GARNiDELiAインタビュー|それぞれのソロワークを経て再始動、ニューアルバム「Duality Code」で示す2人の進化 (3/3)

もっと季節のイベントに食い込んでいこう

──9曲目の「はじめてのクリスマス」はtokuさんおっしゃるところの“普通のポップス”をわかりやすく体現した曲かなと。

MARiA そう。だからみんなにカラオケで歌ってほしい(笑)。今までのガルニデの曲は「歌えるもんなら歌ってみなさい」みたいな感じだったし、そこで勝負していたところも少なからずあって。たぶん、その反動もあったんだよね。

toku 「カラオケで歌われたい」という承認欲求が(笑)。

MARiA 「はじめてのクリスマス」は、「春がきたよ」で手応えを感じたから書けた曲でもあって。「春がきたよ」が春をテーマにドラマの主題歌として納得できるものに仕上がったから、ベタに季節モノのポップスを作ってもいいと思ったんですよ。

──僕が最初のほうで「歌モノらしい歌モノ」と言ったのはまさにその2曲のことだったのですが、つながっていたんですね。

toku 同じ流れにある曲ですね。どちらも季節感を前面に押し出しているし。

MARiA 私たちは毎年ハロパ(「GARNiDELiA Presents HALLOWEEN MiRACLE WONDER PARTY」)をやっていて、去年はハロウィンの曲(2020年9月配信のデジタルシングル「Secret Party」※2020年11月発売の4thアルバム「起死回生」にも収録)を作ったから、もっと季節のイベントに食い込んでいこうと(笑)。ちょうど12月からツアーも始まるし、クリスマスシーズンにみんなで歌いたくなるような曲を目指しました。

──歌詞も引き続きハッピーというか、もはやのろけになっていますね。

toku 今までの苦悩はなんだったんだろう?

MARiA もしかしたらこの子には「Uncertainty」を聴かせたほうがいいかもしれないし、「ピエロ」になってしまう可能性もあるんだけど、人生は山あり谷ありなので(笑)。

GARNiDELiA

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──その意味では、続く切ないバラード「春がきたよ」でまた谷に差しかかるというか……。

MARiA ドラマの原作マンガを読んで「うわ、この恋愛、めっちゃヘビー……」と思ったんですけど、ヒロインの女の子はめげないんです。確かに1回好きになっちゃうと、何があっても誰に何を言われてもその思いは変わらないですよね。たとえそれが世間的には幸せな恋愛じゃなかったとしても。そういうテーマが見えたのと、作品の中で春が象徴的に描かれていたので、絶対に「春」というワードは使いたくて。

toku 秋に放送されるドラマで、アルバムも11月リリースなんですけどね。

MARiA だから「大丈夫かな?」と思ったんですけど、作品の中で春が描かれているシーンのスクショを全力で送りまくって「ほら、このシーン見て!」「原作を読んだ人やドラマを観た人には春が絶対に刺さるから!」と(笑)。あとこの曲、“普通のポップス”なんだけど激ムズなんですよ。特に裏声を使ったサビが。

toku 今までパワーで押し切ることが多かったから、ここでは儚い感じにして。わざとMARiAの地声で出せる音よりも高いところに行くメロディにしたり、音の幅もすごく広くしているんですけど、まあMARiAなら歌えるよねって。

MARiA このアルバムの中で一番難しかったかも。でも、メロディは本当にきれい。

──tokuさんもソロで「ずるいよ、桜」のような、シンプルながら美しいメロディの曲を書かれていますよね(参照:toku「bouquet」インタビュー)。

toku 「春がきたよ」も「ずるいよ、桜」もそうなんですけど、繰り返されるメロディが印象に残るような作りというのは意識していて。日本語の歌にはそういうのが合うのかもなと改めて思ったし、それが“普通のポップス”にもつながるのかなと。あとは、歌詞のテンションや歌う人のカラーに寄り添うことも大事だと思うんですけど、MARiAのことはよく知っているので(笑)。

ツアーでどうせ泣くんだろうな

──そして11曲目の「stellacage」はまさかの……。

MARiA tokuがボーカル! 初の試みすぎる(笑)。

toku 「stellacage」というのは僕らのライブのタイトルで、ペンライトをかざしたりして“星”のように輝いているお客さんたちが集まる“かご”をそう呼んでいたんです。でも、最近ファンになってくれた人たちの中には知らない人も多いだろうから、改めてその意味を示すとともに「早くライブをやりたい」という思いも込めた楽曲です。もともとこの曲は、一昨年のツアー(「stellacage Asia Tour 2019 “響喜乱舞”」)の大宮ソニックシティ公演で……。

MARiA 私が衣装替えをしている間の、tokuのソロパフォーマンス用に作ったんだよね。

toku そう。つなぎのために作った遊びの曲なんですけど、MARiAが「いい曲だし、ちょうどツアーも始まるからアルバムに入れよう」と。

──いい曲ですよ。ヒップホップ的でありつつ、カリビアン的な陽気さもあって。歌詞もシンプルで優しくて、こう言っちゃなんですが、tokuさんのあまりシリアスではない歌声ともマッチしていると思います。

toku 自分で歌うという前提だったので「オケはちょっと派手にしとかなきゃヤバイな」と、けっこうがんばりました(笑)。歌詞に関しては、自分で書いてて恥ずかしかったんですけど……。

MARiA お風呂で書いた?

toku 歌じゃなきゃ言えないというか、歌だから届けられるのかなって。

GARNiDELiA

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──この「stellacage」と最後の曲「Reason」の2曲もGARNiDELiAのステートメントになっていますよね。「Reason」は一見するとラブソングなのですが、ファンとの関係性を表しているようで。

MARiA まさに「Reason」の歌詞は私が今、一番みんなに伝えたいことです。この2年間、音楽が必要とされていないように思えてしまう社会の中で「私はなんでステージに立ち続けるのか?」「私が歌う理由ってなんだろう?」と考え抜いた末に生まれた歌詞で。これが今の私の全力というか、今まで変わらずに抱いてきた思いをやっと形にできたかなって。だから絶対にツアーでも歌うし、どうせ泣くんだろうな(笑)。

toku 最初のメロディに「ほらまた」という歌詞が乗っている時点で「この曲は勝ったな」と思ったんですよね。

MARiA 本当ですか? でも、私も「Reason」はデモを聴いた瞬間に「この曲ヤバ! めっちゃいいメロディなんですけど!」と思ったし、このメロになら私の思いを乗せられる気がしたの。だからお互いの信頼感が増したというのはありますね。

toku MARiAに「強い曲」と言われましたけど、それはアレンジが激しいとかではなくて、メロディが強さになるみたいなことなのかなというのを今回は意識したので、まあ、よかったなって(笑)。

──さて、MARiAさんが泣くであろう、2年ぶりのツアー「GARNiDELiA stellacage tour 2021→2022 "Duality Code"」が12月から始まります。

MARiA 2年もツアーができないなんて、こんなにもみんなに会えなくなるなんて考えたこともなかった。当たり前が当たり前じゃなくなった日々の中でみんなに伝えたい思いがあふれ出してできたアルバムのツアーなので、初日からめちゃくちゃぶちかまします。このツアーは始まる前から絶対に特別なツアーになる、この曲たちを持っていけば間違いなく最高のライブになるという自信だけはあるので、早くみんなに会いたいです。

toku 「ライブをやりたい」という思いから強い曲が生まれて、歌詞のメッセージ性も強くなって、今までよりも1つレベルが上がったGARNiDELiAになった気がするので、そのライブをたくさんの人に体験してほしいです。

──どの曲もライブでどう化けるのか、気になります。

MARiA 大化けしますよ。これも絶対の自信があるというか、ライブで私がどういうパフォーマンスをして、みんながどういう反応をするのか、その情景がすでに浮かんでいますもん。セットリストも固まりつつあるので、答え合わせがしたくてうずうずしています。めっちゃ楽しみ!

GARNiDELiA

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ライブ情報

GARNiDELiA stellacage tour 2021→2022 "Duality Code"

  • 2021年12月5日(日)神奈川県 CLUB CITTA'
  • 2021年12月24日(金)宮城県 Rensa
  • 2022年1月10日(月・祝)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2022年1月15日(土)愛知県 名古屋ReNY limited
  • 2022年1月16日(日)大阪府 umeda TRAD

プロフィール

GARNiDELiA(ガルニデリア)

モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、さまざまなアーティストへ楽曲提供を行うtoku(Compose, Key)からなるユニット。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューする。その後も数多くのアニメソングのテーマ曲を手がけ、2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。海外での活動も活発で、2017年5月には初の海外単独公演を中国・上海で行い、秋には「GARNiDELiA stellacage Asia Tour 2017」と題しアジアツアーを開催した。2021年3月にポニーキャニオンへの移籍を発表し、5月にはメイリアがさまざまなアーティストの提供曲を歌唱するMARiA名義のソロアルバム「うたものがたり」をリリース。6月にはtokuが10人の女性アーティストをゲストボーカルに迎えたソロアルバム「bouquet」を発表した。11月にGARNiDELiAとしてニューアルバム「Duality Code」をリリース。12月からは約2年ぶりとなるツアー「GARNiDELiA stellacage tour 2021→2022 "Duality Code"」を開催する。