12月4日にでんぱ組.incのライブBlu-ray / DVD「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019 SPECIAL」がリリースされた。

音楽ナタリーではこの作品の発売に伴った特集を展開しており、第1回に古川未鈴、第2回に根本凪と鹿目凛が登場した。第3回となる今回はでんぱ組.incの全員に、メンバー主導で作り上げていくという“ライブ”についてインタビュー。先日完走した「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019」を振り返ると共に、新たな試みが随所に盛り込まれる12月7、8日の「幕張ジャンボリーコンサート」の見どころを聞いた。

取材・文 / 大山卓也

息を吸うタイミングがわかってくる

──今日はでんぱ組.incの“ライブ”をテーマにお話を伺っていきたいと思います。この6人体制で初となる全国ホールツアー「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019」が先日終了しましたが、まずは完走した今の心境を聞かせてください。

相沢梨紗 どのツアーもそうなんですけど、回数を重ねていくうちにどんどん息が合ってくるんですよね。ステージ上でほかのメンバーがどう動くか自然とわかるようになって、そのぶん思いっきり動ける。だから今は本当にライブが楽しいです。

成瀬瑛美 うん、今回「秋の葉の原っぱで」で、イヤモニもカウントもなしで、6人横1列に並んで歌い出しを合わせる場面があって、みりんちゃんがすっと息を吸うタイミングでみんな歌に入るんですけど、最初はやっぱりけっこう難しくて。でもツアーを重ねるうちにだんだん「あ、みりんちゃんが今ここで息吸う」ってわかるようになってくるんです。気持ちが通じ合ってくるというか。

鹿目凛 私はもうすぐ加入して2年になるんですけど、以前はトークに苦手意識があったんです。でも今回のツアーでみんなにツッコんでもらったりフォローしてもらったりするうちに安心感が生まれて、いい意味で遠慮しなくなりました。

古川未鈴

古川未鈴 このツアーを通して、なんていうか1人ひとりの役割がより明確になったよね。もしかしたら最初の頃はちょっと手探りだったかもしれない。でも今は胸を張って「ぺろりんのMCが面白い」とか「ねもちゃんの歌がホントにすごい」とか言えるので。

鹿目 今はみんなが自然と役割を見つけて、お互いを認め合えてる気がします。

古川 それが「秋の葉の原っぱで」での呼吸につながってるんじゃないかな。だからまあ簡単に言うと、あれですよ、仲良くなったのかも……?

相沢 みりんちゃん、なんで恥ずかしがってるの(笑)。

──とはいえ、皆さんは単に仲良しの友達というわけでもなくて。

古川 うん、以前のでんぱ組.incは「メンバー同士が戦友みたいだね」なんて言ってたけど、今はそれよりちょっと家族っぽいかもしれない。

鹿目 わかります。アイドルグループのメンバーって単なる仕事仲間というには絆が深いし、しかも優しさや愛も感じるから、まさに……。

根本凪 ファミリーだ。

──前回のインタビューでも、ねもさんはでんぱ組.inc=家族だと言ってましたよね(参照:根本凪、鹿目凛インタビュー|ねもぺろの成長とグループの未来図)。

根本 はい、自慢の家族です(笑)。

ホワイトボードに書いたり消したり

──でんぱ組.incのライブはメンバー主導で作っていく部分が大きいそうですが、例えば「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019」の場合はどんな形で始まったんでしょうか?

古川 最初のコンセプトはもふくちゃん(プロデューサー)やYGQさん(ディレクター)が提案してくれて、「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019」で言うと、今年のでんぱ組.incは「いのちのよろこび」から始まってて「やっぱり愛だよね!」みたいな大きなテーマが最初にあるんです。そこから先がメンバーに投げられる感じですね。テーマを受け取って、みんなで話してアイデアを広げていく。

成瀬瑛美

成瀬 テーマが愛だから「強い気持ち・強い愛」をやってみようとか。

──セットリストはみんなで話し合って決めていくんですね。

成瀬 だいたいホワイトボードに書いたり消したりして。

古川 ピンキーさんが書記です。

藤咲彩音 はい、私ずっと書いてる(笑)。

──例えば今回ツアー本編のセットリストには定番曲の「Future Diver」は入っていませんでした。

古川 私は入れたい派だったんですけど、でも6人けっこう好きな曲も違うし、そういうところを話し合って決めていく感じです。

藤咲 「Dear☆Stageへようこそ♡」はりさちゃんが推してたよね。

相沢 好きなんですよね。「強い気持ち・強い愛」とかもゴリゴリ推しちゃった気がする。でもテーマに合ってたし、みんなで楽しくできてよかったかな。

鹿目 私は“聴かせるコーナー”と呼んでるパートが個人的にすごく好きで。

──「形而上学的、魔法」「ユメ射す明日へ」「あした地球がこなごなになっても」と続く中盤のちょっと落ちついたパートですね。

鹿目 はい、この3曲の歌詞が凹んでるときに刺さるんです。だからファンの人にもこのコーナーで「いろいろ大変なこともあるけど一緒にがんばろうね」と伝えたくて。

成瀬 あと今回セットに階段があったので、「この曲は階段で歌おう」「でも階段ちょっと使いすぎじゃない?」みたいな話もしてたよね。

古川 階段もいいんだけど、私はできればダンスを崩したくない気持ちが強くて。でんぱ組.incの強みはダンスの勢いだと思うから、階段だとそれがないけど大丈夫か?みたいなことは思ってたかな。

相沢 でもいつものダンスのフォーメーションをあえて崩してまで歌をじっくり届けるっていうのは、今回のツアーでの挑戦だったかもしれないよね。

古川 うん、あんまりやりすぎても自己満足みたいになっちゃうし、でもいつもと同じだと面白くないし、そこのバランスをとるのが今回のツアーの課題でしたね。

福岡にしかないタピオカなんです

──今回のツアーは挑戦的な試みが目立つ一方で、ファンサービス的なパートも好評でした。「でんでんメモリー」はツアー各地の街中をメンバーが探索するVTRコーナーでしたが、特に印象深い回はありますか?

藤咲 私が忘れられないのは福岡! えいたそとみりんちゃんの2人が本当に面白くって。

成瀬 福岡らしい名所を何も見ず、みりんちゃんが「タピオカに行きたい」って言い始めた回だね。

藤咲 すぐタピオカ行きたがる。

古川 いやいや、福岡にしかないタピオカなんです。

──そうなんですか?

古川 調べたんですよ。でも実際お店に行ったら売り切れで泣き崩れて。

成瀬 そのあとなぜか猫カフェに行ったよね。

古川 猫がかわいかったんですよ。

藤咲 そりゃかわいいけどさ(笑)。