「Catch the Moment」があるから、1曲目で遊んでもいい
──本当に毎度毎度、作家陣に心を読まれてますよね。
あはは(笑)。
──その都度LiSAさんが求めているものをドンピシャで当ててくるっていう。しかも「LiTTLE DEViL PARADE」は単純なパンクではないというのが……。
そう! やっぱりPABLOさんはパンクの人であると同時に、ラウドロックの人でもあるので。だから展開がすごく多くて「リズムパターンどんだけあるの?」「これAメロなの? サビなの?」みたいな。そのPABLOさんの思うパンクだったりラウドだったりがミックスされた曲を人力でやるっていう、個々のミュージシャンの力量を感じる曲でもありますね。
──ラウドロック寄りのハードコア的な構造の曲を、あくまでポップパンクのノリで仕上げてらっしゃいますね。
次に「Catch the Moment」がちゃんと控えてるから、1曲目で遊んじゃってもいいかなって。
──そう。この1曲目の遊びがあるから、2曲目の「Catch the Moment」の真摯さがより生きてくるんですよね。もちろん、「LiTTLE DEViL PARADE」が真摯じゃないという意味ではなくて。
ありがとうございます。
──1、2曲目に限らず、アルバムの曲順が計算されていますよね。曲ごとのコントラストが映えると言うか、落差が際立つ並びになっている。
もう私、曲順と、曲と曲の“間(ま)”に命懸けてるから(笑)。それはライブでも一番気にしてる部分なんですけど、言葉にしなくて曲順で語れること、間で表現できるものってあるだろうなと思っていて。
──「LiTTLE DEViL PARADE」に話を戻すと、歌詞はアルバムのテーマをストレートに伝えるものですね。
歌詞は「YAEVA MUSiC」を作るときに思ったことが起点になっていて。要は、新しいことを始めるのはすごく勇気がいるし、とは言えずっと同じことをやっていても「このままでいいのか?」って不安になるんですよね。そういう葛藤を打破するには、そして私が私らしくあるためには、自分のシンボルを掲げなきゃいけない。だから「LiTTLE DEViL PARADE」は私にとって決意の歌でもあって、それがみんなの歌にもなったらいいなと思って作りました。
今も自分が勝者だとは思っていない
──「LiTTLE DEViL PARADE」から「Catch the Moment」を経た3曲目、カヨコさん作曲の「LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~」はオルタナっぽい、ルーズでヘビーなミディアムチューンです。「Catch the Moment」が清いイメージだとしたら、「LOSER」は濁った、ある種泥臭い曲で、やはりコントラストが見られます。
「LOSER」は、自分の中でけっこうな挑戦だったんですよ。私はこういう重たい曲って、例えばもっとテンポが速かったり、勢いがないと歌えなかったんです。それが安心材料になっていたと言うか、「速い曲は得意分野だから大丈夫!」みたいな。だから、この引きずるようなテンポ感で歌を届ける勇気がなかったんですけど、「『Catch』があるからいいか!」って(笑)。
──この曲も「Catch the Moment」に支えられている。
そうですね。「Catch」で1つ自分の納得できるラインをクリアしたことで、枷が外れたようなところはあります。
──歌詞については、正直、今のLiSAさんに敗者のイメージはないんですよね。たびたび話されているように、デビューまでに苦労なさったとはいえ。
でも、今も自分が勝者だとは思ってないです。むしろ今の幸せな状況を知ったからこそ、やっぱり私はスタートで負けてたんだなって、余計に実感するというか。多くの人にとっては私の感じた幸せは当たり前のもので、私の経験してきたことって普通じゃなかったんだなって。でも、今はその経験がすごく力になってると思ってます。雑草魂みたいなものが自分の中に根付いてるなって。
LiSA、華麗に手のひらを返す
──4曲目の「the end of my world」も同じくカヨコさん作曲で、こちらもロックな曲なんですけど、「LOSER」とはまた違う、ドライブ感のある王道的なロックナンバーですね。
たぶん今までの、特に「Launcher」からの流れのLiSAを見ている人たちには一番しっくりくるんじゃないですか。私がライブで歌ってる姿を想像しやすい曲だと思います。
──編曲は堀江晶太さんですが、カヨコさんと堀江さんがコンビを組んだ曲は、「DOCTOR」(2013年10月発売の2ndアルバム「LANDSPACE」収録曲)しかり「蜜」(「Launcher」収録曲)しかり、LiSAさんの歌詞がドロドロしがち。
そうそう(笑)。いやもう、カヨコさんの曲はエグいです。
──LiSAさんは以前「『あなたがいないと生きていけないの』っていう女が大っ嫌い」とおっしゃっていたのに(参照:LiSA「Empty MERMAiD」インタビュー)、この「the end of my world」は「あぁ、貴方に堕ちてしまった」と歌う、要は男に執着しまくってる女性の歌です。どうしちゃったんですか?
あはは(笑)。なんか、そういう自分も認められるようになったんです。つまり、「『あなたがいないと生きていけないの』って言ってる女、マジむかつく」みたいに思ってるけど、実は私自身がそういうことを言いかねない女で、そんな自分が嫌いだったんだなっていう結論が……。やっぱり、それもたくさんの人に愛してもらったことで、素直になれたことの1つだと思います。
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初々しい恋心なんて、自分は持っちゃいけないと思っていた
- LiSA「LiTTLE DEViL PARADE」
- 2017年5月24日発売/ SACRA MUSIC
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Blu-ray付き初回限定盤 [CD+Blu-ray Disc]
4104円 / VVCL-1040~1 -
DVD付き初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / VVCL-1042~3 -
通常盤 [CD]
3240円 / VVCL-1044 -
完全生産限定盤 [CD+Blu-ray+ラバーブレス]
5400円 / VVCL-1045~7
- CD収録曲
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- LiTTLE DEViL PARADE
[作詞:LiSA / 作曲・編曲:PABLO a.k.a. WTF!?] - Catch the Moment
[作詞:LiSA / 作曲:田淵智也 / 編曲:江口亮] - LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~」
[作詞:LiSA / 作曲:カヨコ / 編曲:江口亮] - the end of my world
[作詞:LiSA / 作曲:カヨコ / 編曲:堀江晶太] - JUMP!!
[作詞:古屋真 / 作曲・編曲:野間康介(agehasprings)] - 狼とミサンガ
[作詞:LiSA / 作曲・編曲:野間康介(agehasprings)] - Rally Go Round
[作詞:LiSA、古屋真 / 作曲:じん / 編曲:akkin] - Empty MERMAiD
[作詞:LiSA / 作曲:YOOKEY(THE MUSMUS) / 編曲:akkin] - Peace Beat Beast
[作詞:古屋真 / 作曲:南田健吾 / 編曲:江口亮] - Blue Moon
[作詞:LiSA / 作曲:カヨコ / 編曲:akkin] - Brave Freak Out
[作詞:田淵智也 / 作曲・編曲:高橋浩一郎] - TODAY
[作詞:LiSA / 作曲:小南泰葉 / 編曲:akkin] - そしてパレードは続く
[作詞・作曲:田淵智也 / 演奏・編曲:東京スカパラダイスオーケストラ / ホーンアレンジ:北原雅彦]
- LiTTLE DEViL PARADE
- DVD / Blu-ray収録内容
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- LiTTLE DEViL PARADE -Music Clip-
- Catch the Moment -Music Clip-
- Brave Freak Out -Music Clip-
- Hi FiVE! -Music Clip-
- 完全生産限定盤 Blu-ray収録内容
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- LiTTLE DEViL PARADE -Music Clip-
- Catch the Moment -Music Clip-
- Brave Freak Out -Music Clip-
- Hi FiVE! -Music Clip-
- TODAY in L.A.the movie
- LiSA「LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~『そしてパレードは続く』」
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- 2017年9月24日(日)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
- 2017年9月30日(土)長野県 ホクト文化ホール
- 2017年10月1日(日)石川県 本多の森ホール
- 2017年10月7日(土)岐阜県 長良川国際会議場
- 2017年10月9日(月・祝)静岡県 静岡市民文化会館
- 2017年10月15日(日)神奈川県 川崎市スポーツ・文化総合センター
- 2017年10月21日(土)滋賀県 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール
- 2017年10月28日(土)栃木県 栃木県総合文化センター
- 2017年11月3日(金・祝)香川県 サンポートホール高松
- 2017年11月9日(木)東京都 中野サンプラザホール
- 2017年11月18日(土)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2017年11月19日(日)福岡県 福岡サンパレス
- 2017年11月24日(金)北海道 わくわくホリデーホール
- LiSA(リサ)
- 6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビュー後はアニメ「Fate/Zero」1stシーズンのオープニングテーマ「oath sign」、「ソードアート・オンライン《アインクラッド》編」のオープニングテーマ「crossing field」などスマッシュヒットを連発。2013年にはシングル「best day, best way」がノンタイアップながらオリコン週間シングルランキング6位を記録し、また10月に発表したアルバム「LANDSPACE」がオリコン週間アルバムランキング2位をマークし、アニソンシーン内外で高い人気を誇る存在となる。2014年1月に初の東京・日本武道館ワンマン「LiVE is Smile Always ~今日もいい日だっ~」を行い、翌2015年1月には日本武道館2DAYS「LiVE is Smile Always~PiNK&BLACK~」を成功させた。また「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「Animelo Summer Live」「氣志團万博」などさまざまな大型音楽イベントに出演し個性を発揮している。2017年春にはオリジナルブランド「YAEVA MUSiC」を設立。5月に通算4枚目となるフルアルバム「LiTTLE DEViL PARADE」をリリースした。9~11月にはアルバムを携えてのライブツアー「LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~『そしてパレードは続く』」を行う。