超特急|3つの対話で振り返る 2018年春、新しい超特急の挑戦

超特急が1月23日にライブBlu-ray「BULLET TRAIN ARENA TOUR 2018 Sweetest Battlefield at Musashino Forest Sport Plaza Main Arena」をリリースする。

この作品は2018年春、超特急が東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナと兵庫・ワールド記念ホールを舞台に4公演を行ったアリーナツアー「BULLET TRAIN ARENA TOUR 2018『Sweetest Battlefield』」より、5月27日の東京公演2日目の模様を完全収録したもの。360°開放型のセンターステージを“Battlefield”(戦場)に見立て、超特急はMCほぼなしの怒涛のセットリストや初めて挑んだカラーガード(旗などの手具を使った鼓笛隊のパフォーマンス)などさまざまな挑戦を詰め込んだライブを展開。これからも力強く前進していくという意志を、8号車(超特急ファンの呼称)に提示した。

Blu-rayリリースに際し、音楽ナタリーではメンバーに3組のペアになってもらい話を聞いた。カイとタクヤの考える超特急のビジュアル、リーダー・リョウガとボーカル・タカシのステージ上における精神論、ユーキとユースケが情熱を傾ける演出やパフォーマンスへの思いと、1つのライブのインタビューながら話題はそれぞれ異なる方向に。6人がどのような思いを抱きながらセンターステージで“戦って”いたのか、3つの対話を通して感じ取ってほしい。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 上山陽介

カイ×タクヤ

僕らが演出に負けなくなってきたのかな

左からカイ、タクヤ。

──今回のライブの中で、2人にとって一番の「挑戦」だったことはなんですか?

タクヤ 僕はMCを少なくして、曲をほぼぶっ通しでやったことかなと思います。これまでのライブを思い返しても確実に少ないですし。あのボリュームで1回しかやらなかったよね?

カイ そう。本編では1回だね。

タクヤ 今までからすれば有り得ないレベルだと思うので。「新しいな」と思ったけど、こうやって振り返ってみれば「(Sweetest) Battlefield」というツアーテーマにもふさわしかったですし、何より演出を決めたユーキも意味があってそういうふうにしているので。よかったかなと思います。

カイ 僕はステージの使い方かな。(前ツアーの)「THE END FOR BEGINNING」のときよりもせり上がる円型ステージがうまく使えたと思っていて。例えば「Billion Beats」でダンサー5人が回るとか、「Synchronism」ではらせんの階段状になるとか、セットの使い方のアプローチが新鮮だった。それはセンターステージならではっていうところもあるとは思うんですけど、あと……なんだろう、僕らが演出に負けなくなってきたのかなって。

タクヤ うん。

カイ いくら演出がすごくても僕らが日和ってたらカッコよくは見えないと思うんですけど、僕たちも場数を重ねてきて、少しずつですけどいろんなものに順応できるようになってきて。センターステージっていう挑戦、MCが少ないっていう挑戦もそうですし、一度にいろんなチャレンジをできるようになってきたなって思います。キャパが増えたのかな。

──お二人が挙げたもののほかにも、このライブには本当に新たな挑戦と言える演出が詰め込まれていましたよね。観ていて、正直「そこまでしなくてもいいのに……!」と思ってしまいました。

カイ 「fanfare」ではカラーガードもやりましたしね(笑)。「僕たちはここまでできるんだぞ、まだまだできるんだぞ」という思いを見せたかったんです。今思えば、僕たち自身も少し不安だったんじゃないかな。そのときはあまり意識していなかったけど。口に出さずともいろんな気持ちをどこかで抱えていたと思う。けど、ステージに立って360°を8号車に囲まれて、すごく安心する感覚はありました。

声を聞いたら、僕らもギアが1段上がりますから

──カイさんが言っていたステージ演出はすごく印象的で、「Billion Beats」でタクヤさんとほかのダンサーの皆さんが1対4で向き合いながら踊るシーンなど、特に新鮮でした。

タクヤ 振付師の方と僕らの気持ちの合致で「こういうふうに表現しよう」となったし、あの円型のステージならではの表現の仕方だったかなって思います。僕が4人の気持ちを受け取って踊る……みたいな感じ。踊っていて、特に気持ちいいところでもありました。

カイ

──またカイさんはMCもそうですけど、声出しをするときに存在感があるというか。全方向の8号車さんに意識を向けている姿が印象的でした。

カイ いつかのリハーサルのときに、タクヤからふいに「カイって実はめっちゃ声出してるよね」って言われて(笑)、確かになあと思ったことがありました。

タクヤ 気になってたんですよ(笑)。カイってすごい声出してるよなって。

カイ どうしてもみんなの声聞きたいし。それが力になるっていう面もありますしね。あと基本笑わせたがりだから、そういうのもベースにあると思う。僕、お調子者じゃないですか。

──そうかもしれません(笑)。

カイ だから意識してやっているというよりは「反応を聞きたいな」みたいな思いですね。8号車の声を聞いたら、僕らもギアが1段上がりますから。

──では自分以外のメンバーのことで、このライブを通して印象に残っているのは?

タクヤ

タクヤ やっぱりタカシかな。想像してもしきれないくらいの相当な葛藤もあったと思うんですけど、それでも自信持ってステージに立って、全部歌い切った彼はやっぱり輝いていたし、「すごいなあ」と思いましたね。

カイ 僕はリョウガですね。カラーガードの練習のときに、今までで一番“邪悪”な雰囲気を出していたんですよ。苦戦して、練習場の端っこで1人で(フラッグを)回して「はあ……」となっていたのを見ていて。そのときは話しかけづらいほどだったけど、本番はすごくうまくいったので「努力の賜物だな」と。もちろんタカシは一番と言えるほどがんばっているのが伝わってきました。それ以外だと脳内に残っているのはリョウガです。結果的に「やってよかったなあ」と本人も言っていたので、いい試みだったと思います。