12月4日にライブBlu-ray / DVD「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019 SPECIAL」をリリースするでんぱ組.inc。音楽ナタリーではこの作品の発売に合わせて計3回にわたる特集を展開している。

古川未鈴の単独インタビューを実施した第1回に続き、第2回では2017年12月にでんぱ組.incに加入して丸2年が経とうとする根本凪、鹿目凛にインタビュー。ホールツアー「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019」を終えた彼女たちがこれまでの活動を振り返りつつ、古川未鈴の結婚報告を受けての心境、でんぱ組.incの活動を通じての成長、実現したい目標についてじっくり語った。

取材・文 / 大山卓也 撮影 / 前田立

グループ兼任は自分に合ってる

──でんぱ組.incのホールツアー「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019」が終了しましたが、2人は最近どんなふうに過ごしていますか?

根本凪

根本凪 私は虹コン(虹のコンキスタドール)の活動もひと段落という感じで、ひさしぶりにドーピングしてない日々ですね。いつも栄養ドリンクとかビタミン剤とか飲んで、無理やりテンションを上げようとするクセがあるんですけど。

──気合いを入れてる?

根本 はい、普段あんまりテンションが高いほうじゃないので、忙しいときはそうやって乗り切ってて、でも最近はそういうのに頼らず、リリイベとかも自力の元気でいけてます。比較的穏やかな毎日です。

──ぺろりんさんは?

鹿目凛 私はmeme tokyo.(ミームトーキョー)が始まって、けっこうバタバタしてます。

──でんぱ組.incのジュニアユニット・meme tokyo.には、“期間限定サポートメンバー”としての加入ですね(参照:でんぱ組.inc鹿目凛、ジュニアユニットmeme tokyo.に期間限定加入)。

鹿目 meme tokyo.はおとなしい性格のメンバーが多いので、最初に大人の人に言われたのは「ぺろりんの空気の読めなさが必要だ」みたいな。「明るさが必要だ」だったかな?(笑) それで「わかりました!」と言って入ることになりました。

──実際に参加してみてどうですか?

鹿目 短期間で振りを覚えなきゃいけなかったので、Yumiko先生に何日間かマンツーマンでレッスンしてもらったんです。そこで基礎的な体の動かし方も改めて教えてもらって、最初はダンスが不安だったんですけど、でもやってみたらYumiko先生にけっこう褒めてもらえて、自分としてはめちゃくちゃ成長できた気がしてます。

──でんぱ組.incとmeme tokyo.ではダンスの雰囲気もだいぶ違いますよね。

鹿目 そうですね。でんぱ組.incはフォーメーションが複雑で、meme tokyo.は振り付け自体が複雑というか。でも2つのグループを兼任してるのは、なんだかんだ自分に合ってるんじゃないかと思ってます。環境も立ち位置も違うから、より客観的に見られる気がして。

──でも兼任は休みも減るし、覚えることも多いし、かなり大変なのでは?

鹿目 うーん、でも私は一度失って気付いたというか、時間があると変に考えて悩んじゃったりもして。兼任は確かに忙しいんですけど、ファンの人ともたくさん会えるし、自分としては楽しさのほうが強い気がしてます。

グループによって違う自分らしさが出てくる

──ねもさんも2つのグループを兼任してずいぶん経ちますね。

根本 やっぱりでんぱ組.incの活動が忙しい分、虹コンのメンバーに申し訳ないと思うことは普段からたくさんあって、イベントに穴開けちゃったりとか、ライブのスケジュール組みづらくなったりとか。でもあるとき虹コンのメンバーが「ねもちゃんがでんぱ組.incでがんばってるから、私たちもがんばらなきゃと思える」と言ってくれたことがあって、それはすごくうれしかったです。

──体力的にはキツくても居場所が2つあるのはいいですね。

根本 どっちも家族みたいな感じです。いい面もダメな面もわかったうえで支え合えてる感じがする。

鹿目凛

──ぺろりんさんにとってもでんぱ組.incは家族ですか?

鹿目 私は家族というより仲間っていうほうがしっくりくるかも。船で一緒に旅する海賊の仲間みたいな感じ。

──共通の目的に向かっていく存在ですね。それで言うとmeme tokyo.は?

鹿目 meme tokyo.は中学生のメンバーもいて、私は先輩だしお姉ちゃんだし、しっかりしなきゃと思える場所です。

根本 ぺろりんは本来お姉ちゃん気質だもんね。

鹿目 うん、ベボガ!でもわりとそんな感じだった。でんぱ組.incではボケ担当みたいに言われることが多いんだけど、たぶんボケ担当もしっかり者担当もそれぞれ本当の自分で、そのグループによってどっちかの自分らしさが自然と出てくる。しゃべれる人が隣りにいるとうまくしゃべれなくなることもあるし、本当の自分ってよくわかんないですけど、環境によって変わるところはあるかもしれないです。

自分なりのミントグリーンを作りたい

──ところで今年1月の夢眠ねむさんの卒業は2人にとっても大きな節目だったと思います。ねむさんが抜けた影響を今はどう感じていますか?

鹿目 以前はねむさんが私のよくわからない発言にツッコんでくれてたんですけど、今はツッコミ役がグループ全員になりました(笑)。

──ねむさんはグループ内のツッコミ役を「根本凪に教え込んでる」と言ってましたが、それはどうなりました?(参照:夢眠ねむ「夢眠時代」インタビュー

左から根本凪、鹿目凛。

根本 ねむさんの背中を見てたからなんとなく感じはわかるんですけど、まだそれをやる度胸がない(笑)。ねむさんの真似じゃなく自分なりの何かを見つけて、ねむさんのエッセンスも引き継いでやっていけたらいいんですけど、そう思いつつ早2年。大丈夫かしら。

──そしてねもさんは、ねむさんからメンバーカラーのミントグリーンも引き継ぎました。

根本 まさか自分が……!と思いました。ミントグリーンとボブはねむさんの大事なアイコンだから、その要素を自分がうまく生かせるのか葛藤はあったし、ファンの人に申し訳ないなというのもあったし。でもねむさんが託したいと言ってくれたからにはやらねばならぬ!と思って、すごくうれしい気持ちで受け継いで。自分なりのミントグリーンをこれから作っていけたらいいなと思ってます。

──自分なりのミントグリーン、いいですね。

根本 めちゃくちゃ難しいですけどね。ねむさんは要素がたくさんあるじゃないですか。「魔法少女☆未満」とかサブカルチャーとかおにぎりとか。その全部を反映した色がミントグリーンだと思うから、うーん、どうしたらいいんだろう。とりあえず自分なりの歌い方を探すところからがんばってます。

──ぺろりんさんはライブで定番の挨拶「この6人と、ここにいるみんなででんぱ組.incです!」をねむさんから引き継ぎましたね。

鹿目 やっぱり責任を感じます。7人のときはねむさんの存在も大きくて、自分としては大きな船に乗せてもらってる感覚が強かったんですけど、でも今の6人になってからは後輩とか新メンバーとかじゃなくもっと対等に、自分もでんぱ組.incのエンジンにならないといけないんだという、そういう気持ちが強くなってる気がします。

みりんちゃんは歴史上の人物

──そして9月には古川未鈴さんの結婚発表もありました(参照:でんぱ組.inc、まさかの結婚発表も飛び出したツアーSP公演)。

鹿目 最初聞いたときはめちゃくちゃびっくりして、なんかオタクの気持ちになりました。衝撃が大きすぎて走馬燈が見えた(笑)。

左から根本凪、鹿目凛。

──冷静になった今はどんな気持ちですか?

鹿目 やっぱりアイドルに恋愛や結婚はタブーみたいな、そういう風潮がこの日本ではあるじゃないですか。私もそれに関しては少しわかるというか、距離がお客さんとも近いし「まだ恋愛は早いんじゃない?」と思うんですけど、でも自分の歴史を作って何かを成し遂げた人なら「むしろ恋愛してください!」って思う。みりんちゃんは10年間でんぱ組.incを引っ張ってきた人だから、自分の中ではアイドルの歴史上の人物というか。そういう人が結婚発表をファンの人に一番に伝えてる姿は、本当にカッコいいなと思いました。

根本 私も最初はびっくりしたけど、でもアイドルだって人間だから、自分の人生があるんですよね。本当におめでとうございます!という気持ちしかないです。

鹿目 何よりでんぱ組.incを続ける判断をしてくれて、みんなで一緒に幕張のライブに向かって進んでいけるのがうれしいです。

根本 私は最近みりんさんに教わったことがあって、これはあんまり声を大にして言うことじゃないかもしれないけど「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019」の福岡公演のとき、後ろのほうの客席に空きがあって、そのライブが終わったあとみりんさんが泣いてたんですよ。その悔し涙を見て、私ももっとでんぱ組.incに貢献できる人間にならなきゃいけないし、もっと人気が欲しいという心が芽生えました。実力も付けたいし、動員も増やしたい。

──福岡は平日開催で会場のキャパも大きかったので、ある程度は仕方ない気もしますが。

根本 でも悔しかった。絶対に力になれるようにがんばりたいと思ったライブでしたね。


2019年12月6日更新