でんぱ組.incのライブBlu-ray / DVD「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019 SPECIAL」が12月4日にリリースされる。

今作にはでんぱ組.incが9月18、19日に東京・Zepp DiverCity TOKYOで行ったワンマンライブ「UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019 SPECIAL」の模様が収録される。音楽ナタリーでは、この映像作品の発売に合わせてでんぱ組.incメンバーへのインタビューを3回にわたって実施。初回では古川未鈴に単独取材を行い、19日公演での結婚報告の舞台裏や古川が生涯の職業にしたいというアイドルのあり方について赤裸々に語ってもらった。

取材・文 / 大山卓也 撮影 / 佐々木康太
メイク / 小林えりか スタイリスト / 渡邊とも子

みんなが「おめでとう」になるわけはない

──まずはご結婚おめでとうございます。

ありがとうございます。

古川未鈴

──9月18日に東京・Zepp DiverCity TOKYOのステージ上で発表したわけですが、振り返ってみてどうですか?(参照:【ライブレポート】でんぱ組.inc、まさかの結婚発表も飛び出したツアーSP公演

やっぱりすごく不安でした。「結婚します」って言った瞬間、みんな無言になるだろうと思ってたんです。でも実際はすごい歓声が起きて「おめでとう!」の声も聞こえて、私その場で座り込んでしまったんですよね。「マジか! みんなそんなうれしい反応してくれるんだ?」という動揺がすごくって。

──発表前はネガティブな反応を予想していたということ?

それはそうです。私にたくさんの時間とお金をかけて応援してきてくれた人がいて、だからみんながみんな「おめでとう」になるわけはないと思ってました。たぶん半数の人ぐらいは怒るだろうな、そうなってもしょうがないよなと思ってた。なので当日まで恐ろしく緊張していて、普段は胃とか痛くならないタイプなんですけど、ごはんもあんまり食べられなくなっちゃったし、自分が緊張してるのが体の節々からわかるぐらい。

──1人ひとりのファンをちゃんと見てきたみりんさんだから、特にそう感じたのかもしれませんね。

10年やってきて10年分の顔と名前がわかるので。「あの人はどう思うんだろう」みたいなことばかり考えてましたね。

──祝福の声が大半だったとはいえ、中には素直に喜べないファンもいたでしょうしね。

古川未鈴

発表の3日後に宮城で直接ファンの人と会うイベントがあったんですけど、「行くよ」って言ってくれてた人が来なかったりとかもあって。顔も名前も知ってる人が落ち込んでるとやっぱりグサッと来るし、その人の気持ちとか考えるとやっぱり……その日は泊まったホテルですごく泣きました。自分はそれだけのことをしたんだし、覚悟はしてたつもりだったんですけどね。でもそういう人たちに「これからも変わらず応援してよ」なんて言葉は絶対に言えないし。

──今はその気持ちにどう向き合っていますか?

すごく難しいんですけど、何年も応援してくれた人が今回の発表で離れてしまったとしても、それ自体が、なんて言うんだろう、私とその人にとっての1つのストーリーなんだろうなって思う。その人の人生に「古川未鈴」の名前が記録されているなら、自分ががんばってきた意味があると思うし、よかったとは言えないかもしれないけど、少なくとも思い出にはなれたのかなって。実際ちょっとへこんだりもするけど、その人の正直な気持ちだから私は全部受け止めるし、その人も絶対に間違ってないし、それまで応援してくれた証でもあるし、みたいなことは思いました。

──複雑な心境ですね。

発表する前は「離れちゃう人がいてもしょうがない」と思ってたけど、実際はこんなに気にしてる自分がいて。私はもっとドライだと思ってたけど全然ドライじゃなかった(笑)。こういう面もあったんだなって気付かされましたね。

絶対に泣いちゃいけないと思った

──それにしても結婚発表のときはアンコールに1人で登場して、声を詰まらせながら話し始めたので、場内みんな「卒業か……?」という空気になっていた気がします。

そうですよね。だからあんまりもったいぶらないでサラッと言いたかったんですけど、どうしても心を落ち着かせる時間が必要で。あと絶対に泣いちゃいけないと思ってたんです。このあと歌もあるし、ただ自分がこうしたいという発表なのに泣くのは違うなとかいろいろ考えてて。でもこのままだと涙で声が出なくなっちゃうと思って、舞台上でちょっと黙ってた時間があったのはそのせいです(笑)。

古川未鈴

──発表直後は驚きの声がすごかったですが、すぐに祝福ムードに変わっていきました。

最初はフロアが真っ暗だったんです。それが「結婚します」と言った瞬間「うわー!」となって、真っ赤なサイリウムがババババッと光り出して、今までいろんな場面で赤サイリウムを一斉点灯してもらってきたけど、あの日が一番きれいだったかもしれない。その光景は強烈に覚えてますね。

──そして発表のあとには「私のことを愛してくれた沢山の人達へ」という曲を披露しましたね。

もともとはスタッフさんたちが「結婚発表後に歌う感謝ソングを作ろう」と言ってくれて、私は「大丈夫かな? そんな雰囲気じゃなかったらどうするの?」とかいろいろ考えてたんですけど「いや、絶対に何かあったほうがいいよ」と言われて。それで清竜人さんに作ってもらった曲ですね。

──歌詞については?

私からこうしてほしいみたいのは一切なくて、竜人さんにすべておまかせです。私の意見が入ると恥ずかしくて、かえって歌いにくくなっちゃうから。でも竜人さんが私の気持ちを汲み取ってストレートな歌詞を書いてくれました。

アイドルを生涯の職業に

──ところで結婚と言えば、3年前の音楽ナタリーのインタビューでみりんさんがアイドルの結婚について少し話してるんですよね。

おっ?(笑)

古川未鈴

──将来に関する質問に答えて「もし結婚とかすることになったら、普通はアイドル辞めるじゃないですか。それを変えられたらいいなっていうのはちょっと思ってて。まあ、まだ結婚とか全然ないんですけど(笑)」と(参照:でんぱ組.inc「GOGO DEMPA」インタビュー)。

恥ずかしい(笑)。でもいつだったかねむさん(夢眠ねむ)と2人でそんな話をしたこともあります。「そういうアイドル像を作っていきたいね」「でんぱならできるかもしれない」みたいな。

──新しいアイドルのあり方ですね。

よく考えたら松田聖子さんもご結婚されてるけど、今でも絶対的なアイドルだと思うんです。自分はやっぱりアイドルしかやることがないから、もし結婚を機に辞めてしまったらほかにできることもないし、自分の居場所もなくなってしまう。だから何かしらの形でアイドルを生涯の職業みたいなのにできたらいいなって、それはずっと思ってることですね。