児玉雨子|音楽と生きる、音楽で生きる ふわっと入った作詞家の道、ここまで続けられたのは

目標は小林武史さん! 先週から

──最新アルバム「SAI」にも個性豊かな楽曲が収録されています(参照:眉村ちあき「SAI」リリース記念、日本音響研究所・鈴木創所長と対談)。ギャルの友達との交流をテーマにした「平成黎明GAL」、眉村さんの大好きな納豆のことを歌った「Natto」など、リアルな経験がもとになった曲も多いですよね。

はい。ゼロからイチを生み出すときは自分の経験で、それを10まで膨らませるときには妄想が入ってます。きっかけはなんでもいいんですよ。「(気温が下がって)夜、気持ちいいから、散歩するときに聴ける曲を作ろう」とか。人間って常に何かしら考えているじゃないですか。「何も考えてないな」って考えることもあるだろうし、思考をやめない限り曲はできますね。昔、2週間くらい曲が書けなくてスランプみたいになったことがあるんですけど、それはノーカウントってことにしてます(笑)。

──打ち込みの技術も上がってますよね。

はい。めっちゃ楽しいですね。最近はストリングス系の音の勉強をしていて。先週くらいから小林武史さんを目標にしてます! でも、機材のことはよくわからないんですよ。音色はいくらでも変えられるし調整できるので、機材にはこだわってなくて。壊れたら買う感じです(笑)。

重機で壁を壊しながらステージに登場したい

──ライブについても聞かせてください。今年5月には、アメリカ・カンザスシティで行われたジャパンカルチャーイベント「Naka-Kon 2023」に出演。8月には台湾でもライブが行われ、海外進出の足掛かりを作りました。

アメリカも台湾もそうなんですけど、初めて現地のお客さんと触れ合って、手応えしかないです。例えば後ろ向きで開脚した状態でバッと振り向いたり、その場で思いついたことをやるたびに「キャー!」って盛り上がるんですよ。何をやってもめちゃくちゃ反応してくれるから、「私たち、気が合うね」って(笑)。すぐ溶け込めると思ったし、もっともっと呼んでいただけるようにがんばります。

──そして現在は全国ツアー「CHIAKI MAYUMURA Tour “一切合 SAI”」を開催中です。11月24日には横浜BAYSIS、12月8日には恵比寿ザ・ガーデンホールでの追加公演も決定しましたが、こちらの手応えはどうですか?

いろいろ新しいことをやってます! 「十二支のアマゾン」という曲は展開が12個あって、キーボードとエレキとアコギとドラムを1人で演奏してるんですよ。曲と曲の間のつなぎを考えたり、ライブ用のアレンジをしたり。

眉村ちあき

──今もグッズなどは眉村さんが手がけているんですか?

作りたいものがあるときは言いますけど、最近は私が何も言わなくてもできています(笑)。私、服に興味がないというか、よくわからないんですよ。普段もファンの人やスタッフがくれたものを着ることが多いので。物欲がないんです。

──先ほど「世界のトップスターになりたい」と言っていましたが、「音楽活動で成功して、好きなもの買いたい!」みたいな気持ちもない?

あ、それはないですね。お金持ちになって豪遊したいというのはなくて、「無人島の真ん中でスポットライトを浴びたい!」みたいなことばかり考えてます。「本当にやりたいことって何?」って聞かれたら、めっちゃありますよ。ギターから火を出したり、ハイレグを着たり、2階席からステージに飛んだり。あと、重機で壁を壊しながら登場したいんですよ。まず壊してもいい壁を作らなくちゃいけないから、だいぶ規模が大きいですよね。銀テープを飛ばすヤツも値段を気にせずバンバン打って、「銀テープだらけでステージが見えないよ!」とか(笑)。私の中のトップスターってそういうイメージで、そうやって「こんなの観たことない!」っていうライブを実現してファンの方に喜んでもらうためにお金が欲しいです。

え、こんなに? 印税額を見てびっくり

──音楽活動で得たお金をライブに注ぎ込みたいというのは、アーティストとしてはすごく真っ当ですよね。それを支えるものの1つが印税です。JASRACは著作権を管理し、著作権使用料をアーティストに分配する業務を行っています。

印税、めちゃくちゃありがたいです。そんなに意識してなかったんですけど、「ima」(2022年2月発売のアルバム)に入っている「この朝を生きている」の印税額を見てびっくりしました(参照:眉村ちあきがやりたいこと詰め込んだ「ima」)。「え、こんなに?」みたいな。

──「この朝を生きている」はTBSの情報番組「はやドキ!」のテーマソングでした。帯番組だったので、楽曲使用料がいつもより多く分配されたんでしょうね。

そうなんですね! それ以来、テーマソングや主題歌をよく歌っているアーティストさんの見る目が変わりました(笑)。

──眉村さんの公式サイトのプロフィール欄には「著作権の契約書に『作家・眉村ちぁきさま』と書かれてぃるのをみて、嬉しくなってぃささか先生キブン♪」とありますよね。

「私、作家扱いされてる!」と思って(笑)。私の中では作家と言えば「サザエさん」の伊佐坂先生なんですよ。1人で活動していたときはCD-Rを売る際も著作権登録をしていなかったので、もちろん印税は入ってこなくて。だから今はめっちゃ幸せです。

眉村ちあき

──眉村さんが最近力を入れているTikTokでも楽曲の使用料が発生しますし、例えばYouTubeで眉村さんの楽曲がカバーされたときも同じように印税が入ってきます。

好きなものを作って、そのことで印税をいただけるなんて、これ以上望むものはないです。曲作りだったりライブだったり、活動に専念できるのはありがたいなって。「JASRACさん、ありがとう!」って感じです。

──これからも期待してます! それにしても眉村さん、本当にポジティブですよね。

よく「ポジティブだね」と言われるんですけど、私はたぶんそうじゃないんですよ。ポジティブになりたいから発信しているし、曲の内容も自分の理想を歌っていることがけっこうあって。落ち込むこともよくあります。8時間くらい泣いてる日もあるし、ちょっとうまくできなかっただけですぐに嫌になるんですけど、そのたびに周りの人に慰められてます。「まあまあ、お菓子でも食べなよ」って(笑)。

──眉村さんも葛藤しながらがんばっているんですね。

はい。メジャーデビューしたあとのほうが悩むことが増えたと思います。デビュー前は怖いものナシというか、「いっぱい曲書いて、いっぱいライブすれば大丈夫でしょ」という感じだったけど、今はライブの質とか、1本1本に対する思いも強くなって。曲を作るときの向き合い方も変わったし、意識することが増えた分、落ち込むことも多くなった気がします。練って練って作ったものがうまく伝わらないと「あんなに考えたのに!」と思ったり、何が正解かわからなくなったり。結局は「私が幸せに音楽をやれていれば、それでいい」ってなるんですけどね(笑)。

眉村ちあき
眉村ちあき

ツアー情報

「CHIAKI MAYUMURA Tour “一切合 SAI”」追加公演

  • 2023年11月24日(金)神奈川県 横浜BAYSIS
  • 2023年12月8日(金)東京都 恵比寿ザ・ガーデンホール

プロフィール

眉村ちあき(マユムラチアキ)

アイドル、シンガーソングライター、トラックメイカー、実業家。“弾き語りトラックメイカーアイドル”を自称している。グループアイドルとして活動を行ったのち、2016年に眉村ちあき名義でソロ活動を開始。2017年に株式会社会社じゃないもんを設立し、現在は取締役会長を務めている。2019年にTOY'S FACTORYからメジャーデビューを果たし、2020年には東京・日本武道館でワンマンライブ「日本元気女歌手 ~夢だけど夢じゃなかった~」を開催。TBS「はやドキ!」テーマソングの「この朝を生きている」、日清食品「カップヌードル PRO」CMソングの「顔ドン」、三越伊勢丹のクリスマスムービーのテーマ曲「シュリティカルマジック」、駿台予備学校の受験生応援ソング「未来の僕が手を振っている」などさまざまなタイアップソングを手がけている。2022年2月にアルバム「ima」、2023年5月にアルバム「SAI」をリリース。2023年5月からは全国ツアー「CHIAKI MAYUMURA Tour “一切合SAI”」を開催中。11月24日に神奈川・横浜BAYSIS、12月8日に東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで追加公演を行う。


2024年3月28日更新