ナオト・インティライミ|世界に挑む“切符”を手にして…この夏、ティライミが動き出す

こんなに盛りだくさんで、もったいないじゃない

──「What a Shot!!」には気にせず突っ切れ、という非常にポジティブなメッセージが込められていますが、「RIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメント2019」の公式ソングということもあり、ゴルフを彷彿とさせるワードが多く出てきます。

あえてゴルフの要素を強く出しましたね。「ギャラリー」とか「青空に放て」とか言っちゃってるし(笑)。僕も最近ゴルフをやってるんですけど、どこまでいってもビギナーから抜けられなくて。だから「ゴルフまだわからない!」って気持ちが出てしまったかも(笑)。

──今回のシングルはほぼ日本語だけで構成された歌詞の楽曲が多いですが、唯一「What a Shot!!」は英詞を多く盛り込んだものになっています。

この曲はリズムがタイトな感じだけど、その場合は英詞のほうが当てはめやすくて。Kanata Okajimaさんと一緒に作詞したのも大きいかも。

──Kanataさんは嵐や安室奈美恵さん、EXILE ATSUSHIさん、BTSなど数多くのアーティストに楽曲提供されている方ですね。

ナオト・インティライミ

彼女とはばったりLAで出会ったんだよ。それでバイブスが合って「一緒にやろうね!」と約束して、この曲に参加してもらいました。そういう意味では、ほかの3曲とはだいぶ違った雰囲気になったかな。

──4曲それぞれが個性的な作品になりましたね。

まさかこんなにてんこ盛りな内容になるとはね。もうミニアルバムみたい。

──今回のシングルには各楽曲のインストゥルメンタルバージョンが入っていないんですよね。代わりに「まんげつの夜」のピアノ弾き語り、ピアノのみのバージョンが収められていて、それぞれ異なるアレンジが施されていました。

実質新しい曲が6つ入っているようなものだよね? ホントは別バージョン入れるの、やだって言ったんだけど……(笑)。だってねえ、もったいないじゃない。

──ナオトさんのライブでは過去の楽曲をピアノのみのアレンジで披露することも多いですが、音数が少なくなる分、メロディの美しさやナオトさんの優しい歌声が引き立つように感じられて。今回のシングルでもオリジナルとピアノ弾き語りの「まんげつの夜」を比較して聴くことで、その魅力を味わうことができます。

たまに曲を聴いてると、「アレンジ作り込み過ぎてうるさいな!」と思うとき、あるじゃない?(笑) そういう人に「いかがでしょう?」って感じのアレンジだね。さらに「なんなら歌もいらねえや!」という人には「インスト版、どうでしょう」ってオススメできるよね。

「裸ん坊」と「フル装備」、対極的な2018年ライブ

──今回のシングルがリリースされる前には、ライブ映像作品も数多く発表されました。それぞれ振り返っていきたいのですが、まず「『7』」の初回限定盤DVDには、2017年に行われた「LIVEキャラバン2017『旅歌ダイアリー』」の映像が収められました。こちらは5人のバンダ・インティライミ(※バックバンド)を迎えた編成となっています。

旅から帰ってきて最初のツアーだね。テーマも“旅”で、むき出しのティライミを表したライブになってる。旅の中で見つけたさまざまな音楽の要素と、海外での楽曲作りの成果、その2つを表現したくて。J-POP然としたものは極力減らして、日本の皆さんにどこまで許してもらえるか試したんだよ。

──この公演のあとには47都道府県ツアー(※「こんなの初めて!!ナオト・インティライミ 独りっきりで全国47都道府県 弾き語りツアー2018」)がスタートしますが、こちらはナオトさんだけが演奏するスタイルでした。タイトルに「弾き語り」と銘打たれていますが、ドラムを背負いながら演奏するスタイルをはじめ、ループマシーンを活用した即興演奏、ムビラやジャンベといった民族楽器の演奏、タップダンスも披露されました。

ナオト・インティライミ

どれも相当練習したなあ……。「旅歌ダイアリー」ツアーが終わってから1カ月半稽古して、それからこの47都道府県ツアーが始まったんです。旅を経て原点に帰ることができたから、今度は「裸一貫でやってみよう」という心算があって。世界だけじゃなく日本全国を旅したい気持ちもあったし、ここまで全国を回れる機会は今までなかったし。「どんな手を使ってでもお客さんを喜ばせるぞ」というエンタメ精神、エンタテイナーとしての幅を広げておきたかったんだよね。

──現在ファンクラブサイトでは本ツアーのオフショットが公開されていますが、ナオトさんが販売スタッフや設営スタッフに紛れ込み、一緒に作業している公演もありましたね。

そんなことあったなー!(笑) チケットを販売したんだけど、誰も気付いてくれなかったんだよ。設営もちゃんとマイヘルメット、買ったからね。

──そして12月に行われたナゴヤドームワンマン(※「ナオト・インティライミ ドーム公演2018~4万人でオマットゥリ!年の瀬、みんなで、しゃっちほこ!@ナゴヤドーム~」)は大人数のダンサーや演奏メンバーを迎え、集大成とも言える公演になりました。

ダンサーだけでも200人近く参加してて、もう数で攻めたって感じ(笑)。47都道府県ツアーで半年以上1人で演奏したから、大人数でのライブに飢えてたんだよ。ソロと大編成は「裸ん坊」と「フル装備」ぐらい対極的な内容で、「1人でもこんだけやれんだぜ」「こんなに大人数でもできるんだぜ」みたいな感じで違いを見せられたかな。こんなに内容の違う公演を、たった1年の間に披露したことで、エンタテイナーとしての能力を発揮できたね。

スタッフもノープラン、自由気ままな「ナオトの日」

──今年に入り、4月にはファンクラブ発足5年目記念公演がNHKホールで行われました。このライブの模様は「まんげつの夜」ファンクラブ限定盤のDVDに収録されています。3人編成でのライブで、メジャーデビュー前に発表された「桜小町」をはじめ、貴重な楽曲も用意されました。

これは記念イベントだったから、普段の公演ではまず披露しない、コアな曲を選んだから楽しかったよ。古い曲を演奏するのに抵抗がある人もいるけど、僕は全然大丈夫。自分で生み出したから、どれもかわいい子供ですよ。

──映像化された4つのライブはすべて異なる編成になりましたね。さらに7月にマリンメッセ福岡で行われた「ナオトの日」ライブはソロ編成でギターとピアノだけ使用、事前にセットリストを設定しない、という内容でした。

まったく演奏曲を決めないで1万人の前に立つって無謀だよね(笑)。「ナオトの日」ライブはずっとこのスタイルなんです。うちのスタッフや音響さんは最初「ヒントだけ教えてよ」とか質問してきたんだけど、今じゃ何も聞いてこなくなった(笑)。

ナオト・インティライミ

──ナオトさんだけでなくスタッフの皆さんも慣れてしまう、というのもすごいですね(笑)。

みんなノープランで現場に入るし、リハもほとんど立ち合わなくなったね。当日はこれまで発表してきた楽曲をできる限り思い出す作業を行うんだけど、かなり練習しても結局本番では披露しないこともざらで。ライブは常にムードが変わっていくから、その雰囲気に合った曲を選べるよう、全曲演奏できる準備をしておかなくちゃならなくて。その作業がすごく大変なんです。

──よくよく考えると、相当プレッシャーを感じそうなライブですが……。

それがまったく緊張しないんだよね(笑)。ストリートライブも「1曲目はこれでいこう!」とか決めないで始めるよね? それと同じスタイル。1曲終わるごとに「ここでこれやりたいなー!」「こっちもいいな」と頭の中で決めていく感じ。スリリングだけど「ナオトの日」だからこそできる内容ですね。

──高校時代に制作されたという楽曲「アゲインアゲイン?」も披露されましたが、当時の楽譜がよく残っていましたね。

だよね! A型人間ならではのものすごい管理能力。中学生のときに使ってた歌本とか、まだ残ってるし。

──それからナゴヤドーム公演では架空の株式会社の取締役、「ナオトの日」ライブではラーメン店の店主に扮したりと、ナオトさんが特定のキャラクターを演じる演出も特徴的でした。

あれ、なんだろうね(笑)。演技をするのは大好きだし、お客さんたちもすごく楽しんでくれるからいいけど、わざわざ映像や小道具も用意してて、ちょっと凝りすぎだよ(笑)。