超特急|3つの対話で振り返る 2018年春、新しい超特急の挑戦

格好だけを一番に見せたいわけじゃない

──また超特急のライブにおいては、ビジュアルのインパクトも重要な要素だと思います。2人はステージ衣装をプロデュースしたりもしていますが、今回のライブの衣装のポイントはどんなところでしょう。

タクヤ

タクヤ 東京と神戸でギャップを持たせたところですかね。簡単に言うと、1着目が東京は白で神戸は黒、とか。おっしゃるように超特急のライブって衣装もとても大事で。踊りやすいっていう機能面はもちろんですし、あとはいろんなジャンルの曲があるので、超特急の世界観に引き込まれるような衣装になるように考えられていると思います。「超特急」って全力でふざけているイメージで、「バッタマン」みたいな曲が象徴的なものだと思うんですけど……いい意味でガチャガチャしてて、だけどまとまってるっていうところが、今回もちゃんと表現できていたんじゃないかなと感じます。

カイ 個人的に好きだったのはBlu-rayのパッケージでも着ているチェックの衣装ですね。「Feel the light」の世界観と特に合ってたなと思うんですよ。全体に都会的だけどパッチワークでどこか野性的なところが、(振り付けをした)TAKAHIROさんの言っていた「振りは民族的だけど、途中で入るポーズを都会的にすることでアンバランスさが生まれてカッコよく見える」という曲のポイントと合うんです。

タクヤ あとこのチェックの衣装、ジャケットの形はそれぞれ違うけど引きで見たときのシルエットが一緒じゃないですか。

──そうですね。

タクヤ 斬新だなって思っているんですよ。というのは、同じシルエットで合わせるってすごく難しいことで。以前のライブで僕もスカートを取り入れたいとデザインを考えてたんですけど、同じ丈だと似合う似合わないが出てきて難しかったんです。みんなスタイルいいけど、バランスが違うから。でも今回はスカートの長さが一緒なのにみんな似合っていて、とても勉強になりましたね。

──タクヤさんはどの衣装が好きでした?

タクヤ 神戸の1着目で着た黒い衣装かな。僕、ステージ上と普段着だと好みが真逆で。普段はゆるっとした服が楽だから好きなんですけど、ステージ衣装は体のラインが見えるタイトめのものがよくて。僕たちってあくまで「メインダンサー」として踊りを見せる立場だし、あんまりダボダボしていると胸の動きが伝わりづらかったりするから。衣装はすごく大事だけど、格好だけを一番に見せたいわけじゃないって思いがあります。

「超特急」というテーマはわかりやすくあり、難しくもあるんです

──2人が作る衣装はタクヤさんの言ったようにダンサーならではの視点も入っているし、メンバーのことをよく知っているだけあってそれぞれの個性が舞台上で映える印象です。自分が衣装をプロデュースする際は、どんなことを意識していますか?

カイ

カイ 「それぞれが一番カッコよく見えるもの」ということを一番に考えています。あとジャケットを羽織るときは、ジャケットの動きもダンスの一部になるようにっていうことを考えていますね。

タクヤ 僕は、正直そんなにわかんないんですよ(笑)。もともとアウトプットするのが苦手なので、自分が着たいのはどんな服かはわかるけど、人に着せるものとなると難しいなって思う。あと、作ったものに対して「この衣装嫌だな」と思われたらヤだな、とか……。

カイ あはは(笑)。

タクヤ そういう細かいところまで気にしちゃうのは自分自身も嫌なんですけどね(笑)。あと「超特急」というテーマは、自分の中ではわかりやすくあり、難しくもあるんです。だから自分1人で考えるのではなく、それこそユーキが最初に演出やセットリストを考えて「こういう世界観でこういうものを見せたいからこんな方向性がいい」とか、そういったフォローがあってのデザインだったりします。一瞬でパッと出てくることもあれば、いくら考えても出てこなくて書店にこもっているときもありますし。難しいですよ。

──なるほど。

タクヤ あとこれは普段着と一緒なんですけど、着ることでテンションが上がるってことが一番大事だと思うんです。

カイ それぞれが自分でも「カッコいいな」と思えるとかテンション上がるっていう部分が、衣装にはすごく必要だと僕も思う。自分がカッコいいと思っているものは、きっと8号車もカッコいいと思ってもらえるだろうと信じてますから(笑)。

ドンピシャですっ!

──では、メンバー1人ひとりのビジュアル面での魅力を、衣装をデザインする側の視点で教えてもらえますか?

カイ リョウガはスタイルがいいんで上着はショート丈が似合うと思う。あと踊っているのを見て思うのは、骨盤の形がきれいなんですよ。だからどんなものでもわりと映えますね。タクヤは正直何着ても似合うんですけど、号車順で並ぶとき真ん中にいるので、超シンプルにするか超コテコテにするか、どっちかに振りたいなと思ってます。ユーキは肩幅があるので、似合う似合わないの差が大きい。その中で、僕は男らしさを出したいなと考えてます。スケ(ユースケ)はメンバーの中だと背が低いほうだけど、それを感じさせないよう、首が長く見えるように胸元を開けるようにしてる。で、タカシはほかのメンバーと同じにしない。ボーカルなのでどこかに違いを出すのと、逆三角形に見せるシルエットを意識していますね。

──タクヤさんはどうですか?

タクヤ カイは自分の好き嫌いがハッキリしてる。僕はそれを少なからずわかっていると思っているので、カイの好きなものを想像して当てはめている感じですね。

カイ ドンピシャですっ!(笑)

タクヤ あはは(笑)。で、リョウガはオタク気質とかインドア派みたいなイメージがあるけど、衣装を着たときにはそれを感じさせないギャップを見せたいんです。カッコよさを出したいなって。ユーキはやっぱりダンスがピカイチだし「こういうふうになれば踊りやすい」って意見も聞いているので、踊りやすいように。その中でセクシーな感じに見せたいから、動きを生かせるようなディテールになるよう意識してます。ユースケは“ザ・日本男児”みたいな立派な鼻と顔をしているので……。

カイ 立派な顔(笑)。

左からカイ、タクヤ。

タクヤ 顔負けしないような衣装のバランスを考えてます。あと、ユースケもけっこうこだわり強いから。「私服ダサい」とか言われたりしますけど、実は意外と彼の中でこだわりがあると思う。そういうところをいいふうに引っ張ってこれたらと思ってます。で、タカシは存在自体がもう王子様じゃないですか。“王子感”を出しつつ、末っ子だけど末っ子に見せたくないから大人っぽさを衣装で表現したり。だから(2018年12月開催のツアー)「GOLDEN EPOCH」の埼玉公演で僕が衣装を考えたときには、一番年上のカイと同じチョーカーを付けてもらったんですよ。

──なんだか、2人の視点が全然違って面白いですね。

タクヤ ホントですね。でも、カイみたいな意見がベストなんですよ。なんか僕、フワフワしてるんで(笑)。ハッキリ「こう!」っていうのがないから。

カイ あはははは(笑)。

──考えていることは違うけど、アウトプットされる衣装はどちらも6人にハマっているというのがまた興味深いです。

カイ 「GOLDEN EPOCH」の衣装なんか、特にそうですよね。自分の作った大阪公演のものも気に入ってるし、タクヤの作ったのも、踊っていてきれいだった。お互いモノトーンで、統一感もありましたしね。