LiSA|すべてを受け止め進む覚悟のパレード

LiSAが4thアルバム「LiTTLE DEViL PARADE」を5月24日にリリースした。

先頃、自身のオリジナルブランド・YAEVA MUSiCを設立し「みんなと生きる今日が、もっともっと楽しくなる作戦をねりねり」するなどまた新たな活動を展開中のLiSA。彼女の満を持してのニューアルバムは、本人いわく「未来への危機感が端緒となった覚悟のアルバム」だと言う。果たしてLiSAが抱いた危機感とは? そして覚悟の先に見えたものとは? たっぷりと話を聞いた。

取材・文 / 須藤輝 撮影 / 上山陽介

自分の人生と向き合った、20代最後のアルバム

──「LiTTLE DEViL PARADE」は、フルアルバムとしては3rdアルバム「Launcher」(2015年3月発売)以来2年2カ月ぶりと、わりと間が空きましたね。

LiSA

「あ、そんなに空いてたんだ?」って気持ちですね。デビュー5周年は絶対にミニアルバムを出したくて、実際「LUCKY Hi FiVE!」(2016年4月発売)を作ったりしていたら、いつの間にかシングルが溜まってて。と同時に、アルバムって、シングルを軸に足りないピースを埋めていく感じがあるんですけど、「今の私で埋めきれるかな?」「まだ『Launcher』を超えるものを作れないんじゃ?」とも思ってました。

──それは「Launcher」リリース時のインタビューでもおっしゃっていましたね。その一方で「『Launcher』を作り上げた私なら、もっといいものを作れる」とも(参照:LiSA「Launcher」インタビュー)。

そうなんです。で、「Launcher」から2年経って、自分の中で変わったことがすごくたくさんあって。と言うのは、「Launcher」のときの私って、ホントにスターを取ったマリオのように無敵な状態で、もう突き進んでいくしかない感じだったんです。でも今、自分が30歳を目前にしたときに、未来に対する危機感みたいなものを抱くようになって。現実をしっかり見て、先の手を考えていかなきゃなと。

──そういう危機感を抱かずに30歳を過ぎると、そのままズルズルと40代に突入しちゃいますからね。

そうやって自分の人生と向き合った結果、「LiTTLE DEViL PARADE」は20代最後のアルバムということもあり、しっかりと地に足を付けて、今の自分のいいところも悪いところも認めて、それを音楽にしていく作業ができた気がします。だからこのアルバムは、ある意味で超人的だった「Launcher」よりも、人間っぽいアルバムになったかなと思います。

私の現在は、過去の自分が想像した未来を超えている

──「LiTTLE DEViL PARADE」は自分の中に住み着く「小さなデビル達」、すなわちネガティブな部分もみんな受け入れて「人生をパレードして楽しんでやるぞ」というアルバムだとLiSAさんはおっしゃっていて(参照: LiSAが2年2カ月ぶりアルバムリリース、オリジナルブランドも設立)、その発想はどこから生まれたのかお聞きしようと思ったのですが……。

LiSA

「将来を考えた結果です」っていう答えになりますね(笑)。それプラス、やっぱりガルデモ(2010年放送のアニメ「Angel Beats!」の作中バンド・Girls Dead Monster。LiSAはボーカルを担当した)から数えて7年の活動の中で、LiSAっていう人はもともと自分のために音楽をやっていたはずだったんですけど、私個人の思い描いていた夢は武道館で終わっていて、その先の夢はみんなに叶えてもらったんです。みんながいたから武道館のあとも幕張メッセ(参照:LiSA、みんなとの今年を締めくくり“メガ”で明るい未来を“スピーク”したメッセ公演)や横浜アリーナ(参照:LiSA、横アリ舞台に縦横無尽に遊びまくった“the Sun”&“the Moon”ライブ)で遊んだり、いろんなフェスやテレビに出たりっていうのができたわけで、それは自分の想像していた未来を超えているんですね。

──プラスの意味で理想と現実の間にギャップが生じていた。

そこで現実の私の何が変わったかと考えると、昔は自分は1人ぼっちだと感じていたのに、今は自分を愛してくれる人がたくさんいるって実感できていることなんですね。だから「Catch the Moment」(2017年2月発売の11thシングル)っていう曲は「そんな今がすごく幸せだから、その幸せがなくなるのが怖い。だけど幸せな瞬間を1つずつ大切にしていったら永遠になるのかもしれない」と思って作ったんです(参照:LiSA「Catch the Moment」インタビュー)。で、「LiTTLE DEViL PARADE」はそこからもう一歩進んで、「そういう弱さや不安な気持ちも全部引き連れてパレードしちゃおう!」っていう。

LDP! LDP!

──そんなアルバムの1曲目にしてリード曲の「LiTTLE DEViL PARADE」は、パレードの始まりを派手に告げる、PABLOさん作曲のイキのいいパンクロックです。

さっきの話の続きになるんですけど、「Launcher」は確変中の勢いで作ったアルバムで、そこから「Catch the Moment」までの間って、テンポが速くてデジタル色の強い曲が多かったんですね。それがLiSAの1つのスタイルになってきたなと思う反面、この路線の曲をまたアルバムに入れると、ちょっと疲れるかなって(笑)。

──シングルを軸にアルバムを組み立てていくのであれば、そういう考えに至るかもしれませんね。

だからこのアルバムでは原点に立ち戻って、人間ができること、つまり人力の演奏で音楽を楽しみたいなって。ありのままのみんなの音を使った、アナログなアルバムにしたいなって思ったんですよ。「じゃあそのリード曲はどうしようか」と思案してたときに、PABLOさんがそっと「今回のテーマと違うかもしれないけど、はい」って渡してくれたのがこの曲で、聴いた瞬間「あ、これじゃん!」って。もうライブの、この先のアリーナツアーの絵面がはっきり見えたんですよね。この曲を連れてアリーナに乗り込んで、みんなで「掲げろシンボル!」つって。

──「LDP! LDP!」はシンガロングする姿が目に浮かびます。

「LDP! LDP!」って叫んだら超楽しいなって。PABLO先輩はこの1年半くらい私のライブでもギターを弾いてくれていて、同じステージからお客さんを見て、同じ感覚で楽しんでくれているんです。だから私の気持ちも理解してくれていて。さすがだなって思いました。

LiSA「LiTTLE DEViL PARADE」
2017年5月24日発売/ SACRA MUSIC
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4104円 / VVCL-1040~1

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CD収録曲
  1. LiTTLE DEViL PARADE
    [作詞:LiSA / 作曲・編曲:PABLO a.k.a. WTF!?]
  2. Catch the Moment
    [作詞:LiSA / 作曲:田淵智也 / 編曲:江口亮]
  3. LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~」
    [作詞:LiSA / 作曲:カヨコ / 編曲:江口亮]
  4. the end of my world
    [作詞:LiSA / 作曲:カヨコ / 編曲:堀江晶太]
  5. JUMP!!
    [作詞:古屋真 / 作曲・編曲:野間康介(agehasprings)]
  6. 狼とミサンガ
    [作詞:LiSA / 作曲・編曲:野間康介(agehasprings)]
  7. Rally Go Round
    [作詞:LiSA、古屋真 / 作曲:じん / 編曲:akkin]
  8. Empty MERMAiD
    [作詞:LiSA / 作曲:YOOKEY(THE MUSMUS) / 編曲:akkin]
  9. Peace Beat Beast
    [作詞:古屋真 / 作曲:南田健吾 / 編曲:江口亮]
  10. Blue Moon
    [作詞:LiSA / 作曲:カヨコ / 編曲:akkin]
  11. Brave Freak Out
    [作詞:田淵智也 / 作曲・編曲:高橋浩一郎]
  12. TODAY
    [作詞:LiSA / 作曲:小南泰葉 / 編曲:akkin]
  13. そしてパレードは続く
    [作詞・作曲:田淵智也 / 演奏・編曲:東京スカパラダイスオーケストラ / ホーンアレンジ:北原雅彦]
DVD / Blu-ray収録内容
  1. LiTTLE DEViL PARADE -Music Clip-
  2. Catch the Moment -Music Clip-
  3. Brave Freak Out -Music Clip-
  4. Hi FiVE! -Music Clip-
完全生産限定盤 Blu-ray収録内容
  1. LiTTLE DEViL PARADE -Music Clip-
  2. Catch the Moment -Music Clip-
  3. Brave Freak Out -Music Clip-
  4. Hi FiVE! -Music Clip-
  5. TODAY in L.A.the movie
LiSA「LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~『そしてパレードは続く』」
  • 2017年9月24日(日)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
  • 2017年9月30日(土)長野県 ホクト文化ホール
  • 2017年10月1日(日)石川県 本多の森ホール
  • 2017年10月7日(土)岐阜県 長良川国際会議場
  • 2017年10月9日(月・祝)静岡県 静岡市民文化会館
  • 2017年10月15日(日)神奈川県 川崎市スポーツ・文化総合センター
  • 2017年10月21日(土)滋賀県 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール
  • 2017年10月28日(土)栃木県 栃木県総合文化センター
  • 2017年11月3日(金・祝)香川県 サンポートホール高松
  • 2017年11月9日(木)東京都 中野サンプラザホール
  • 2017年11月18日(土)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2017年11月19日(日)福岡県 福岡サンパレス
  • 2017年11月24日(金)北海道 わくわくホリデーホール
LiSA(リサ)
LiSA
6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビュー後はアニメ「Fate/Zero」1stシーズンのオープニングテーマ「oath sign」、「ソードアート・オンライン《アインクラッド》編」のオープニングテーマ「crossing field」などスマッシュヒットを連発。2013年にはシングル「best day, best way」がノンタイアップながらオリコン週間シングルランキング6位を記録し、また10月に発表したアルバム「LANDSPACE」がオリコン週間アルバムランキング2位をマークし、アニソンシーン内外で高い人気を誇る存在となる。2014年1月に初の東京・日本武道館ワンマン「LiVE is Smile Always ~今日もいい日だっ~」を行い、翌2015年1月には日本武道館2DAYS「LiVE is Smile Always~PiNK&BLACK~」を成功させた。また「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「Animelo Summer Live」「氣志團万博」などさまざまな大型音楽イベントに出演し個性を発揮している。2017年春にはオリジナルブランド「YAEVA MUSiC」を設立。5月に通算4枚目となるフルアルバム「LiTTLE DEViL PARADE」をリリースした。9~11月にはアルバムを携えてのライブツアー「LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~『そしてパレードは続く』」を行う。