アジアから世界的スターを生み出し続けるレーベル88risingとの契約を2020年11月に発表し、2021年1月に“ATARASHII GAKKO!”名義で世界デビューした新しい学校のリーダーズ。その後もTikTokへの投稿動画をきっかけにカーディ・BとSNSで接触したり、Hey! Say! JUMPに振り付けを提供したりと話題を生み続け、11月には“Beastie Boys第4のメンバー”とも言われるマニー・マークとともにLAで制作した作品「SNACKTIME」をリリースした。
音楽ナタリーでは、初の海外ライブも成功させ、今年1月30日に東京・LIQUIDROOM、5月20日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でワンマンライブを行う4人にインタビュー。88risingやマニー・マークとの出会いのきっかけやそれぞれの印象などを聞きつつ、激動の1年を振り返ってもらった。
取材・文 / 三浦良純撮影 / 斎藤大嗣
こんなにすべてが変化するとは
──新しい学校のリーダーズのパフォーマンス力の高さは知っていましたが、2020年11月に88risingとの契約を発表したときはさすがに驚きました。
RIN 私たちは「ようやく言えたー! おまたせ!」って気持ちでした。発表したのは11月だったけど、その前からずっと準備を進めていたので。
MIZYU 2020年の2月にはもう話が始まっていて、88risingの皆さんとオンラインで会ったり、夏には世界デビュー曲の「NAINAINAI」のミュージックビデオを撮影していました。
──「恋ゲバ」(松永天馬が作詞、H ZETT Mが作曲を担当した2019年発表の楽曲)のパフォーマンス映像が88risingに届いたのが契約のきっかけだったんですよね。
MIZYU はい、あれは2020年の1月の終わりに撮ったもので、撮影した方が88risingとつながりがあったんです。
SUZUKA その動画を88risingに届けてくださって。その方は崎山蒼志くんとのツーマンライブ「男女比一対四」(2020年2月開催)に来てくださって、そのときに「私、あなたたちを海外に連れて行くよ」と言ってくれたんです。その言葉を聞いて私たちは「本当ですか……! えー!」って驚きながら笑ったり、「英語しゃべれる?」と聞かれて「しゃべれ……るようになりまーす!」って半信半疑で話したりしていたんですけど、ガチで話が進んでいきました。
KANON きっかけの動画自体は海外デビューを目的として撮ったものではなかったんですけど、「ここから何かにつながるかもしれないからがんばろうね」って取り組んだら、予期していなかったところにつながりました。
RIN まさかこんなにすべてが変化することになるとは……。
SUZUKA 活動の幅が広がっていく中で「ワシらなんか……やれるんちゃう?」って感覚は自分たちでもあったんです。でも! そこにイメージしていた可能性以上の話が来たので「ワーオ……!」って。感動しました。
──海外での活動はイメージしていなかった?
SUZUKA これまでは日本の音楽業界にどう切り込んでいこうかと研究していたんです! でも海外デビューが決まったことで「ワシらまだまだもっと成長したい!」って思うようになりました。
──88risingのことはもともと知っていたんですか?
一同 知らなかったです。
MIZYU 本当に急に世界が広がった感覚でした。でも、その前にTikTokなどで海外の方の目に触れる機会も増え、「私たち、日本を象徴するアーティストになりたい」ってじんわり意識し始めてた部分はあったかもしれない。それで「青春日本代表」を自称するようになったり。
リーダーズから見た88rising代表、ショーン・ミヤシロ
──もちろん88rising代表のショーン・ミヤシロとも会ったんですよね。
MIZYU 最初はオンラインの画面越しで会ったんですけど、ショーンはなんか高層ビルみたいなところにいたと思ったら、急に移動して犬が出てきたり、異次元な感じがありました。すごく小さな帽子を頭に乗せてて。
SUZUKA ステキだったよねっ。
MIZYU 私たちがインタビュー出演した番組の映像を観たら、毛皮のコートを着たショーンも出演していて。そこでも小さな帽子を乗せてて。
SUZUKA 本当にステキっ。
MIZYU 社長感がすごくて、アーティスティックだなー、アメリカだなーって思ってたんですけど、初めて直接会ったときは半ズボンにサンダルで、しっかり人間味があって親しみやすかったです。
SUZUKA 笑い声が独特だった!「アウゥー! アー!」みたいな。
MIZYU 無邪気で素敵でした(笑)。安心しました。
88risingをもっと面白くしていきたい
──88risingはやっぱりヒップホップのイメージが強くて、日本のラッパーが契約するとしたら誰だろうということもよく話題になっていたところ、新しい学校のリーダーズの契約が発表されたので、ヒップホップファンの間にも衝撃が広がっていました。
RIN とっても挑戦的な場所だけど、そこに足を踏み入れたからにはどんどんチャレンジしていきたいなと思いました。88risingで「NAINAINAI」みたいなビートが強い楽曲をリリースしたり、自分たちの新たな一面を見つけたりするたびにワクワクします。それに、私たちらしい角度から88risingをもっと面白くしていきたいなって思ってるんです。
SUZUKA 88risingのYouTubeチャンネルを見ると、「ちょっと私たちだけ雰囲気違うな……?」って思うんですけど、意外といい反応がたくさん来て、すごくうれしかったです。「私たちのスタイルは間違ってNAINAINAIー!」って改めて感動しました。
──ショーン・ミヤシロは契約したいアーティストについて「既存のアーティストと違っている必要がある」と過去のインタビューで語っていたので、正しいと思います。
MIZYU ショーンは、「いろんな曲に挑戦するけど、4人の根本を変えたいわけじゃなくて、4人の素晴らしさを生かしたい」ということを言ってくれたんですよ。契約が決まったときは「これから英語だけを歌うのだろうか」とか「大きく変わっちゃうのではないか」と不安に思う部分もあったので、「君たちは君たちのままでいいんだよ!」ってショーンの言葉にすごく安心しました。私たちを信頼して契約してくれたのが伝わってきてすごくうれしかったです。
SUZUKA ショーンが感動してくれたのは、ワシらが日本でやってきた6年間の結晶。そして、ショーンに響くってことは世界のみんなに響く。そういうことだ!
MIZYU 世界に届けるきっかけをくれる、私たちの可能性を膨らませてくれる人だ。
──ショーンはリーダーズのどこを特に評価している感じでしたか?
SUZUKA やっぱりダンスですね。私たちの曲の中でも激しめでガッツリかます「恋ゲバ」のパフォーマンスを見て、そのエネルギーに「ワオ!」って思ってくださったみたいで「試験前夜」の映像とかも「大好きだ」って言ってくれました。
RIN エナジーを楽しんでくれてるよね。
SUZUKA でもエナジーだけじゃないワシらもどんどん見せていきたいです。
──契約したいアーティストについて、ショーンは「友達になれるような人だけを入れている」とも話していたのですが、これもリーダーズにピッタリ当てはまる気がします。
KANON 友達かあ(笑)。
SUZUKA 面白いこと一緒にやって、みんなで爆笑したい!
──海外での名義「ATARASHII GAKKO!」はどうやって決まったんですか?
SUZUKA 新しい学校のリーダーズをそのままアルファベットにしたら「ATARASHII GAKKO NO LEADERS」ですけど、「NO」がYES / NOのNOの意味になっちゃうなと思いまして。NOはダメーってことで、まったく別の名前の候補が出たけど、ネットでグループのことを調べたときに、これまでの活動とつながるようにしたいと思って。じゃあ「ATARASHII GAKKO!」だねってなりました!
MIZYU びっくりマークはショーンの提案だったよね。
RIN 絶対入れたいって言ってた。
KANON 海外では私たちのことを「AG!」って略していて、それもかわいいし。結果すごくよかった。
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突如始まったLA生活、川で出会った未知の人類