message
──今回の特集ではそんな自信作の全曲解説をしていただければと思います。まずは1曲目「message」。ひさしぶりに英語詞で、直球のメロディックパンクチューンですね。
GEN 今回、1曲目は英語詞にしようと決めていました。
──どうしてですか?
GEN それまで英語詞だったのに突然1曲目を日本語詞にした「sonor」(2013年5月発売の2ndミニアルバム)のときとは逆に、1曲目がいきなり英語詞だったらみんながビックリして喜んでくれるかなという気持ちが第一。あとは僕らの中で日本語のツービートで速い曲が増えてきたので、英語で歌いたいなって思って。英語じゃないと歌えないような、クサい歌詞も書きたかったし。
──思惑通り私もビックリしました。歌詞は昔の自分に向けたメッセージのような。
GEN その通りです。10年前の自分に留守電のメッセージを入れてるイメージです。
──レコーディングの最後に歌入れがあるので、それまではGENさん以外は歌詞を知らないというのがいつもの04 Limited Sazabysの曲作りの流れだと思うのですが、今回、英語詞だというのは知っていたんですか?
KOUHEI いや、今作で英語詞を入れたいってGENが言ってたし、俺もいいなとは思ってたけど、どの曲が英語詞になるかは知らなかった。でも聴いて全然違和感ないです。
GEN 今作を作るにあたって「僕が04 Limited Sazabysを昔から追ってるファンだったとして」ってけっこう考えたんです。その考えで言うと、1曲目に英語詞がきたら「やっぱこいつら裏切らねえな」って思ってもらえるかなって。アリーナツアーとかやって、ちょっと遠くに行っちゃった感があると思うんですけど、そういう気持ちを取り返せたらと。東名阪の小箱を回る「裏 10th Anniversary Live」もそうなんですけど、常にチェックしたくなる存在で居続けたいんです。
──わき目も振らずに上を目指して走ってきたこれまでとは違うベクトルですね。
GEN そうですね。前よりカッコつけてない感じはします。
──ひさしぶりに直球のメロディックパンクをやってみてどうでした?
RYU-TA 清々しい。
GEN ジャンプしやすそうでいいですね(笑)。
KOUHEI アレンジしてるときに裏拍にするか悩んでたので、俺が「表(拍)だとジャンプできるよ」って言った記憶ある(笑)。
My HERO
──この曲については以前インタビューで伺いましたが(参照:04 Limited Sazabys「My HERO / 夕凪」インタビュー|ヒーローにたどり着くまでの10年)、バンドにとってどういう存在の曲になりました?
GEN 2ビートで攻撃的なんですけど、輝きが強い曲だなと思っていて。僕ら10年選手のわりにキラキラしてると思うんですけど、そのキラキラを体現してくれてるような曲だなと。
──街中でもよく流れていたので、この曲で04 Limited Sazabysを知った人も多いのではないかなと思います。ライブでのお客さんの反応はどうですか?
GEN どうなんだろう……あ、最後のラップっぽいところ、作ってるときはシンガロングパートにしようかとか悩んでたんですけど、今はこれでよかったなと思いますね。
KOUHEI お客さんがノリつつも歌詞を聴いてくれてる感じがするよね。ただ暴れたいんじゃなくて、いい感じになってる気がします。
Brain sugar
──3曲目「Brain sugar」はメロディラインがこれまでにない動きをしますね。
KOUHEI この曲ではHIROKAZが持ってきたイントロのリフと、昔僕が持っていったサビのオケを合体させました。
GEN 一番HIROKAZががんばった曲かもしれないですね。
HIROKAZ わりとがんばってフレーズを考えましたね。
──イントロのリフはどんなイメージだったんですか?
HIROKAZ UNISON SQUARE GARDENのような、キラッとした感じと言うか、ああいうポップで明るい曲が僕はもともと好きなので、そういう曲を僕らなりに調理してみたいなと思って。
KOUHEI HIROKAZが持ってきたイントロのフレーズは本当にキラーフレーズだなと思いましたね。だからこそそれを活かせるサビがなかなかできなくて苦労しました。
GEN サビはボーカルのメロもなかなかしっくり来なくて、みんなに意見を聞いて最終的に決まりました。珍しくメンバーに意見を仰いだ気がします。
──この曲の面白いところは、曲調はさわやかだけど歌詞が色っぽいというギャップで。
GEN さわやかですよね! この曲の歌詞はエロをテーマに書いてるんですけど、言いたかったのはエロいことじゃなくて「やめられない」っていうダメさ。僕が「魅力的だな」「好きだな」って思う人って人間くさい人なんですよ。ダメなところが見えないと好きになれないので、魅力的なダメさを書きました。
KOUHEI 歌詞に関しては、今回のアルバム全体通して言えることなんですけど「monolith」(2014年2月リリースの3rdミニアルバム)を思い出したと言うか……最近は「My HERO」や「Squall」といった希望を強く歌うわかりやすい曲が続いていて、もちろんそれはよかったんですけど、さらに希望を歌うと「お前らいつまで希望歌ってんねん」みたいに思われるんじゃないかなというプレッシャーもあったんですよ。そしたら今作は、一聴しただけじゃ何を歌ってるかわからない歌詞が多くて、「昔のGENが出てきたな」って思いましたね。
GEN 正直、僕も昔の感じは意識してて。昔に限らずかな、10周年なので、今回はこれまで使ってきたいろんな手法を使った気がしますね。
──それで言うとこの曲の歌詞は「CAVU」(2015年4月発売の1stフルアルバム)っぽさを感じました。
GEN あー確かに。
Utopia
──続いては「Utopia」。マイナーコードで、エッジの効いたナンバーです。
GEN ドロップチューニングを使った曲にしようと思って作り始めた曲ですね。いろんなギターのパターンを試して、最終的にアレンジャーのakkinさんにも手伝ってもらいました。
KOUHEI いろいろ試して正解がわからなくなってたんですけど、アルバム全体のバランスを見て激しい曲がないことに気付いたので、「だったらやり切っちゃおう」って。
GEN そこからはどんどん攻撃的にしました。
──特に間奏はめちゃくちゃ重たいですよね。
KOUHEI そうですね。でもakkinさんがフォーリミらしく昇華してくれた気がします。
GEN うん。あとラスサビで2ビートから四つ打ちになるんですけど、この手法って「buster call」(2010年8月リリースの1stミニアルバム「Marking all!!!」に収録されている、初期からの人気曲)で使っていて。これまでだったら「『buster call』で使ってるからやめよう」となったかもしれないんですけど、今回は惜しげもなく使えましたね。
KOUHEI うん。前とは違って重厚な曲に仕上げられたし。
──10年前の04 Limited Sazabysだったらこんなに重たい曲を作ろうとは思わなかったでしょうね。
GEN そうですね。技術的に無理だったというのもあるんですけど、当時はチューニングを変えるのが嫌だったんですよ。「ライブどうすんねん」って思ってたから。
RYU-TA うん、そうやね。
GEN ライブの勢いが止まっちゃうのも嫌だし、移動で何本も竿を持ち運ぶことも考えて。でも今はローディスタッフが付いてくれてるので、そういうことを考えずにライブを続けられる。だからためらいなく、ドロップの曲に挑戦できるようになりました。
──この曲は最初から最後までコーラスが入ってるのも特徴的ですよね。
KOUHEI 「コーラスずっとおるやん」って思いました(笑)。
GEN 確かにけっこう入れたかもしれない。全部上ハモなんですけど、2ビートの曲で上ハモを入れるのはひさしぶりですね。最近の僕だったら入れないハモりをakkinさんが提案してくれて、初めは「そういく?」って思ったんですけど、やってみたら切れ味が抜群で、高いのをたくさん足しました。
KOUHEI ……俺、ライブでコーラスできるんかな(笑)。がんばります。
次のページ »
05. Milestone ~ 08. Kitchen