少しは成長できてるのかな

──でんぱ組.inc加入以来、お互いの活動を一番近くで見てきた2人ですが、それぞれの成長についてどう感じていますか？

根本　ぺろりんはホントに毎日練習してるんですよ。アドバイスをうまく吸収して自分の力にできてる。すごく尊敬してます。

鹿目　ううん、そんなことないよ。私、6人でのツアーの最初の頃に、もふくさんにめちゃくちゃ叱られて自分のダメさを知って、今まで以上の努力をしないといけないなって痛感したんです。

──もふくちゃんにはどんなことを注意されたんですか？

鹿目　やっぱり歌とかパフォーマンスとかが全然ちゃんとできてなくて「みんなの足を引っ張ってる」って言われました。あと当時めちゃくちゃ泣き虫だったので「現場で泣くな」と言われることもあって。叱られたときはすごくしんどかったけど、でも大人になると怒ってもらえることはあんまりないし、自分が成長できるきっかけだから、厳しく言ってくれたもふくさんにすごく感謝してます。

──前回のインタビューで「今まで自分の中で努力してきたけど、やり方がよくなかったりして、それは全然努力じゃなかった」と言ってたのはそういうことだったんですね。でもそこで腐ったりあきらめたりしないのが偉いと思います（参照：でんぱ組.inc「いのちのよろこび」インタビュー）。

根本　そう、ぺろりんはあきらめないんですよ！ 失敗しても立ち上がる力がすごくて、もう鋼のメンタルだなって思います（笑）。もともと芯が強いけど、それが日々鍛えられて、今はムキムキすぎてちょっと心配なくらい。

鹿目　でもそのせいで「ぺろりんは叱られてるのわかってないんじゃないか」みたいに言われることも多くって（笑）。

──実際はどうなんですか？

鹿目　いや、毎回本気で落ち込んでます（笑）。ひどいときは4、5日ずっと家で泣いてたし。でも泣きながらネットで「怒ってもらえる 自分のため」で検索して。

──えっ？

鹿目　検索して「怒ることはエネルギーを使うことだし、本当に相手のことを思ってないと怒れない」みたいな話をたくさん読んだんです。それで「決して嫌われているわけじゃない！ 好きだからこそ怒ってもらえるんだ！」ってわかった。

根本　ちょ、ポジティブすぎる（笑）。

鹿目　まだまだ強くなりたいです（笑）。

──じゃあ逆にぺろりんさんから見た、ねもさんのすごいところは？

根本　ある？ 大丈夫？

鹿目　大丈夫（笑）。やっぱりねもちゃんは、でんぱ組.incと虹コンをずっと兼任してるから成長のスピードがすごくて、以前に比べてかなりキャパが大きくなってると思うんですよ。私の今年の生誕祭に虹コンで出てもらったんですけど、ねもちゃんが「ぺろりんリクエスト聞くよ」と言ってくれて、私の好きな曲ばっかりやってくれたり。あんまり普段ライブでやらない曲だから、フォーメーションとか歌とかダンスとか思い出さないといけないのに。

根本　ニッチな曲をリクエストしてくるんですよ（笑）。

鹿目　あと私が当日テンパってたら「大丈夫？ なんかわかんないとこあったら言って」みたいな感じで寄り添ってくれて。ねもちゃんが大きく見えました。

──ということですが、ねもさん自身は自分の成長を感じますか？

根本　うーん、あんまり自覚はなくて、特に振り入れが早くなったとか歌を覚えるのが早くなったとか、目に見える成長みたいなものは全然ない。だから今の話に「え、なんで？」となっております（笑）。でも今ぺろりんに言葉にしてもらえて、少しは成長できてるのかなって安心しました。

ファンはマブダチ

──2人がこれからやりたいことや目標などがあれば教えてください。

根本　私は、そうですね、忙しさに負けず、もっと個人の仕事もやっていきたいです。グラビアだったりイラストだったり歌だったり。個性を伸ばしてなんらかになりたい。

──歌というのはソロで歌うイメージ？

根本　はい、もちろんグループでの歌もがんばっていきたいけど、とにかく歌うことがめちゃくちゃ好きなので、歌える場を増やしてソロでも何かしら活動できたらいいなと思ってます。

──ぺろりんさんは？

鹿目　私はもっとライブがしたいし「Mステ」にも出たいし、あと自分の母校の文化祭に出たい！ 今は幕張公演の前でライブがちょっと少ないので、いろんなところでライブがしたいですね。

──叱られることがあってもライブは楽しいんですね。

鹿目　楽しいです（笑）。歌が上手になったら褒めてもらえるし、いいパートをもらえたら自分の推しの人が喜んでくれるから。自分の推しは歌割りに敏感なので、歌がうまくなっていいパートをもらってみんなをもっと喜ばせたい。

──やはりファンの存在は大きいですか？

鹿目　すごく支えになってます。

根本　私は最近ファンとケンカしたんですけど、推しジャンのことで。わかります？

──ファンがライブ中に連続ジャンプする行為が周りの迷惑になっているからやめてほしい、という話ですよね。

根本　私がそれについてツイートしたら、普段応援してくれてる人たちもどんどん文句を言い始めて、それで私も腹が立ってきて、もうめっちゃ怒ってたんですよ。でも途中から、これだけ感情豊かになれる相手っていうのは、これはもうマブダチだな！と思い始めてしまって（笑）。

──そうやってファンとケンカしてしまうところもねむきゅん直系ですね。

根本　ホントだ、呪われた血筋……（笑）。

悩んでる人に伝えたいこと

──最後に伺いたいんですが、そもそも2人はどうしてアイドルになったんですか？ アイドルとしてやりたいことや見たい景色があるんでしょうか？

鹿目　私はやっぱりアイドルに憧れがあって、最初の頃は「君には無理だよ」と言ってた人を見返したいという気持ちでやってたんですけど、でもあるとき地元の同窓会に出てみたら私のことを悪く言ってた人たちが急に「がんばってね！」と応援してくれるようになってて（笑）。その日からは地元の友達が自慢できるような、そんなスーパースターになりたいという気持ちでやってます。有名になって、おじいちゃんとかおばあちゃんとかまだ生きてるうちにテレビに出たい。

根本　わかる、わかるよー。

──ねもさんはどうですか？

根本　私がアイドルを目指したきっかけは「ねむさんみたいになりたい」「何か作り出せる人になりたい」というのもあったんですけど、一番大きかったのは「そろそろ家の外に出なきゃヤバい」という危機感ですね。だからこう言っちゃうとアレですけど、今日まで毎日リハビリみたいな感じかも。特に将来のビジョンがないまま、今はこの生活が当たり前になってて、これからも続いていくんだろうなみたいな。なんなんだろう。不思議ですよね。

──そんな2人の活動に毎日元気をもらっているファンがいます。それについてはどう感じてますか？

根本　アイドルは人を元気にする仕事だっていうのはよく言われるけど、普段はあんまり自覚なくて。手紙やSNSで伝えてもらうと「そっか、私もそうなれてるのかな」ってなりますね。そう思ってもらえるのはありがたい。

鹿目　やっぱりその人の人生に自分の存在があるのがうれしいです。自分も学生の頃とか生きるのがしんどくて、あんまり学校行けてなくて。でも「これが好き」と思えるものがあって、そのおかげで生きてこれたところがあるから、もし今の自分が誰かの支えになれてるなら、アイドルやってきてよかったなと思います。これからもいろんな人の心にいたいなって。

──自分が誰かから受け取ったものをファンに伝えていくんですね。

鹿目　アイドルを始めるまでは小さな世界しか見てなかったけど、この活動を通じていろんな経験ができて、いろんな道があることに気付いて、この瞬間生きてるのも奇跡だし、今いろんなことに感謝してるんです。だから生きるのがしんどくて悩んでる人に、楽しいこともたくさんあるよって伝えられたらいいなと思います。

根本　私も引きこもってたから、もし同じような境遇の人がいて、一生このまま出られないかもしれないっていう危機感とか絶望感の中で生きてるなら、やり方次第で人生どうにかなるよと伝えたいです。時間が経てば解決することもあるし、私がアイドルに応募しちゃったみたいになんらかの行動を起こしてもいいし、別にアイドルじゃなくても何かの同好会や仕事でもいいんですけど、一つきっかけさえ起こせば外に出られるかもしれない。だから希望を持ってねって、同じ境遇の人がいたら言いたいですね。