑）。

「超来輪」の意味

──レコーディングはどんな感じで進められたんですか？

のっち　スケジュール超ギリギリのタイミングで曲をもらって、そのあとの作業は全部同時進行でした。

あ～ちゃん　そうそう。今回もアルバム恒例の「Perfumeのただただラジオが好きだからレイディオ！」っていうトーク音源がDVDとBlu-rayに入るんですけど、それの収録日が決まってるのに曲が届いてなくて、「聴いてないのにしゃべれるかしら」って心配してたら前日にマスターをもらえたんですよ。

──そうなんですね。中田さんってポンポン曲を作ってどんどん納品してそうなイメージですが。

あ～ちゃん　ここまで時間がかかったのは珍しいかも。タイトル曲の「Future Pop」ができるまで1カ月かかったので。たぶんレコーディングは15回くらい飛んでますね。それくらいすっごく考えて、何回も書いては消してを繰り返しながら作ってくれたらしいです。

──ちなみに今回のアルバムの収録曲では、皆さんはどの曲が印象的でしたか？

かしゆか　私は「超来輪」が好きです。かわいいけど、何を言ってるのかよくわからないっていう（笑）。オリエンタルなメロディが「どこかの国の小さい子供たちが意味もわからずに歌ってる童謡」みたいで、すごく耳に残りますよね。ついつい歌っちゃうんだけど、歌詞はまったく覚えられない。脈絡がなさすぎるから、なんとなく口ずさむのはすごく気持ちいいのに、ちゃんと歌えって言われたら全然わからなくなるんですよ。あと、3人の声もかわいいですよね。いつもよりキーが高いし。

──この曲名が発表されたとき、字面を見て「ものすごい曲なんじゃないか」って思ったんですよ。頭に“超”が付くし、アルバムの中で「FUSION」を超えるような山場になるんじゃないかって。

かしゆか　いい意味で予想を裏切りましたね（笑）。

──「超来輪」「無限未来」「天空」と続くから、プログレみたいに壮大なアルバムなのではと気構えてたら、聴いてビックリしました。

かしゆか　ああ、仏教用語みたいですよね。「超来輪」って曲名を見たときにすぐ意味を調べたんですけど、検索しても全然出てこなくって。中田さんに聞いたら「意味はないよ」って言われました（笑）。ちなみに最終的には「Future Pop」に決まったけど、「天空」と「超来輪」を録ったときに、中田さんは「アルバムタイトルも漢字だったら面白いよね」って軽い感じで言ってたんですよ。

マスターCDと一緒に届いた“なんか怖い手紙”

のっち　私が好きなのは「FUSION」ですね。この曲、初めて歌詞カードなしでレコーディングしたんですよ。歌詞が少なかったし。

かしゆか　レコーディングしたの夜中だったよね。

あ～ちゃん　「私と 私と 私と」っていう部分は中田さんがその場で思いついたんだよね。なんか急に「いいこと考えた！ いいこと考えた！ いいこと考えた！」って3回ぐらい言ってから、「『私と』ってささやいてみて？ 怖くない？」って（笑）。

のっち　そう、笑ってたよね（笑）。

かしゆか　楽しそうに（笑）。

のっち　かしゆかの「私と」がすごいホラー風味だったので、次にレコーディングした私もホラー風味にしてみました（笑）。3人の声が機嫌悪そうと言うか、今まで聞いたことないような声をしてて超カッコいいの。この曲は自分でもけっこう聴きましたね。

あ～ちゃん　私が印象に残った曲はなんだろう？ たぶん今は「超来輪」なんですよ。中毒性があると言うのか、これを聴くとフレーズが頭の中をぐるぐる回るので。でも、その前は「天空」がすごく印象に残ってたし、その前は「Let Me Know」だったし、さらにその前は「やっぱり『無限未来』はいい歌だな」とか思ってたし、聴くときによって印象に残る曲が変わるんですよね。今までのアルバムはそんなことはなかった。こんなこと言ったらアレですけど、レコーディングが終わった自分の歌をここまで何回も聴くことってホントになくて。それぐらい今回のアルバムは好きなのかもしれないです。自分の部屋で爆音で聴くのに超ハマってるんですよ。だからツアーでアルバムの曲を歌うのが今からわくわくしますね。「天空」はちょっと恥ずかしいですけど。

──恥ずかしいですか？

あ～ちゃん　ここまでまっすぐなポップスってひさびさなんですよ。最近は、救いのなさとか混沌とした感情みたいなことが多少なり曲に込められてたので。だから今回のアルバムは、「天空」から「Everyday」に続くハッピーなエンディングがすごく気持ちがいいですね。

──なるほど。ちなみに曲順を決めるのにメンバーも関わってるんですか？

かしゆか　関わってないですし、今回はマスター音源をもらったときに中田さんから「曲順を見ないで聴いてくれ」って言われました。

のっち　CDと一緒になんか怖い手紙が付いてたんだよね。「先に曲順を見ないで、自分が持っている一番いいヘッドフォン、イヤフォン、またはスピーカーで聴いてください。再生機器がパソコンしかない場合は聴かないでください」って、ところどころに赤文字が入った文章が書いてあって。「ひー！」ってなった。

かしゆか　緊張しちゃうよね（笑）。

あ～ちゃん　超緊張した。

かしゆか　「ウチではこれが最大だけど、本当にこれでいいんだろうか」って。

のっち　自分の音響環境を信じれないよね。「これで中田様の御眼鏡に適いますでしょうか……」って、ドキドキしながら聴きました（笑）。

かしゆか　でも面白かったです。曲順もすごく楽しみました。「次にどの曲がくるんだろう」っていうワクワク感があって、お客さんと同じ気持ちになれたと思います。

あ～ちゃん　曲順は「FUSION」からの「Tiny Baby」が秀逸です。「FUSION」みたいな曲からかわいらしい「Tiny Baby」に直接つなげられるの？って感じですけど、実際に聴くとここがめっちゃ気持ちいいんですよね。